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12月09日-一般質問-03号

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  1. 新潟県議会 2022-12-09
    12月09日-一般質問-03号


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    令和 4年 12月定例会 本会議令和4年12月9日(金曜日)  議事日程 第3号    午前10時 開議第1 県政に対する一般質問本日の会議に付した案件日程第1 県政に対する一般質問(青柳正司君、樋口秀敏君、杉井旬君、笠原義宗君、桜庭節子君、与口善之 君)    ――――――――☆――――――――出席議員(51名)          河原井 拓 也 君  小 山 大 志 君  中 川 隆 一 君  高 見 美 加 君          保 坂 裕 一 君  与 口 善 之 君  桜 庭 節 子 君  斎 京 四 郎 君          中 村 康 司 君  松 原 良 道 君  笠 原 義 宗 君  高 橋 直 揮 君          青 柳 正 司 君  横 尾 幸 秀 君  皆 川 雄 二 君  冨 樫 一 成 君          楡 井 辰 雄 君  小 島   隆 君  佐 藤   純 君  桜 井 甚 一 君          岩 村 良 一 君  沢 野   修 君  尾 身 孝 昭 君  柄 沢 正 三 君          小 野 峯 生 君  帆 苅 謙 治 君  渡 辺 惇 夫 君  石 井   修 君          樋 口 秀 敏 君  小 島   晋 君  池 田 千賀子 君  上 杉 知 之 君          大 渕   健 君  長 部   登 君  小 山 芳 元 君  小 泉   勝 君          杉 井   旬 君  重 川 隆 広 君  秋 山 三枝子 君  片 野   猛 君          市 村 浩 二 君  安 沢 峰 子 君  遠 藤 玲 子 君  星 野 伊佐夫 君          青 木 太一郎 君  佐 藤 浩 雄 君  小 島 義 徳 君  佐 藤 久 雄 君          渡 辺 和 光 君  飯 野   晋 君  堀   勝 重 君議員以外の出席者  知事         花角 英世 君  副知事        佐久間 豊 君  副知事        橋本憲次郎 君  知事政策局長     森永 正幸 君  総務部長       小岩 徹郎 君  環境局長       玉木有紀子 君  防災局長       原  直人 君  福祉保健部長     松本 晴樹 君  産業労働部長     金井 健一 君  観光文化スポーツ部長 妹尾 浩志 君  農林水産部長     小幡 浩之 君  農地部長       登り 俊也 君  交通政策局長     佐瀬 浩市 君  会計管理者兼出納局長 太田 勇二 君  病院局長       山﨑  理 君  企業局長       樺澤  尚 君  教育長        佐野 哲郎 君  人事委員会事務局長  遠山  隆 君  警察本部長      山田 知裕 君  労働委員会事務局長  須貝 幸子 君  監査委員事務局長   山田富美子 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時開議 ○議長(小島隆君) これより本日の会議を開きます。 御報告いたします。金子土木部長から本日の会議を欠席する旨の届出がありましたので、御了承願います。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 県政に対する一般質問 ○議長(小島隆君) 日程第1、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、青柳正司君の発言を許します。青柳正司君。   〔青柳正司君登壇〕(拍手) ◆青柳正司君 自由民主党の青柳正司であります。通告に従い、順次質問いたしますので、よろしくお願いいたします。 まず、脱炭素社会実現に向けての取組についてであります。 花角知事は、本県が脱炭素社会の実現に向けて、国内においても先頭的な自治体として強いリーダーシップを取られていることに、改めて敬意と賛意を示したいと思います。 そうした様々な施策の取組の中で、インパクトのある取組として、洋上風力発電の建設計画は重要であります。 地方港湾審議会が開かれ、洋上風力発電設備の建設拠点となる国の基地港湾指定に向けて、新潟港の港湾計画の一部変更が承認されました。計画では、南埠頭において大型の作業船が接岸できる岸壁や巨大な資材を置ける広い埠頭用地を位置づけたとのことであります。 その岸壁は大型クルーズ船が寄港する場所でもあり、今後、支障を来さないか懸念されますが、対応についてお伺いいたします。 また、基地港湾として機能強化する東港の活用等、今後の進め方について所見をお伺いいたします。 本県は石油、ガス資源が豊富であったことから、関連産業の発展で経済や雇用等への貢献は大きかったものと受け止めております。石油、ガス原料製品等の多様な製造過程の中で、技術についても向上が図られてきたものと思います。さらなる活性化に向けてお尋ねいたします。 長岡市産の天然ガスを使ってCO2排出が実質ゼロとなるブルー水素、ブルーアンモニアを製造し、発電などに利用するとともに、水素の製造過程で発生したCO2を枯渇したガス田に注入することで、ガス田に残る天然ガスを採取するCCUSの技術力アップも図っていく一連の取組を、国内初の実証実験として大手石油開発企業が柏崎市で始めるとの報道がありました。 このような先進的な脱炭素の取組が本県において実施されることに対する知事の所見をお伺いするとともに、他の枯渇ガス田を持つ企業等への広がりの可能性についてお伺いいたします。 本県が急峻な山岳地帯で囲まれている中、積雪等による豊富な水資源の活用が農業をはじめ、エネルギーの活用等に寄与されてきました。水はまさに循環型社会実現にとりましても重要なツールでありますことから、お尋ねいたします。 県では、県内5つのダムで新たに小水力発電を行う方針を明らかにしました。いずれも治水などを目的としたダムで、これまで発電施設がありませんでしたが、県が目指す再生可能エネルギー創出の一環として新たに取り組むとのことであります。 この取組に対する知事の所見と意気込みについてお伺いいたします。 また、今後の取組に係る課題についてお伺いいたします。 環境に優しい農法で栽培しているという付加価値を消費者に理解してもらい、脱炭素社会実現に向けた意識向上につなげる取組についてお尋ねいたします。 もみ殻や剪定枝などを炭化させたバイオ炭を農地に散布や埋設することで、環境に配慮して生産していることをアピールして販路拡大につなげる取組が注目を浴びています。 また、バイオ炭を使用して生産した農産物を学校給食に使用することで、環境教育や食育にもつながることや、将来的には温室効果ガス排出の削減量などを国が認証して、事業者間で売買するJ-クレジットを活用し、売却する生産者の収入につながる可能性もあり、本県においてもバイオ炭の取組を進めるべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、農林水産業施策についてであります。 農業者の高齢化や後継者不足をはじめ、新規就農者育成の取組は、本県農業にとりましても最重要課題の一つであります。建設業者等による農業参入は業態として親和性が高く、本県においても多くの産業実績がありましたが、このたび、関連性が薄いと思われる異分野企業の農業参入の報道には、驚きを感じるとともに、期待を寄せたいとの思いからお尋ねいたします。 電子部品関連の導電材料と絶縁材料の製造を手がけている県内企業が、異分野の農業へ参入することとし、既に県園芸研究センターと共同研究も始めています。廃校などの活用も視野に入れ、植物工場なども検討されています。また、棚田などの体験農場を設置するとともに、レストランや直売所も構える観光農園の開業も計画されているとのことであります。 このように異業種の企業が農業参入することに対する知事の所見をお伺いいたします。 前述したとおり、農業参入には高度な農業スキルが重要でありますが、一方、近年はAIの活用等の幅広い農業生産システムの構築により、新規就農の障壁を下げることができ、他分野から新規就農者の拡大、これによる農業の活性化が期待されることからお尋ねいたします。 農業では経験や知識、技能の蓄積が重要であり、習得に当たっては長い期間が必要との観念が当然であり、未経験者が就農するのに不安を生じてきたことも、農業者の減少の一因ともなってきました。 一方で、近年目覚ましいAI、人工知能の発展により、栽培に対する特別な知識や経験は必要なく、新規就農へのハードルも低くなってきたと言われています。AIを活用した農業に対する知事の所見と取組についてお伺いいたします。 畜産、酪農の農家にとりましても、飼料の価格高騰や安定的供給体制は重要課題であります。水田活用の中で飼料用米の推進の取組に力を入れているところですが、なかなか農業者の取組が進まないと思われます。また、農地集積が進み、経営規模が拡大する中、作業時間の分散に課題が生じてきました。そうした両課題に対する対策の一つとしてお尋ねいたします。 ロシアのウクライナ侵攻や円安により、乳牛の飼料価格が高騰し、酪農経営を圧迫しています。打開策として、牛のふん尿を堆肥に活用する飼料用トウモロコシの栽培が注目を集めているとのことであります。 新発田市の水田では、近くの酪農家と連携して飼料用トウモロコシの試験栽培が行われたとのことでありますが、この取組に対する知事の所見をお伺いするとともに、このような循環型農業を実現する耕畜連携の拡大に向けた今後の取組についてお伺いいたします。 政府は、農林水産物・食品などの輸出額を2025年に2兆円にする目標を掲げました。日本産品のよさを世界各国に売り込むチャンスです。 日本の農林水産物の輸出が加速しています。東南アジアや中東など幅広い地域で輸出が拡大しており、味のよい日本産米など多くの品目の輸出が伸びてきているとのことであり、農林水産省において輸出拡大に向けての産地側と輸出事業者のマッチングを支援しています。 円安が県産農林水産物の輸出拡大の好機であると受け止めていますが、所見及び本県の取組状況についてお伺いいたします。 健康立県を目指す本県ですが、病気の原因の一つとも言われるストレスの解消は、健康を保つ上で重要と思われます。 長い新型コロナウイルス禍で、大学生を含む若者のメンタルヘルスが悪化しています。遠隔授業の増加などに伴い、家の中に籠もりがちとなったこともストレスをためる原因となっているようですが、心の健康管理のために、森林浴など自然がもたらすストレス抑制の効果が大いに期待されます。 また、建築の内装材において、壁が木材の場合と白壁とで、通院中の鬱病患者の自律神経活動や心拍数を比較し、木材壁のほうが高いリラックス効果が得られると報告されています。 建築における木材の使用が、心の健康管理に役立つことを県民にアピールすることで、県産材の利用促進につなげることも重要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 森林整備は、温室効果ガスの吸収に寄与し、日本が脱炭素を進める上で重要な鍵を握っています。整備の財源として重要な森林環境譲与税についてお尋ねいたします。 森林整備の財源として国が全国の市町村に譲与する森林環境譲与税の予算の執行が滞っています。都市部の市町村は使途が乏しく、基金に回す自治体が多いとのことでありますが、一方で森林面積が大きく、林業が盛んな市町村は財源不足を訴えており、2024年度の本格運用開始を前に配分見直しを求める声が高まっています。 本県の市町村の譲与税の活用状況と課題についてお伺いするとともに、配分基準の見直しについての知事の所見をお伺いいたします。 本県農業振興策の中で重要課題でもある園芸作物生産への転換、拡大推進は米政策等に寄与し、農家収入の安定化も期待される中でありますが、燃料費が高騰し、園芸等のハウス栽培に大きな支障を来しております。 対策の一つとして、施設周辺の山林の間伐材を木質バイオマスボイラーの燃料として活用することにより、燃料費を節約することとし、農林連携に取り組むことで、林業振興にもつながる木質バイオマスボイラーの導入を促進してはどうか、所見をお伺いいたします。 私は自宅でまきストーブを使用しておりますが、燃料材となるまきは、当初、私が思っていたほど安いものではありませんでした。しかし、まきストーブの火からの暖かさや炎の持つ優しさを感じることを思えば、十分価値のあるものと今は理解するとともに、ありがたいと思っております。 ドライブ好きの私が山間地域を通る中、森林内に残された伐採木が利活用されず、朽ちていっている現状を見るにつけ、何とももったいないと感じ、林業収入に寄与できない現状があるのだと考えていますことからお尋ねいたします。 森林内に残された伐採木の未利用部分をバイオマス資源として利用促進するため、運搬費を助成する県があります。林地内に残された未利用材をバイオマス資源として利用するよう促す狙いがあり、脱炭素社会やカーボンニュートラルの実現に貢献する取組として有効と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 加えて、県産材の利用拡大を図ることは、森林資源の循環利用や森林の公益的機能の発揮につながるとともに、炭素の長期貯蔵など脱炭素にも貢献するものと考えます。 このためには、主要な木材需要である住宅での利用を促進する必要があり、県では新潟県産材の家づくり支援事業により、住宅での県産材利用を進めていますが、支援棟数は伸び悩んでいると聞いています。本事業の利用促進に向けた課題をお伺いするとともに、工務店の申請数が増加するよう、事業内容の見直しを検討すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 木を愛する一人の建築に携わる者として、要望も兼ねてお尋ねいたします。 新潟県産材の家づくり支援事業については、県産材の利用促進のほかに、加算枠で瓦や畳、しっくい、珪藻土塗り等の県産品の利用促進も目的としています。県産材やこれら県産品の利用を促進するため、県民や工務店等に広く事業をPRしていく必要があると考えますが、その取組についてお伺いいたします。 次に、県政の諸課題についてであります。 先月の小千谷市長選において、前県議の宮崎悦男さんが見事、圧倒的勝利を収め、新市長に就任されました。心からお祝いを申し上げますとともに、今後のますますの御活躍を祈念いたします。 宮崎さんの総決起大会において、花角知事にも力強い応援を賜りましたことに、県議同期の一人として厚く御礼を申し上げますとともに、今後、小千谷の発展に加えて、本県全体の活力のため、連携しての取組に御期待いたします。 宮崎さんは、世界錦鯉サミットの開催に当たっては、並々ならぬ情熱を持って携わっておられたと思います。また、ニシキゴイを通じて本県の宝等を国内をはじめ、世界各国に発信したいとの思いの強さを感じていたのは私だけではないと思います。 そこで、お尋ねいたします。 本県発祥で、泳ぐ宝石と呼ばれるニシキゴイの魅力を広く発信する、世界錦鯉サミットが先月6日、朱鷺メッセで初めて開催されました。 21か国の大使、公使をはじめとする外交団をお招きし、ニシキゴイ生産者輸出事業者等の関係者を含めて約150人が参加したとのことでありますが、サミットの成果についてお伺いするとともに、サミットを含めたニシキゴイ発祥の地を巡る視察ツアーに参加いただいた外交団からは、どのような感想や反応であったのか、お伺いいたします。 加えて、世界錦鯉サミットに参加した駐日大使等から、同時開催していたクールジャパンEXPO in NIIGATAを視察いただくなど、ニシキゴイをはじめとする新潟の様々な食や文化、伝統工芸、サブカルチャーについて積極的にPRされたと思いますが、今後どう生かしていくのか、お伺いいたします。 また、本県の令和2年度の農林水産物輸出額の69.3%を占めているニシキゴイ輸出振興において、今後ますます活力のある取組が期待されますことから、本県ニシキゴイ産業の発展のため、世界錦鯉サミットの開催を追い風に、さらなる輸出振興を図っていくことが重要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 錦鯉サミットの開催は、本県の魅力を国内外に発信する大きな事業として評価されると思いますが、今後開催される国際会議の開催がもたらす効果等についてお尋ねいたします。 来年春に朱鷺メッセで開催される先進7か国首脳会議、G7サミット財務相中央銀行総裁会議に向け、機運醸成を図る開催推進協議会の設立総会が開かれました。本県の魅力を国内外に発信するための積極的な広報や、市民ボランティアの養成を進めていくとした取組方針も確認したとのことでありますが、開催に向けての意気込みと本県PR戦略について知事の所見をお伺いいたします。 本県の経済活性化に向けて大変意義のあるプロジェクトとして、トキエアの就航は、本県はもとより、佐渡の経済活性化に大きな役割を果たすものとして期待が集まっております。 新潟空港を拠点とするトキエアの初号機が先月5日、同空港に到着しました。トキエアは、初号機と同型の2号機を使い、新潟空港発着の定期便として2023年春に札幌丘珠空港との路線を開設する方針とのことです。 知事は同機を視察されましたが、感想と期待、また今後、路線の拡大を目指すことへの支援体制について知事の所見をお伺いいたします。 さらに、県は新潟空港の運営に民間の創意工夫を取り入れるコンセッション導入や、大型ショッピングモールなどの施設をA滑走路の用地に誘致するなどの活性化の検討を進めているとのことですが、検討状況についてお伺いいたします。 認知症や知的障害などを持つ親等の財産処分において、例として空き家処分や所有不動産を売却する際は、相続対象者としても法的に認められません。対応として成年後見制度がありますが、様々課題があるようです。 認知症などで判断能力が低下した人を法律的に支援する成年後見制度の利用が進んでいません。そこで、国は2012年4月の改正老人福祉法施行に伴い、地域の実情に明るく、きめ細やかな支援が期待できる市民後見人の育成を自治体の努力義務としたところですが、現在は約8割の自治体が養成事業を行っていないとのことであります。 本県の養成事業の実施状況をお伺いするとともに、県による市民後見人の育成に向けた、さらなる支援を図っていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 先日、総務文教委員会で北海道倶知安町の倶知安小学校の英語授業について視察することができました。元気な小学生と共に、楽しい雰囲気の中で民間会社の先生役の方が専門性を発揮されていました。いわゆる民間先生による授業でしたが、とても有意義な時間を共有することができたと思います。 教育のデジタル化が注目され、民間人材の積極的な活用が期待されます。民間経験者を学校現場に招き入れ、幅広い知見を教育現場に生かす狙いで、教員普通免許がなくても教壇に立てるよう特別免許を授与する制度がありますが、特別免許の授与件数は普通免許と比べると0.1%にすぎません。 デジタル化の推進など、教員に多様なスキルが求められる現代社会において、民間起用は欠かせないと考えますが、この実情に対する教育長の所見をお伺いするとともに、どのように活用を増やしていくつもりか、お伺いいたします。 子供たちの発想力が多様で柔軟であるように、県の若い職員たちの発想力と提案力に期待が寄せられ、よりよい県勢の発展につながるとの思いからお尋ねいたします。 県の若手職員らが独自に考え抜いた施策を花角知事に提案する報告会が開かれました。自由な発想による事業案が説明されたとのことであります。今年で4年目を迎え、本年度は市町村の職員も参加しましたが、どの程度若手職員の施策立案能力の向上につながっているのか、知事の所見をお伺いいたします。 また、提案は関係部局で事業化を検討するとのことですが、過去も含め、どの程度事業化されているのか、お伺いいたします。 企業等の発展には、やはり高度なスキルを持った人材の活用が重要であることは論をまたないところであります。優秀な人材の確保には、様々な要件により、地方企業にとりましても難しい課題であるとの思いからお尋ねいたします。 高度な職業スキルを持った人材が都市部などでの仕事を続けながら、移住を伴わずに地方企業で働く地方副業が広がってきました。働き手不足の解消だけでなく、新たな視点で事業を見詰め直すことで、経営課題の解決につながる可能性があり、積極的に推進する県もあるとのことであります。 国でも地方副業を、人材不足を補う地方創生の重要な手段と位置づけ、各都道府県に首都圏の人材紹介会社と協力したマッチングを促してきたところでありますが、知事の所見をお伺いするとともに、本県の取組状況についてお伺いいたします。 環境省は、いわゆる都市鉱山と呼ばれる、使用済みの電子機器から金属を回収して再資源化する量を2030年度までに倍増させるそうです。また、同省は資源を廃棄せず、再利用する社会の実現に向けた循環経済工程表を取りまとめるそうです。 産業廃棄物のリサイクルは進んでおり、環境省によると、2020年度に排出された鉄くずや廃プラスチックなど、産業廃棄物の53%が再生資源としてリサイクルされました。20年前と比べるとリサイクル率は8%上昇しています。 最終処分場の利用期間を延ばすためにも、リサイクル率のさらなる上昇が重要と考えますが、最終処分場の残余容量について本県の状況及び課題をお伺いするとともに、さらなるリサイクル率向上に向けた取組について知事の所見をお伺いいたします。 異常気象とは言えないほど、近年の気象はゲリラ豪雨等で甚大な被害がもたらされている中、今年8月に県北地域で豪雨災害が発生しました。一日も早い復旧・復興を願うとともに、災害に遭われた関係者皆様にお見舞いを申し上げます。 職員皆様の災害対応には心から敬意を表しつつ、対応人員の体制についてお尋ねいたします。 報道によれば、全国の自治体で土木系技術職員が減少し、災害対応に支障が生じ始めているとのことです。また、国土交通省によると、緊縮財政や行政改革を背景に、この20年で3割近く減少し、限られた人員での対応を余儀なくされています。 本県における土木系技術職員の人員の実情と今後の対応策についてお伺いいたします。 あわせて、市町村における土木系技術職員の人員の実情についてもお伺いいたします。 SDGsがうたわれている中、過疎地域の存続に懸念があります。過疎化が進み、電車や路線バスなどの公共交通が空白になっている地域の生活の足についてお尋ねいたします。 過疎化が進み、電車や路線バスなどの公共交通が空白となっている地域で、住民がマイカーを使って有料で他の住民を送迎するサービスが広がりを見せています。例えば、国土交通省が2020年に新たに定めた、事業者協力型自家用有償旅客運送制度を活用したもので、免許を返納した高齢者らの生活の足として期待されており、6月末現在、全国31市町村で導入されているとのことであります。 本県においても、このような制度を積極的に活用しながら、地域における移動手段を確保すべきと考えますが、所見をお伺いするとともに、本県での交通空白地有償運送制度の取組状況及び課題についてお伺いいたします。 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 青柳議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、ブルー水素等の製造及び利用の実証試験についてでありますが、議員御指摘の実証試験は、今年3月に取りまとめました新潟CCUSハブクラスター拠点開発構想に沿ったものであり、日本初の試みとして先進的な取組が行われることは、カーボンニュートラル産業拠点としての本県のポテンシャルを一層高めることにつながるものと受け止めています。 また、他の枯渇ガス田を持つ企業等への広がりについてでありますが、各社とも様々なCCUS事業を検討していると承知しており、県内のカーボンニュートラルの実現に向けた取組が、さらに広がることを期待しております。 次に、ダムでの小水力発電の取組についてでありますが、土木部所管の5つのダムにおいて、民間事業者による小水力発電の導入に向け、本年9月に公募を行い、複数者から参加表明をいただいております。 これらのダムでの発電は、従来の水力発電に比べ小規模ではありますが、これまで利用されてこなかったエネルギーを活用することで、脱炭素社会実現の一助になるものと考えています。 今後とも、この5つのダムにおける小水力発電の実現を目指し取り組んでまいります。 なお、今後の取組に係る課題については、知事政策局長からお答えをいたします。 次に、農業生産へのバイオ炭の活用についてでありますけれども、バイオ炭などの有機質資材の農地への施用は、土作りに加え、温室効果ガスの削減にもつながることから、カーボンゼロの実現に向けた有効な取組であると認識しています。 一方、バイオ炭の活用は、コストが割高であることや、J-クレジット制度の手続が煩雑であることなどの課題があり、また、環境と調和した農業の重要性に対する消費者の理解促進も必要であると考えています。 県といたしましては、バイオ炭でJ-クレジット制度活用を志向する農業者に対し、技術・経営の両面からサポートするとともに、国に対し、J-クレジットの対象について堆肥散布など農業者が実践しやすい取組にも拡大していくことや、農業者と消費者が相互理解の下で、環境に配慮した農産物を生産・消費する仕組みづくりを働きかけてまいります。 次に、農林水産業施策についてお答えをします。 まず、企業の農業参入についてでありますが、異業種の企業が農業に参入することは、企業が有する先端技術を応用した新たな生産方式の開発や、資金力を生かした大規模な事業展開に加え、ものづくりの知見を活用した商品開発や販路開拓、観光と結びついた雇用の創出など、魅力ある産業としての農業の振興や地域の活性化につながるものと考えています。 一方、農業生産技術のノウハウが乏しく、事業継続が困難となる場合もあることから、県といたしましては、栽培技術の習得や、企業ニーズに沿った新たな栽培技術の開発など、参入企業が持続的に経営発展できるようサポートしてまいりたいと考えています。 次に、AIを活用した農業についてでありますが、農業者の高齢化や労働力不足が進む中、生産現場の様々な課題を解決し、将来にわたって食料を安定的に供給していくため、ロボットやAI技術をはじめとした、デジタル技術活用の重要性は今後一層高まっていくものと考えています。 特に、膨大なデータの解析や、将来予測ができるAIの活用は、熟練農業者の技術の見える化により、新規就農者でも高品質な農産物の安定生産を可能にしたり、高精度な出荷・需要予測により廃棄ロスのない需給マッチングができるようになるなど、これまで実現が困難だったことが現実化する可能性があるものと認識しています。 このため、県ではこれまで、国や民間企業などと連携をし、AIによる画像診断技術の開発や、無人作業ロボットなどの現地実証の取組を進めてきたところであり、今後とも付加価値の高い持続可能な農業の実現に向け、積極的にAIをはじめとしたデジタル技術の活用を推進してまいりたいと考えています。 次に、水田を活用した飼料用トウモロコシ栽培の取組についてでありますが、飼料価格が高騰する中、稲作農家と酪農家が連携して飼料を生産する取組は、生産費に占める飼料費の割合が高い酪農経営にとって、安定的な自給飼料の確保につながるなど大変有意義な取組であり、併せて、酪農家から供給される堆肥を活用して稲作農家が土作りを進めることで、循環型の持続的な生産体制の構築にも寄与すると認識しています。 県といたしましては、こうした取組が県内各地に波及し、定着が図られるよう、ソフト・ハードの両面から支援することで、耕畜連携による循環型農業の拡大を積極的に推進してまいりたいと考えています。 なお、今後の取組につきましては、農林水産部長からお答えをいたします。 次に、木材が及ぼす健康上の効果についてでありますが、木材の香りによるリラックス効果や、木材に触れることによるストレス軽減効果など、木材が人間の生理・心理面に与える影響について、近年、科学的根拠の蓄積が進んでいると聞いており、議員御指摘のとおり、これらの効果を住宅建築での木材利用の動機づけとなるよう県民に伝え、県産材の利用促進につなげることも重要と考えています。 このため、県といたしましては、関係団体と連携し、木材の持つ様々な効果をホームページやパンフレットなどで分かりやすく周知するほか、啓発イベントや住宅展示会などで県民が実際に県産材に触れ、木材の香りや触り心地などを実感していただくことで木材利用の動機づけを行い、県産材の利用促進につなげてまいります。 次に、森林環境譲与税の配分基準の見直しについてでありますが、譲与税の制度開始から4年目となる中で、本県の市町村においては譲与税の活用が進み、さらなる財源の手当てが必要との声が増えていることから、県といたしましても、現行の配分基準の見直しを検討する必要があるものと考えています。 また、先般、農林水産省においては、総務省に対して、令和5年度の地方税制改正要望として、森林環境譲与税に係る所要の見直しの検討について提出したと聞いております。 このため、今年度設立しました、全市町村が参加する森林整備推進協議会において、配分基準の見直しに対する意見を集約するとともに、他県及び国の動向を踏まえて、国への要望を検討してまいりたいと考えています。 なお、本県の市町村の譲与税の活用状況と課題については、農林水産部長からお答えをいたします。 次に、森林内の未利用材の利用促進についてでありますが、森林内で伐採した木材を余すことなく搬出し、森林資源を有効に活用することは、カーボンニュートラルの実現に貢献するものと考えており、他県で行われている運搬経費の助成は、価格が安く採算性が低い燃料材のバイオマス資源としての利用拡大につながる取組の一つと認識しています。 県といたしましても、燃料材の低コスト供給体制の構築が重要なことから、事業体が自立して継続的・安定的に木材を供給できるように、モデル事業に取り組んでおります。ストックヤードの共同設置や、大型トラックによる共同輸送に要する運搬経費について支援をしているところです。 これらの取組を通じて、燃料材をはじめ、県産材の効率的・安定的な供給体制の構築を図るとともに、モデル事業の成果を他地域にも普及させることにより、森林資源のフル活用によるカーボンニュートラルの実現に貢献してまいりたいと考えています。 次に、県政の諸課題についてお答えをします。 まず、世界錦鯉サミットの成果等についてでありますが、21か国の駐日大使等外交団やニシキゴイ業界の方々から御参加いただき、ニシキゴイの誕生の歴史や魅力、世界的なニシキゴイ文化の広がりや今後の可能性について共有することができたと考えております。 加えて、錦鯉の振興に関する新潟宣言の採択により、本県がニシキゴイ発祥の地であることや、サミット参加国が協力してニシキゴイの振興と経済・文化交流に取り組んでいくことを、世界に発信することができたものと受け止めています。 また、視察ツアーでは外交団の方々から、ニシキゴイの放流や、棚田棚池での花火の打ち上げなど、新潟の多様な魅力を体感していただきました。 参加者からは、ニシキゴイの魅力を実感することができたとの声や、長岡花火を実際に見てみたいなどの声をいただいたところであり、今後の各国との交流につなげてまいりたいと考えております。 次に、ニシキゴイの輸出振興についてでありますが、世界錦鯉サミットにより、ニシキゴイの魅力や発祥の地としての理解が得られたほか、各国駐日大使館との関係が深められたことは大きな成果であると認識しています。 加えて、12月5日開催の関係閣僚会議におきまして、ニシキゴイが農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の重点品目として新たに追加されたところであり、これらを追い風としてさらなる輸出振興を図ることは大変重要であると考えています。 県といたしましては、業界団体などと連携して、サミット参加国などへの新たな輸出ルートの構築を図るとともに、発祥の地・新潟の認知度向上や、県産ニシキゴイのブランド力を強化することで、積極的に輸出振興に取り組み、本県ニシキゴイ産業のさらなる発展につなげてまいります。 次に、G7財務大臣・中央銀行総裁会議の開催に向けた意気込み等についてでありますが、G7関係閣僚会合の中でもとりわけ参加者も多く、注目度の高い会合であることから、県といたしましては、これまでに蓄積されたノウハウを最大限に活用して、円滑な会議運営をサポートするとともに、新潟の魅力を国内外に向けて積極的にアピールしてまいりたいと考えています。 具体的には、歓迎行事などの場を通じて、米や酒をはじめとした豊かな食や伝統文化に加え、海外にファンも多いニシキゴイなど、県下の魅力あふれる地域資源に触れていただく機会をできる限り提供したいと考えています。 また、佐渡島の金山の世界遺産登録を目指し、さらなる機運醸成や世界への情報発信を進める上でも絶好の機会であり、引き続き、新潟市と連携を密にしながら、本県における交流人口の拡大や経済の活性化につなげてまいりたいと考えています。 次に、トキエアの初号機視察の感想等についてでありますが、実機を目の前にすることにより、トキエアの就航がより確実なものになったと実感したところです。 今後の路線拡大に当たりましても、県内の市町村や地元経済界など、オール新潟として応援していく機運を醸成してまいりたいと考えております。 なお、新潟空港活性化の検討については、交通政策局長からお答えをいたします。 次に、市民後見人の育成についてでありますが、令和3年度の国の調査において、市民後見人養成研修等を実施すると回答した県内市町村は6市であり、全体の2割にとどまっています。 養成・活用が進まない背景としては、人口規模が小さく、単独では研修を実施することが難しいことや、市民後見人の活動を支援する体制が不十分であるため、養成しても後見人の活用につながっていないなどの課題があると認識しています。 一方で、県内には、社会福祉協議会や弁護士などの専門職と連携をし、市民後見人の活動を支援している市町村や、研修を受けた方をまずは後見人を補佐する支援員として活用し、将来的に市民後見人になっていただこうとしている市町村もあります。 県ではこれまで、成年後見制度の推進に関し、市町村に対する研修の実施や、体制整備のための専門職の派遣などに取り組んできたところですが、今後は、市民後見人の育成についても、好事例の紹介や、研修機会の充実に向けた支援を検討してまいりたいと考えております。 次に、若手職員による政策提案推進事業による政策立案能力の向上等についてでありますが、この事業は、所属する部局にかかわらず、若手職員有志による自由な政策提案を募るもので、提案に当たっては、他県比較等による課題の分析や有識者への意見聴取など、一連の政策立案過程を実践しており、それらを通じて政策立案能力の向上が図られているものと考えています。 また、提出された政策提案については、私への報告の場が設けられるとともに、関係部局において制度化・事業化を検討することとしており、こうした仕組みを取り入れることで、若手職員のモチベーション向上や、部局における議論の活性化に寄与しているものと認識しています。 引き続き、当該事業のさらなる見直し、活性化を含め、政策立案能力の強化に向けて取組を行ってまいりたいと考えております。 なお、当該事業による事業化の状況につきましては、知事政策局長からお答えをいたします。 次に、地方副業に関する所見についてでありますが、本県において中小企業の付加価値向上や人材不足が課題となっている中、県外の高度人材が兼業や副業で県内企業に就労し、その知識や能力を発揮していただくことは有効な手段であると考えています。 このため、引き続き、国の施策とも連携をし、首都圏人材とのマッチングを行うとともに、県内企業に対して、兼業・副業導入のメリットや勤務管理上の留意点などの周知を図り、拡大に努めてまいります。 なお、これまでの取組状況については、産業労働部長からお答えをいたします。 次に、本県の最終処分場の状況及び課題と、さらなるリサイクル率向上についてでありますが、令和3年度末現在における本県の民間を含めた産業廃棄物最終処分場の残余年数は約11年と見込んでおり、依然として厳しい状況であることから、安定的な最終処分場の容量確保のため、上越地区における公共関与最終処分場整備に向けて取り組んでいるところです。 あわせて、最終処分量を減少させるためには、議員御指摘のとおり、さらなるリサイクル率の向上をはじめ、廃棄物の発生抑制や減量化などを推進することが重要であると考えており、取組を推進しているところです。 なお、リサイクル率向上に向けた具体的な取組については、環境局長からお答えをいたします。   〔知事政策局長森永正幸君登壇〕 ◎知事政策局長(森永正幸君) 3点お答えいたします。 小水力発電の今後の取組に係る課題についてでありますが、電力会社の配電線への接続に係る負担金、資材の高騰及び売電単価の低下などによる、事業者の採算性が課題になるものと考えております。 今後、公募結果により新たな課題も想定されることから、引き続き民間事業者のノウハウも参考にしながら解決に努め、小水力発電の実現を目指し取り組んでまいります。 次に、世界錦鯉サミット等における県産品のPRを踏まえた今後の展開についてでありますが、サミットに参加いただいた駐日大使等や輸出事業者からは、クールジャパンEXPO会場内を視察いただくことで、県産品や文化などを実際に見て、触れてもらい、品質や付加価値の高さなどを感じていただけたものと受け止めております。 このイベントを契機として、参加していただいた各国とのつながりを継続し、魅力や価値を認識いただいたニシキゴイをイメージリーダーとして活用し、産地新潟のさらなる認知度向上を図るとともに、輸出拡大に意欲的な県内企業等を後押しすることで、県産品の輸出拡大につなげてまいりたいと考えております。 次に、若手職員による政策提案推進事業による提案内容の事業化の状況についてでありますが、事業開始の令和元年度から昨年度までに提案のあった48件のうち、提案の一部を事業化したものも含め、42件を事業化しております。 また、今年度も7件の事業案が提案されたところであり、今後の予算編成などにおいて、積極的に県の施策・事業に反映させてまいりたいと考えております。   〔総務部長小岩徹郎君登壇〕 ◎総務部長(小岩徹郎君) お答え申し上げます。 土木系技術職員の人員の実情等についてでありますが、本県の土木系技術職員数は、全国と同様に、この20年で3割近くの減員となっておりますが、これは、公共事業の減少のほか、新潟市の政令市移行に伴う事務・事業の移譲や、組織体制の見直しなどを行った結果として減員となったものです。 また、採用試験の受験者数の減少により、合格者が予定の人数に満たないほか、採用辞退者の発生等により、欠員も生じているところです。 このため、県の仕事の魅力ややりがいを学生等に効果的に情報発信することや、試験方法の見直しのほか、社会人採用も積極的に行うなど、業務に支障が生じないよう技術職員の確保に努めてまいりたいと考えております。 なお、災害時の対応については、初動の段階から他地域からの応援職員の派遣や増員を行うほか、災害の規模に応じて他県からの応援職員を受け入れるなど、迅速かつ的確に災害復旧を行うための体制を確保しているところです。 市町村の土木系技術職員についても、公共事業の減少等の結果として減員となっており、また、必要な採用数を確保できないことにより欠員が生じている自治体もあると承知しております。   〔環境局長玉木有紀子君登壇〕 ◎環境局長(玉木有紀子君) お答えをいたします。 リサイクル率向上に向けた具体的な取組についてでありますが、リサイクル関連産業の育成・活性化や事業者の自主的な取組を促進するため、産業廃棄物の排出事業者等が取り組むリサイクルの技術開発や施設整備等に対し補助を行っており、令和3年度から、廃プラスチック類のリサイクル施設整備に係る補助率を引き上げたところです。 また、リサイクル等に積極的に取り組み、優れた成果を上げた事業所を新潟県優良リサイクル事業所として表彰し、広く紹介をしております。   〔産業労働部長金井健一君登壇〕 ◎産業労働部長(金井健一君) お答え申し上げます。 地方副業に向けた本県の取組状況についてでありますが、県では、これまで、外部人材の活用による県内企業の新事業展開や新たな販路開拓など、攻めの経営への転換を支援するため、国の支援を得て設置したプロフェッショナル人材戦略拠点を通じて、セミナーなどによる兼業・副業人材の活用の啓発や機運の醸成、受入れ企業の掘り起こしに努めてまいりました。 また、令和2年度からは、兼業・副業人材を活用する際の交通費や宿泊等に対する補助も実施しているところです。 その結果、兼業・副業については、先月末までに延べ50件の相談があり、そのうち、人材の活用・確保に至った成約件数は12件となっております。 引き続き、こうした取組を通じて企業の成長に必要な人材の確保を図り、本県産業の活性化につなげてまいりたいと考えております。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) 6点についてお答えします。 耕畜連携の拡大に向けた今後の取組についてでありますが、飼料価格の高騰を背景に、今年度は新発田市のほか、県内各地で飼料作物の試験的な生産が行われており、県では、栽培技術の指導などを行うとともに、堆肥を活用した土作りを支援するなど、耕畜連携による循環型農業の取組を推進しているところです。 今後とも、飼料作物の安定生産に向けた栽培技術の指導に加え、畜産農家と稲作農家の話合いの場を設け、経営試算の提示や初期投資の負担を軽減するための支援策の活用を働きかけることで、地域の合意形成を図り、耕畜連携による飼料生産と堆肥利用の取組を拡大させて、循環型農業を実現してまいりたいと考えております。 次に、円安を好機とした県産農林水産物の輸出拡大についてでありますが、議員御指摘のとおり、海外における価格競争力が高まる円安を好機と捉えつつ、品目ごとに現地の実情を踏まえ、マーケットインの視点で輸出に取り組むことが重要であると考えております。 県では、本年3月に策定した新潟県産農林水産物輸出拡大実行プランに基づき、輸出に取り組む生産者等への機運醸成を図るとともに、輸出に必要な知識や情報などを提供するセミナーを開催し、東南アジアや中東の現地マーケットの最新情報や、実際に輸出に携わる方の先進事例などを紹介してまいりました。 また、海外に拠点を持つ流通事業者や商社と連携して個別商談会を開催することにより、新たな輸出ルートの構築に向けた取組を順次進めております。 さらに、現地で人気の外食チェーンや流通事業者等とタイアップした新潟フェアの開催などを通じて、県産農林水産物の輸出拡大に積極的に取り組んでいるところです。 次に、本県の市町村の森林環境譲与税の活用状況と課題についてでありますが、令和3年度までに配分された森林環境譲与税について、森林整備等に支出された事業費割合は、全国の市町村の約5割に対し、県内市町村では約7割と、全国に比べ譲与税の活用は進んでおりますが、積極的に税を活用して森林整備等を行っている市町村がある一方、税の執行率が低い市町村もあり、より計画的な取組が必要と考えております。 また、譲与税を活用して森林整備等を一層推進するためには、高度な知識と技術を有する人材の育成や、多様化する木材需要に対応する広域的なサプライチェーンの構築などについて、市町村と県、並びに市町村間の連携により取組を行っていくことが必要と考えております。 県といたしましては、今年度、市町村において森林の適切な管理を推進することを目的に設立した森林整備推進協議会において、森林整備に関する最新情報を共有するとともに、課題に応じて部会を設置し、有効な施策を検討してまいりたいと考えております。 次に、木質バイオマスボイラーの導入についてでありますが、燃料費が高騰する中、園芸のハウス栽培に、地域の森林資源を木質バイオマスボイラーの燃料として活用することは、燃料費の低減につながるとともに、森林整備の促進や森林資源の有効活用などの林業振興のほか、カーボンニュートラルの実現にも貢献するものと考えております。 一方で、木質バイオマスボイラーは、灯油等を使用する暖房機と比べ、導入価格が高価であることや、きめ細かな温度管理が難しいなどの課題があると考えております。 木質バイオマス燃料の県内製造事業者からは、需要に応じて燃料増産が可能であるとお聞きしておりますので、県といたしましては、導入意向のある農業者とのマッチングを図りながら、木質バイオマスボイラーの特性を踏まえた温度管理技術を指導するとともに、設備導入等を支援してまいります。 次に、新潟県産材の家づくり支援事業の利用促進についてでありますが、県では、林業の成長産業化や脱炭素社会の実現にも貢献することから、住宅建設における県産材の利用を支援しているところです。 議員御指摘のとおり、支援事業の利用件数は伸び悩んでおり、今後、県産材を利用した住宅を増やしていくためには、県民や工務店に県産材利用の意義について理解を広めるとともに、県産材を積極的に利用していただく工務店を増やしていくことが必要であると考えております。 県といたしましては、県民や工務店に対し、県産材利用が森林資源の循環利用や脱炭素社会の実現に貢献することについて理解を促進するとともに、住宅における県産材利用が一層拡大するよう、事業利用者である工務店等の意見を聞きながら、当初予算編成の中で事業内容を検討してまいります。 次に、新潟県産材の家づくり支援事業のPRについてでありますが、県産材や県産の瓦、畳など県内で作られる建材を使って家を建てることは、循環型林業の推進や地産地消による地域の振興にも寄与するものであり、これを県民に広く周知していくことは重要と認識しております。 県ではこれまで、ホームページやパンフレットなどを通じて、事業内容のほか、県産材を利用する意義や、県産品の機能・特性などを周知してまいりましたが、今後、県産材や県産品の利用をより一層促進していくためには、さらなる事業の周知が必要と考えております。 このため、事業内容と併せ、木材利用量に応じた炭素貯蔵量を分かりやすく提示するとともに、県産品を使用するメリットをユーザー目線でPRするほか、住宅情報誌やSNS等の様々な媒体による発信など、事業の活用促進につながる効果的な広報内容や手法について検討してまいります。   〔交通政策局長佐瀬浩市君登壇〕 ◎交通政策局長(佐瀬浩市君) 3点お答えします。 新潟東港の基地港湾への位置づけに伴う大型クルーズ船への対応などについてでありますが、大型クルーズ船の代替岸壁につきましては、先月、国の港湾分科会にて、中央水路東地区で対応するとした港湾計画の変更が了承されました。 今後、指定の見通しを踏まえながら、必要な係船設備などを整備いたしますが、この整備にも一定の期間を要することから、基地港湾の工事が本格化しない間の南埠頭の活用も検討してまいりたいと考えております。 また、今後の進め方につきましては、まずは、村上市・胎内市沖のプロジェクトにしっかり取り組んでいくとともに、隣県海域につきましても、基地港湾として、東港が活用されるよう努めてまいりたいと考えております。 次に、新潟空港活性化の検討についてでありますが、現在、トキエアの就航なども加味した新潟空港の需要予測をはじめ、今後の利用者増に伴う新潟空港ビルディングの収支動向などを精査しているところです。 こうした分析により、国の資産調査から指摘されたコンセッション導入における財務状況の課題が緩和される時期を見通すとともに、空港の周辺開発やアクセス道路の整備なども含め、より具体的な活性化策が検討できるものと考えており、年明け開催予定の新潟空港将来ビジョン検討協議会において議論してまいります。 次に、交通空白地有償運送についてでありますが、本県の地域交通は、人口減少や新型コロナ感染症の影響などによる利用者の減少により、交通事業者の独立採算を前提とした運行の維持が限界に来ていることから、議員御指摘の制度をはじめ、地域のあらゆる交通資源を総動員していく必要があると認識しております。 このため、交通空白地有償運送の導入に当たっても、運行費の一部を補助してきており、現在、県内12市町村で実施されておりますが、依然として課題は運行費の確保となっております。   〔教育長佐野哲郎君登壇〕 ◎教育長(佐野哲郎君) お答えいたします。 教育のデジタル化推進と民間人材の活用についてでありますが、教育のデジタル化を推進するためには、専門的な知識や技能を有する人材の活用は重要であると認識をしております。現在は、教員への支援としてICT支援員等に民間人材を活用しているところですが、今後は、児童生徒に対しても、ICTを活用した教育活動において、教員と一緒にチームティーチングを行うなど、民間人材のさらなる活用を進めてまいりたいと考えております。 議員御指摘の特別免許制度は、民間人材の活用に有効であると考えており、今後、教員採用選考考査における社会人実務経験者特別選考の実施教科の拡大について検討してまいります。 ○議長(小島隆君) 青柳正司君の質問は終わりました。 次に、樋口秀敏君の発言を許します。樋口秀敏君。   〔樋口秀敏君登壇〕(拍手) ◆樋口秀敏君 未来にいがたの樋口秀敏です。通告に従い、順次質問いたします。 初めに、観光振興策についてお伺いいたします。 昨日、湯沢町のかぐらスキー場が県内のトップを切ってオープンし、新潟県にもスキーシーズンがやってまいりました。少雪とコロナ禍で3シーズン客数が落ち込んだスキー場にとって、またスノーリゾート新潟をうたう新潟県にとって、コロナ禍以前の来客を期待するシーズンの到来であります。 昨日のニュースでも、女性用のサウナを新設したり、着脱のしやすいブランドのレンタルセットを導入したりするなど、スキー場が工夫している様子が報じられていました。 しかし、スノーリゾート新潟を全国に売り込むためにも、またインバウンドを取り込むためにも、エリアとしてのスキー場整備が欠かせません。 北海道のニセコや長野県の白馬では、全山共通リフト券を販売し、集客に効果を上げていますが、共通リフト券を導入するには、リフト乗り場にICゲートが必要となります。 スキー場側からも、エリア全体でスキー場を維持していかなければならないとの声があります。ICゲートが導入されれば、利用客のデータから新たなサービスを提供することも可能になります。 昨年の12月定例会で観光局長は、ICゲートの導入について、必要に応じて支援策を検討していきたいと答弁をされています。 今シーズンから、湯沢・南魚沼共通リフト券、ELEVEN+が販売され、好評な売行きとなっています。北海道、長野に負けないスノーリゾートをつくり上げるためにも、ICゲートによる共通リフト券発行は必須であり、県として施設整備を支援すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 湯沢・南魚沼共通リフト券、ELEVEN+の企画、販売に当たっては、地域DMOである湯沢町観光まちづくり機構が調整機能を発揮して実現したと聞いています。湯沢町スキー場振興協議会が企画したものを、DMOが南魚沼市に働きかけましたが、費用負担の問題などで反発もあったそうです。県の支援も受けながら協議を重ね、実現にこぎ着けてまいりました。 DMOがその機能を十分に発揮できるよう、人材の育成に県としても積極的に取り組むべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 また、湯沢町では湯沢版MaaSの実証実験を受け、地域住民の生活や来訪者の移動の利便性向上に向けた地域交通の在り方を検討しています。 その中では、町民の移動と観光客の移動の双方に対応した、新しい交通移動環境の整備が必要としているところです。また、観光が盛んな地域においては、観光客の移動手段の確保は重要と考えますが、県として観光振興の観点からMaaSの活用をどのように進めようとしているか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、県の組織についてお伺いをいたします。 感染症対応、災害対応等に昼夜を問わず尽力されている県の職員の皆さんに敬意を表し、質問をしてまいりたいと思います。 県の組織体制、とりわけ人員について、この間も県の考えを伺ってまいりました。知事は、災害等を見越した人員の確保は難しく、災害時等には他県などから支援を受ける体制が出来上がっているとして、人員増には否定的な見解を示してきました。 職場の実態はどうでしょうか。2018年1月の教育庁職員死亡事故を受け、同年9月に新潟県庁働き方改革行動計画を策定しましたが、県庁における長時間の時間外勤務は、いまだ改善をされていません。いわゆる過労死ラインを超える時間外勤務の事例も少なくないと聞きます。 人事委員会も今年の報告で、月100時間、年720時間の上限を上回る時間外勤務が常態化している一部の職場においては、業務手法の見直しなど、抜本的な見直しを講じていく必要があると指摘をしています。 人事課が公表している令和2年と3年の4月1日現在の職員定数の比較では、児童相談所とコロナ対応での組織強化で9人の増がありますが、これは国の施策によるものです。ほかではマイナスで、全体で66人の減となっています。 新型コロナウイルス感染症への対応が3年近くになる中、8月の豪雨災害、11月の鳥インフルエンザの発生と災害等が相次ぎ、職場からは限界という声が聞かれます。改めて県の組織のありようについてお伺いいたします。 初めに、知事部局の昨年及び今年の4月1日時点の欠員と代替職員の補充状況、今年4月の地域振興局体制の見直しに伴う定員の増減を伺うとともに、県の業務を適正に執行できる人員が確保できているのか、知事の認識をお伺いいたします。 4月に地域振興局体制の見直しが行われ、7つの地域振興局で企画振興部が廃止され、地域振興局長が地域整備部などの部長を兼職するなど、地域振興局全体として人員が削減されました。8月3日からの豪雨災害に見舞われた、県北地域を所管する村上地域振興局も企画振興部が廃止されました。 地域振興局長は国会議員等の視察への対応を行うとともに、地域整備部長を兼職しているため、地域整備部の災害復旧対応にも当たらなければならず、多忙であったと聞きます。 また、9月に会派で糸魚川市来海沢の地滑り現場を視察いたしました。案内をしてくれた農林振興部の職員は、振興局体制の見直しによる定数削減で現場の負担が増していると話していました。 11月には、来海沢地滑り対策工事の一部に遅れ、2世帯の避難指示継続と報道されました。組織見直しが影響したのではないでしょうか。 組織見直しから8か月を経過して、災害対応を含め課題はないのか、知事の所見をお伺いいたします。 8月の豪雨災害を受け、公共職場は多忙と聞きます。村上地域振興局を訪ねて伺ったところ、土日に誰も出勤しなくなったのは、11月になってからとのことでした。10月までは誰かしら土日も出勤し、職員は月100時間を超える時間外勤務は当たり前、職員が壊れていくのが見えるようだ、絶対的に人員が足りていないと職員からお伺いしました。 8月以降の土木、農地、林業の公共職場における技術職員の時間外勤務の月最大時間と月平均時間、いわゆる過労死ラインと言われる2か月から6か月平均で月80時間を超える時間外勤務を行った者の数を伺うとともに、災害に対応できる人員体制となっているか、知事の認識をお伺いします。 職場からは、管理する立場の者が職員個々の事情に応じたマネジメントができていない、若い人は出世をしなくてもいいから過度な働き方はしたくない、との声も聞こえています。 こうした中、若年者の退職が多いとも聞きます。知事部局並びに病院局、教育委員会の若年退職の状況を伺うとともに、その原因をどのように分析し、離職防止に向けた取組をどのように行っているか伺います。 知事は、9月定例会の連合委員会でも、農業、林業、農業土木職における欠員について、欠員が常態化しているのは本来の姿ではない、職員確保に力を入れていくと述べています。来年度の採用に向けては、県の仕事の魅力を発信していくとされていますが、魅力には賃金や処遇も含まれると考えます。就職してみたら賃金が削減をされていた、長時間の時間外勤務があるのでは魅力ある職場とは言えないのではないでしょうか。 知事部局において、技術職、事務職問わず、若者に魅力ある新潟県庁の職場とはどのようなもので、どのように実現していこうと考えているのか、知事の所見をお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の蔓延、8月の豪雨災害、11月の鳥インフルエンザと災害が相次ぎました。コロナ対応に追われている保健所では、流行の波に伴い応援職員を受け入れてきましたが、それでもなお時間外勤務が増えています。人員不足の状況下、メンタル疾患による長期休業者も発生し、現場では、残された職員が休暇も取れず働き続けていると聞きました。 鳥インフルエンザの対応では、水害対応での村上への応援から戻った翌日に、鳥インフル対応に向かった人もいると聞きます。 また、南魚沼地域振興局では、約180人の職員に対して延べで120人の要請があり、実際に100人ほどが行動に参加したと聞きました。 また、南魚沼地域振興局以外の職場からは、県庁まで自力で移動しなければならず、とりわけ帰路の負担が大きかったと聞いています。 私も2016年11月に職員として関川村の鶏舎に行きました。午後1時過ぎに南魚沼の振興局を出発し、18時から22時まで作業を行いました。奥行きが100メートルもある鶏舎での作業で、初めは餌をもらえるのかと思った鶏ですが、しばらくすると異変に気づいたのか、鳴き声が変わり、ケージの奥へと逃げていきます。これを捕まえて引きずり出すわけですが、時計を見ることができないため時間の経過が分からない中、終わりの見えないまま鶏を捕まえ続ける作業は、精神的にもきついものがありました。午前6時に振興局に戻り、翌日も通常勤務をしました。 今回、水害対応で長時間勤務をこなした後での作業では、メンタル疾患を患う人が現れても不思議ではないと、自らの経験から感じたところであります。 9月定例会の連合委員会でも話しましたが、総務省の都道府県別職員定数調査によれば、2019年と2021年の比較で、36都道府県が職員定数を増やしているのに、新潟県は150人減で断トツのワースト1位であります。 県民の安全と安心を守るためには組織の統廃合や人員削減は限界であり、災害等の非常時にも対応できるよう人員増にかじを切るべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、原発について伺います。 知事は、昨日の代表質問の答弁で、東京電力に対して積極的な情報公開と分かりやすい説明を求めると答弁をされています。柏崎刈羽原子力発電所は、原発推進の人にとっても、反対の人にとっても大きな関心事です。全ての県民が理解できるよう、知事からも積極的な情報公開と分かりやすい説明が行われることを期待して質問を行います。 知事には、今任期中に柏崎刈羽原発の再稼働の判断をすることが予想されます。知事が再稼働の判断を行うに当たっては、3つの検証の結果はもちろん、知事自身の政治信条、国の政策、社会情勢、県民の声など、様々な要素を勘案して判断することになるであろうと思いますが、その中でも一番重きを置くものは何か、知事の所見をお伺いいたします。 産業経済委員会で10月に、公益財団法人福島県産業振興センター、エネルギー・エージェンシーふくしまを視察し、福島県の再生エネルギーへの転換の取組を伺いました。福島県では、2040年頃をめどに県内のエネルギー需要量の100%以上に相当する量のエネルギーを、再生可能エネルギーで生み出すとした再生可能エネルギー導入目標を立てて取組を進め、2021年度には原油換算で47%に達したといいます。 知事は、原子力事業は国策で進められてきたと述べていますが、福島県のように県独自で脱原発の取組を進めることは可能です。知事は、将来的には原子力発電に依存しない社会を目指すと述べており、新潟県においても積極的に再生可能エネルギーの導入を進め、一日も早い脱原発社会の実現を目指すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 岸田首相は、8月のGX、グリーントランスフォーメーション実行会議で、最長60年の運転期間延長の検討を指示しました。昨日には、経済産業省が総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会を開催し、廃炉が決まった原発の次世代型原発への建て替えや、60年を超える運転延長を盛り込んだ行動指針を大筋で了承しました。実現すれば、脱原発社会の実現が遠のくことになります。 将来的には原発に依存しない社会を目指すとしてきた花角知事として、どのように受け止めているのか、所見をお伺いいたします。 岸田首相が来年夏以降の再稼働を目指すとしている柏崎刈羽原発7号機は、先日も、蒸気を冷やして水に戻す循環水系配管に直径6センチの穴が見つかりました。東京電力によれば、2015年の点検作業の際の傷が原因で腐食が進み、10月のポンプ起動時に水流に引っ張られて欠損したとのことです。 運転停止期間を60年に加えて延長させる考えも示されていますが、同機は2011年から稼働しておらず、経年劣化とともに、今回のように長年動かさなかったものを動かした際などに新たな欠陥、不具合が生じることが懸念されます。長期間停止していた原発を動かすことに対する知事の所見をお伺いいたします。 9月21日、原発事故に関する3つの検証の説明会及び意見交換会の長岡会場に参加をしました。当日の来場者は100人程度でありました。避難生活への影響に関する検証委員会の松井克浩座長は、原発事故はある日突然現れて生活を奪うもの、見知らぬ土地で一からやり直さなければならない、自分事として捉えてほしいと、検証結果を説明する冒頭で述べられました。 2012年8月に福島県双葉郡を訪れたときのことを思い出します。洗濯物が干されたままの民家、歓送迎会の旗が掲げられたままの飲食店を目にしたとき、2011年3月12日に、着のみ着のままで避難した様子がうかがえました。まさに、ある日突然生活が奪われたまちの姿でした。新潟県のまちのどこも、このような姿にはしてはいけないと心配する人たちが来られていたのだと思います。 避難委員会の関谷直也委員長は、県民に理解されて初めて実効性ある計画となると述べていました。しかし、私の印象では、県民の不安に寄り添い、理解を求めるというより、県の考えを押しつける会のように感じました。 知事は、今回の説明会で会場に来られた皆さんをはじめ、県民に十分な説明ができ、理解が進んだと考えているのか伺います。 また、説明会の趣旨は膨大、多岐にわたる報告書の内容を分かりやすく説明を行い、理解をしていただくものとのことでした。そうであるならば、知事が再稼働の判断を行う前に、広く県民に検証委員会の検証結果が理解されるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 避難委員会の検証報告書には、屋内退避に関する基本的な考え方として、屋内退避は放射性物質の吸入抑制や放射線を遮蔽することにより、内部被曝、外部被曝の低減を図る防護措置と書かれています。その上で、高齢者などの要配慮者を無理に搬送することは、健康悪化や生命の危険を招く場合があるとして、安全確保の第一の手段として屋内退避が選択される場合があるとしています。 要配慮者が屋内退避することで放射線を遮蔽し、被曝を抑制するためには、退避する建物には放射線防護対策が取られていなければなりません。 しかし、令和3年度普通会計決算審査特別委員会の答弁では、放射線防護対策事業の対象施設は、医療機関や福祉・介護施設に限って見た場合でも、原発からおおむね10キロ圏内に23施設あり、13施設が事業未実施とのことでした。 少なくとも再稼働の判断をするまでに、全ての対象施設について放射線防護対策が行われているべきと考えますが、知事の所見を伺います。 10月24日から原子力防災訓練が実施され、報道によれば、29日にマイカーでの避難などを想定した住民参加の訓練が実施されました。地元紙には、地震を伴う場合、どの道を通れるのか情報を得るのが難しい、避難先が遠くて疲れる、雪も心配だ、参加者が少なかった、実際にはこうスムーズにはいかないだろうなどの感想が掲載されていました。 また、さきにお話をした検証委員会の説明会でも、雪のとき、地震で雪崩が起きたらどう避難するのか、冬場に柏崎の人はどれぐらい避難できるのかなど、冬期間の避難を心配する声がありました。 視察後に知事は、いろいろな手順に疑問や課題が出ているようだと述べていますが、具体的にどのような疑問と課題があり、今後どのように解決していく考えか、知事の所見を伺います。 次に、医療・福祉について伺います。 12月6日付地元紙の1面トップ記事に、県央基幹、看護職員100人不足とありました。これまで魚沼基幹病院で看護職員確保が計画どおりに進まなかったため、その検証を十分に行い、県央基幹病院の看護職員確保を進めるべきと再三指摘をしてきました。その都度、魚沼基幹病院の検証の上に県央基幹病院の準備を進めるとの答弁があっただけに、驚く以外にありません。 記事には、県央基幹病院に統合される県立燕労災病院と厚生連三条総合病院の転籍希望者のみが掲載されていましたが、他病院の状況には触れられていませんでした。県は今後の採用活動で充足を目指すが、実際に確保できるかは不透明だともありました。 県央地域には指定管理となる県立加茂病院、吉田病院もあるわけで、現在同病院に勤務する職員の処遇が、県央基幹病院の職員確保に、また県央地域に医療人材を確保し、地域に必要な医療サービスを提供するためにも重要と考えています。 県立加茂病院、吉田病院で働く正規職員の派遣や非正規職員の処遇について、病院局長は9月定例会で、地域の医療水準を維持し、運営法人の職員確保と県立病院職員の雇用継続を図るため、正規職員の派遣や非正規職員の運営法人への再就職について運営法人と協議を進めていく、協議に当たっては職員一人一人の意向に最大限配慮すると答弁をしています。 2病院の職員が、指定管理による加茂病院、吉田病院、県央基幹病院において派遣を含めて雇用されることが、県央地域の医療水準維持につながるものと考えますが、各病院の職員の確保状況と法人との協議の状況をお伺いいたします。 6月定例会で、魚沼基幹病院の循環器系疾患の24時間体制での急患受入れには、看護職員の育成を含めた実績の積み重ねが必要との見解が示されました。一方、南魚沼市民病院では心臓カテーテル検査・治療が行われています。 地域で一つの病院というコンセプトを実現するためには、各医療機関の機能分担を図ることが必要であり、地域医療構想調整会議の役割は重要と考えますが、魚沼医療圏の医療について、これまでどのような議論が行われ、今後どのように進めようとしているのか、お伺いをいたします。 魚沼基幹病院は、若い職員からも安心して働いてもらえるよう、開院時から院内保育所が整備をされています。同病院には若い看護職員が多く、育児をしながら働く職員も多いのが現状です。安心して働き続けるために、保育時間の延長や給食の提供を求める声がありますが、院内保育所の利用状況と今後の整備方針についてお伺いをいたします。 新型コロナウイルス感染症が第8波の広がりを見せる中、医療機関においても職員の感染、濃厚接触による休職者が多く、診療機能を縮小している実態があります。 先日、魚沼基幹病院を受診した際、受付に、自宅待機者が多く、外来診療を一部縮小して行っていますと貼り紙がありました。感染拡大で県内の救急医療に影響が出始めたとの地元紙の報道もあります。 既に診療体制の縮小がこのように行われている中、さらに感染が拡大すれば、受診控えや診療の先延ばしによる重症化などが懸念をされるところです。県民の健康保持のために医療提供体制をどのように維持していく考えか、お伺いをいたします。 コロニーにいがた白岩の里では、指定管理者の募集が行われています。現在勤務している職員は新潟県の福祉行政にとって貴重な人材で、指定管理移行後も県の福祉行政に携わってもらうことが有益と考えますが、指定管理移行後の職員の処遇についてどのように考えているか、所見をお伺いいたします。 最後に、県政の諸課題として、除雪に関連してお伺いをいたします。 2日の夕方には新潟市内も白く染まり、いよいよ冬の季節を迎えました。除雪のことが心配であります。 令和3年度の普通会計決算審査特別委員会で、我が会派の大渕委員が除雪費支援についてただしたところ、令和2年度の大雪に伴う災害救助法適用の救助費のうち約1億円が保留になっており、さらに令和3年度の大雪については災害救助法を適用せずに、市町村と協議の上、災害救助条例を適用して約6,000万円ずつ負担したとのことが明らかとなりました。 令和3年1月の豪雪では、長岡市や上越市など6市に災害救助法を適用し、5,878世帯の救助費4億4,380万円を国に申請したところですが、審査が従来より厳しくなり、約1億円が保留になっているとのことです。 加えて、今年2月には当初から災害救助法は適用せず、災害救助条例を適用して1億2,700万円の救助費を県と市町村で負担したとのことでした。 財政難で県民や職員に負担を強いている中だけに、保留分を早急に認めてもらうとともに、今後は災害救助法の適用要件を満たす場合には、ちゅうちょなく法適用を行うべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 最後に、重ねて分かりやすい答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 樋口議員の一般質問にお答えします。 まず初めに、DMOの人材育成についてでありますが、議員御指摘のとおり、湯沢・南魚沼共通リフト券の企画に当たっては、地域DMOが、索道事業者間の合意形成に際して、中心的な役割を担ったものと承知しています。 DMOには、関係者間の合意形成を進めながら、地域における取組方針を策定し、一元的なプロモーションなどを実施することが期待されており、これらの役割を担う人材の育成は重要と認識しています。 県では、観光協会と連携をして、DMO等の観光関係団体のスタッフを対象とした各種の人材育成研修を実施しているほか、市町村の垣根を越えて、地域の観光関係者が誘客促進を図る取組を推進しているところであり、今後も、こうした取組を通じて観光人材の育成を図ってまいります。 次に、観光振興の観点からのMaaSの活用についてでありますが、MaaSを導入することで、移動手段の拡大や移動の効率化などが図られ、地域住民や観光客などの来訪者の利便性の向上につながることが期待されており、県内では、湯沢町、佐渡市において、地域住民や観光客の利用を想定した検討が進められていると承知しています。 県では、湯沢町、佐渡市の取組への支援を行ってきたところであり、引き続き、観光振興の観点からも、国や県の支援メニューや関係事業者の紹介を行い、地域の実情に応じたMaaSの活用が図られるよう取り組んでまいります。 次に、県の組織についてお答えします。 まず、人員の確保についてでありますが、行政運営においては、限られた資源の中で効率的で質の高い行政サービスを提供することが重要であり、新たな行政需要に的確に対応しつつ、業務の効率化に向けて不断の見直しを行いながら、業務量に応じた適正な人員配置に努めているところです。 一方、受験者数の減少により合格者が予定の人数に満たないほか、採用辞退者の発生等により定員に対して欠員が生じているものであり、常態化していることは本来の姿ではないものと考えております。 このため、県の仕事の魅力ややりがいを学生等に効果的に情報発信することや、試験方法の見直しのほか、社会人採用も積極的に行うなど、職員の確保にしっかりと取り組んでまいります。 なお、欠員の状況等については、総務部長からお答えいたします。 次に、地域振興局体制見直し後の状況についてでありますが、このたびの見直しに当たっては、災害対応など即応が必要な業務や県民生活に密接に関わる現地性が高い業務については、引き続き各地域振興局で担うこととしており、所管業務が確実に遂行できるよう、業務量に応じた適正な人員配置に努めたところであります。 一方で、大規模な災害が生じた場合には、従来から、所管する地域振興局のみに委ねるのではなく、全庁的な応援体制などにより対応することとしており、8月の豪雨災害に対しても、初動の段階から全庁を挙げて対応してきたところであります。 総じて、今回の地域振興局体制見直しによる大きな影響は生じていないものと考えておりますが、今後も、地域の実情なども把握しつつ、災害時における応援体制も含め、対応すべき課題があった場合には、適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、災害に対応できる人員体制についてでありますが、災害時の対応に当たっては、初動の段階から他地域からの応援職員の派遣や増員を行うほか、災害の規模に応じて他県からの応援職員を受け入れることなどにより、できる限り特定の職員に過度な負担が生じないよう努めているところであります。 8月の豪雨災害においては、応急工事の実施や災害査定などに、短期間で集中的に対応する必要があり、応援職員を派遣してもなお、一定の時間外勤務が生じましたが、その後、組織体制の整備や増員を行ったところであります。今後、長時間の時間外勤務が生じないよう努めてまいります。 なお、8月の豪雨災害に対応している所属における職員の時間外勤務の状況につきましては、総務部長からお答えをいたします。 次に、若者に魅力ある職場の実現についてでありますが、県の職場を魅力あるものにしていくためには、仕事のやりがいを向上させることが重要であると考えております。 職員へのアンケート調査によれば、仕事のやりがいの向上のためには、自分のやりたい仕事、興味・関心のある仕事ができることや、仕事を通じて自分の成長を実感できることが必要と考える若手職員が多い結果となっています。 このため、若手職員による政策提案や、適正な人事評価、公募制人事の活用などにより、意欲・能力のある職員の積極的な登用を行っていきたいと考えております。 あわせて、意見や知恵を出し合い、風通しのよい職場づくりを進めるとともに、職務経験や研修などを通じて、若手職員が自己の成長に向け、今後の目標やキャリア形成を意識し、意欲とやりがいを持って仕事に臨めるよう取り組んでまいります。 次に、災害等の非常時にも対応できるよう人員増をすべきとの御意見でありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、行政運営においては、簡素で効率的な行政体制の下で業務量に応じた適正な人事配置に努めることが重要と考えています。 議員御指摘の災害時等の対応は、危機管理対応として、別途適切に検討すべきものであり、大規模な災害や感染症などが生じた場合においては、平常時の体制にかかわらず、初動の段階から全庁を挙げて対応できる体制をあらかじめ準備しておくとともに、災害等の状況に応じて、速やかに新たな組織や人員体制を整備することで対応してまいりたいと思います。 次に、原発についてお答えをします。 まず、柏崎刈羽原発への対応についてでありますが、県民の命と暮らしを守ることを第一に、引き続き必要な対応をしてまいります。 柏崎刈羽原発の再稼働の議論については、3つの検証結果が示された後に、条件や手続を含め、始めたいと考えております。 次に、脱原発社会の実現についてでありますが、私としては、将来的に原発に依存しない社会の実現を目指すべきとの考えに変わりはなく、本県においても、引き続き、多様な地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入を促進してまいります。 原発に依存しない社会は、本県だけでなく国全体で取り組まなければ実現できないことであり、国においてもあらゆる政策を総動員して、再生可能・次世代エネルギーの活用を進めていただきたいと考えております。 次に、原発の運転期間延長に関する受け止めについてでありますが、御指摘の件は、GX実行会議で示されたものであり、国はエネルギー政策について、安全性を大前提に、安定供給、経済性、環境適合の同時達成を目指して決定し、国民に分かりやすく丁寧に説明していただきたいと思います。 なお、今ほどお答えしたとおり、私としては、将来的に原発に依存しない社会の実現を目指すべきとの考えに変わりはなく、本県においても、引き続き、多様な地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入を促進してまいります。 次に、長期間停止している柏崎刈羽原発7号機を動かすことについてでありますが、再稼働の議論につきましては、3つの検証の結果が示された後に始めたいと考えております。 次に、検証報告書に関する説明会についてでありますが、説明会におけるアンケート結果では、検証に関する理解が深まったとの意見が多数あったことから、一定の成果はあったものと考えています。 なお、県が行っている原発事故に関する3つの検証や、柏崎刈羽原発の安全対策の確認の状況については、県民の皆様と情報共有することは重要であると考えています。 そのため、各委員会を原則公開で行うとともに、資料や議事録はホームページに掲載し、議論の状況は、随時、新聞広告、広報紙、説明会等により情報提供してきております。また、今回の説明会内容については、県ホームページにおいて動画で閲覧できるようにしております。引き続き、広く県民の皆様に分かりやすく情報提供してまいります。 次に、放射線防護対策事業についてでありますが、放射線防護対策実施施設を増やすことは、要配慮者等の防護対策として望ましいと考えておりますが、議員御指摘の13施設については、建物の構造上、実施が困難なことや、工事の実施により施設の利用制限が生じることなどの課題もあるため、実施に至っておりません。 このため、引き続き、対象となる施設と丁寧に調整を進めることにより、放射線防護対策実施施設の増加を図ってまいりたいと考えております。 次に、原子力防災訓練における課題とその対応についてでありますが、今年度の訓練では、新たな取組として、原子力災害時の主な避難手段である自家用車による住民避難訓練や、高速道路のサービスエリアにおいて住民参加によるスクリーニング検査の訓練などを実施いたしました。 課題としましては、実際の原子力災害時を想定し、避難者や車両数がさらに増えた場合の対応や、自家用車避難者に対する的確な避難情報の提供や案内などについて、検討が必要ではないかと考えているところであります。 県といたしましては、国、市町村、関係機関と連携をし、訓練の中で明らかになった課題の解決に取り組むとともに、引き続き、様々な想定や避難手段による訓練を実施することによって、原子力災害時における対応力のさらなる向上を図ってまいります。 次に、医療・福祉についてお答えをいたします。 まず、感染拡大時における医療提供体制の維持についてでありますが、感染が拡大する中、一部の医療機関において院内感染が発生し、入院受入れの制限をしているところがありますが、こうした事態も踏まえた上で、本県の患者受入調整センターにおいて全県一括で入院調整を行うことにより、入院が必要な方が確実に入院できるよう、医療提供体制の維持に努めてきたところであります。 また、医療逼迫の懸念が生じた第7波の経験も踏まえ、診療・検査医療機関のさらなる拡充の促進や診療時間延長の要請、有症状者への抗原検査キット配布の継続、重症化予防のための経口抗ウイルス薬の普及促進、新型コロナ病床のさらなる確保の働きかけと入院待機ステーションの再開など、限りある医療資源の中で適切な医療を提供できるよう取組を進めているところであります。 これらの取組のほか、ワクチン接種等の県民への呼びかけ、陽性者登録・フォローアップセンターの対応能力の拡充、発熱患者等の相談体制の強化などの取組を進め、引き続き、感染拡大時における医療提供体制の維持に努めてまいります。 次に、コロニーにいがた白岩の里の指定管理者制度移行後の職員の処遇についてでありますが、指定管理者制度への移行により、これまでコロニーに勤務していた職員は、児童相談所などの機関に異動し、引き続き県職員として勤務することを想定しておりますが、一部の職員については、指定管理者への人的支援として、コロニーに県職員として派遣することを想定しているところであり、指定管理者候補の選定後に具体的な協議を行う予定としております。 議員御指摘のとおり、コロニーをはじめとする福祉部門の職員は、県の福祉行政を担う貴重な人材であり、今後は、施設における直接支援にとどまらず、相談支援や企画立案等の幅広い分野において、その専門性をさらに発揮してもらいたいと考えております。 次に、県政の諸課題についてお答えをします。 令和2年度の災害救助法救助費の国保留分の状況と、今後の法適用についてでありますが、先月、国保留分に関する精算再監査が行われ、現時点では、保留分の約9割は救助除雪の必要性が認められるものと見込んでおります。 今後は大雪により災害救助法の適用要件を満たす場合には、ちゅうちょなく法適用を行ってまいります。   〔総務部長小岩徹郎君登壇〕 ◎総務部長(小岩徹郎君) 3点についてお答え申し上げます。 欠員等の状況と地域振興局体制の見直しに伴う定員の増減についてでありますが、欠員については、昨年と今年4月1日時点では、いずれも60人程度となっており、この欠員に対する臨時的任用職員の採用による補充については、いずれも40人程度となっております。 また、今年4月の地域振興局体制の見直しに伴う定員の増減については、企画振興部のスリム化や広域的に調整すべき業務等の集約により、40人程度の減員となっております。 次に、8月の豪雨災害に対応している所属における職員の時間外勤務の状況についてでありますが、村上地域振興局における8月から10月までの時間外勤務について、地域整備部においては最多で月194時間、1人当たり平均で月54時間であり、農林振興部においては最多で月129時間、1人当たり平均で月29時間となっております。 また、この間に2か月ないし6か月平均で月80時間を超える時間外勤務を行った職員は、地域整備部で21人、農林振興部で4人となっております。 次に、知事部局における若年者の退職の状況等についてでありますが、20代及び30代の職員の退職者数は、令和元年度以降は平均で年25人程度となっており、それまでの平均10人程度から増加しております。 退職の理由としては転職が最も多く、そのほか、体調不良や結婚、家庭事情等様々であります。 また、令和3年に実施した職員アンケートでは、県を辞めたいと思う理由として、もっと魅力的な仕事に就きたい、仕事と家庭の両立が難しいとの回答が多くなっております。 離職の防止に向けては、先ほど知事がお答えしたとおり、意欲・能力のある若手職員の積極的な登用を行うとともに、風通しのよい職場環境づくりや、休暇制度の充実や柔軟な働き方の導入など、職員のワーク・ライフ・バランスを推進することにより、職員が意欲とやりがいを持って仕事に臨めるよう取り組んでまいりたいと考えております。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 3点お答え申し上げます。 県央基幹病院の職員の確保状況等についてでありますが、燕労災病院と三条総合病院の統合2病院の職員に最終的な転籍の意向を確認した結果、職員全体の約75%が転籍意向を示しております。 特に、看護職員につきましては、転籍対象職員354名のうち、約8割に当たる278名が県央基幹病院での勤務を希望していることに加え、今年度は年度中に既卒看護職員を21名採用し、来年4月に採用予定の50名と合わせて、計約70名を確保したところです。 これにより、必要となる看護職員数約400名に対し、既に約350名を確保している状況であり、追加的に確保が必要となる職員数は50名程度となっております。来年度に、今年度の採用実績である約70名と同程度を確保することにより、必要数を確保できる見込みであることから、現時点では、運営法人である新潟県済生会からは、県立病院職員の派遣を求められていない状況となっております。 次に、魚沼医療圏の地域医療構想調整会議におけるこれまでの議論と今後の進め方についてでありますが、魚沼医療圏においては、これまで、地域医療構想調整会議などの場で、各医療機関における医療提供体制の現状が共有されるとともに、主に急性期機能を担う魚沼基幹病院を中心として、役割分担と連携を進めていくとの方向性について合意が得られ、周辺医療機関との機能分担が進みつつあります。 今後も、望ましい役割分担や連携の在り方について、さらに議論を深めていく必要があると考えており、議員御指摘の循環器系疾患の診療も含めて、各医療機関の診療実績や、将来の医療需要の見通しなどを確認しながら、持続可能で質の高い医療提供体制の構築に向けた議論を継続してまいりたいと考えております。 次に、魚沼基幹病院の院内保育所の利用状況と今後の整備方針についてでありますが、院内保育所の具体的な運用に関しては、指定管理者である運営財団が適切に対応すべきものでありますが、利用状況を確認したところ、1日平均の利用者数は、定員10人のところ、2人程度と聞いております。 また、保育時間の延長や給食の提供といった対応については、現状を踏まえた適切な対応がなされるよう、財団の取組を引き続き支援してまいります。   〔観光文化スポーツ部長妹尾浩志君登壇〕 ◎観光文化スポーツ部長(妹尾浩志君) お答えいたします。 スキー共通リフト券発行に係る設備導入支援についてでありますが、スキー共通リフト券の導入は、訪日外国人を含むスキー観光客の取り込みや、周遊促進による域内消費の増加につながるものと考えており、ICゲートを活用することで、より利便性が高まるものと認識しております。 県といたしましては、湯沢・南魚沼エリアにおける今シーズンのスキー共通リフト券導入に対して、発券システムの構築やプロモーション活動への支援を行っているところであり、議員御指摘のICゲートなどの設備導入に対する支援につきましては、個々の索道事業者のニーズや関係自治体の意見などを踏まえながら、検討を進めてまいりたいと考えております。   〔病院局長山﨑理君登壇〕
    ◎病院局長(山﨑理君) 病院局における若年者の退職の状況等についてでありますが、県立病院における20代及び30代の職員の退職者数は、医師及び歯科医師を除き、令和3年度は48人、うち看護職員が46人となっております。 退職の理由としては転職、病気、家庭の事情、結婚など様々ですが、働きやすい職場環境の醸成の観点から分析を行ったところ、特に昨年度は、例年に比べ新採用職員の退職が多く、新型コロナウイルス感染症の影響により、同期や同僚など職員間のコミュニケーション不足が要因の一つになったものと考えております。 このため、令和4年度は新採用職員研修を拡充し、新人フォローアップ研修を実施するとともに、メンタルヘルス相談員による個別面談なども実施したところです。 また、重要な課題であるハラスメントの撲滅に向け、トップメッセージの発出や職員アンケートによる実態調査などに取り組んでいるところです。 今後は、看護職員が希望する多様な勤務形態の導入や事務負担の軽減など、引き続き、現場の意見を聞きながら検討を進め、働きやすい職場環境づくりに努めてまいります。 次に、指定管理者制移行後の加茂病院、吉田病院の職員の確保状況等についてでありますが、両病院に勤務する職員を主な対象として、運営移行後の希望勤務地等に関する第1回目の職員意向調査を11月に行い、今後も段階的に実施する予定としております。 また、両病院の指定管理者である医療法人崇徳会、医療法人愛広会においては、運営移行後の院長予定者を決定するとともに、看護師等の職員採用説明会の開催や職員募集に関するホームページ等による周知など、法人独自に職員確保に向けた取組を行っております。 現在、指定管理者と職員確保に向けた協議を行っており、地域の医療水準を維持し、運営法人の職員確保と県立病院職員の雇用継続を図るため、意向調査の結果や法人の職員確保状況を踏まえ、引き続き両法人と協議を進めてまいります。   〔教育長佐野哲郎君登壇〕 ◎教育長(佐野哲郎君) お答えします。 教育委員会における若年者の退職の状況等についてでありますが、公立小・中・高及び特別支援学校の20代及び30代の教職員の退職者数は、令和3年度は107人となっており、退職の理由は、他の自治体での採用や、病気、転職等様々ではありますが、年々増加傾向にあります。 県教育委員会といたしましては、離職防止に向けて、若年者が一人で悩みを抱え込むことがないように、新任校長研修等で指導を行い、チームでサポートする体制を整えるとともに、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員等の外部人材の配置拡充による教職員の負担軽減に取り組むなど、働きやすく魅力ある職場環境づくりに努めてまいります。   〔樋口秀敏君登壇〕 ◆樋口秀敏君 何点かお伺いしたいと思います。 1点目は職員の確保の関係でありますけれども、災害対応等含めて支障は生じていないというようなお話があったり、それから特定の職員に、支障はあってはならないわけですけれども、来海沢の話など直接影響があったかどうか分かりませんが、やはり人が少なくなるということは、どこかしらに無理がきているのではないかなと思います。 そして、特定の職員に過度の負担が生じないように努められているということですけれども、全体が平均化して負担が増しているのではないかなというふうに思います。 若年者の退職が、理由は様々とのことでしたけれども、ずっと増えているという中で、やはりこのことについては改めて、問題はないということではなくて、見直す必要があるのではないかと。本当に採用されて賃金が削減されている、長時間労働があるという中では、やりがいのある職場というお話ありましたけれども、本当にそうなっているのか、改めて知事のお考えをお伺いしたいと思います。 それから、原発の関係で、運転期間の延長の関係で、知事は原発に依存しない社会を目指す考えに変わりがないということですが、そうだとすれば、国の施策とはいえ、延ばすことについては、やはり異を唱えるなりあってもいいのではないかなと思うのですが、非常にその辺は矛盾するのではないかと思いますが、改めてお伺いしたいのと、説明会のところの県民理解、あるいは放射線防護施設の対策、これらについて、質問の中では再稼働の判断を行う前に理解がちゃんとされるべきではないかと、対策が取られるべきではないかということでお伺いしましたが、再稼働の判断との関係については回答がなかったかと思います。ここは再稼働の判断を行う時期との関係について、改めてお伺いをしたいと思います。 それから最後に、福祉保健部長にお伺いをしたいのですが、看護職員の確保の関係で、県央基幹病院について、きちんと対応ができるのだというお話がありました。だとすると、つい先日ですよね、6日の新潟日報では1面トップで100人不足と、しかも県への取材で分かったと書いてあるわけですけれども、こういったところについては取材が誤報だったのでしょうか。これは県民にとって非常に誤った認識を与えるものだと思います。 しっかり確保ができるのであれば、それは好ましいことだと思いますけれども、だとすれば、こういったところを1面トップでこれだけ報じられているところに対して、やはり訂正を求めるとか、そういったことが必要なのではないかと思うのですけれども、この辺の考え方について改めてお伺いをしたいと思います。分かりやすくよろしくお願いいたします。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 樋口議員の再質問にお答えいたします。 先ほど申し上げましたけれども、行政運営においては、簡素で効率的な行政体制の下で、業務量に応じた適正な人員配置に努めることが大事だと考えています。御指摘の災害時の対応などは、まさに危機管理対応として、別途適切に検討すべきものであって、大規模な災害や感染症などが生じた場合においては、平常時の体制にかかわらず、初動段階から全庁を挙げて対応できる体制をあらかじめ準備しておく、災害等の状況に応じて、速やかに新たな組織や人員体制を整備する、そうしたことで対応できるものだと考えております。 2つ目が、おっしゃられたのは、将来的に原発に依存しない社会を目指す、これは私は変わっておりませんと申し上げておりましたが、運転期間の延長の話がございましたけれども、これは国のエネルギー政策として、安全性を大前提に、安定供給、経済性、環境適合の同時達成を目指して決定し、国民に分かりやすく丁寧に説明していただきたいと思います。 それから、3点目がよく分からなかったのですが、検証の報告書の内容を県民の皆さんに理解していただく、そうしたことが判断を行う前提ではないかという御質問をされたということだったと思いますけれども、情報の共有そのものは非常に重要だということは繰り返し申し上げてきたところで、そのためにも各委員会は原則公開で行われていますし、資料や議事録もホームページに掲載し、さらに随時、新聞広告や広報紙、説明会などで情報提供してきておりますので、しっかり県民の皆さんに理解していただけるように引き続き努力してまいりたいと思います。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 樋口議員の再質問、12月6日付新潟日報の1面トップ記事、県央基幹、看護職100人不足という記事に関して、先ほど樋口議員に御答弁申し上げた件との関係、及び報道事実と報道対応に関しての部の考えをお答えさせていただきたいと思います。 議員御指摘のとおり、12月6日付の新潟日報におきまして、県央基幹、看護職100人不足という記事が掲載されておりまして、内容としましては、看護職員の必要数400人に対して100人不足をしているという記事の内容になっておりまして、先ほど私から答弁申し上げた今年度中の既卒看護職員採用21名に関しては記事中にございます。 実はその後、記事の中にも来年4月採用の職員数のうち40名の記載がございますが、差引きの100人には入っていないという記事になっております。 事実関係ですけれども、取材がございまして、先ほど議員に答弁申し上げた内容と同じ内容を取材でお答えしております。 また、記事の掲載後も改めて説明をしているところでございますが、本日の議員の御指摘も踏まえまして、県の考え方に関して広く公表するような対応も検討するとともに、改めて報道を行った者に対して、事実関係等を説明してまいりたいと考えております。   〔樋口秀敏君登壇〕 ◆樋口秀敏君 2点お願いします。 1点は知事に対してで、県民の理解を広めるために様々な方法で周知等を行っているということは理解をいたしました。しかし、そのことと理解が深まった、皆さんが理解したかということは違うと思うのですけれども、そういった形でいろんな方法で周知をすることによって、イコール理解が深まったということで、知事が最終的に、どういう判断をされるかは知事の御判断でいいと思うのですけれども、していくという理解でよろしいのか、具体的にこういうふうになったら理解が深まったということよりも、そうやって情報提供したことで理解が深まったという捉え方で判断をしていくということでよろしいのかだけ伺いたいのと、それから福祉保健部長に、今ほどの件ですけれども、事実関係の相違といいますか、また説明をされるというお話があったのですけれども、具体的に今お話しできるのであれば、その内容をお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 樋口議員の御質問にお答えしたいと思いますが、3つの検証の報告の内容等について、これは再稼働に関する県民の判断の材料にするということで進められてきた検証作業でございますけれども、この検証結果について県民の皆さんと情報共有することが重要であると、これは繰り返し申し上げてきたところです。 理解が深まったという言葉は私は使っておりませんで、先ほど最初の答弁で申し上げたのは、説明会におけるアンケート結果では、検証に関する理解が深まったとの意見が多数あったことから、一定の成果はあったものと考えていますということは申し上げました。 情報共有をするということが重要だということは、今申し上げたように、繰り返し申し上げているところでありまして、そのために、先ほど来申し上げています様々な手段を使って情報の提供をしているというところであります。 情報共有がどこまで進んだかどうかというところについては、これは評価のしようがなかなかないのですけれども、最終的には、3つの検証が全部出てきた後、県民の皆さんと再稼働に関する議論が始まった後のどこかで、最終的にリーダーとして結論を考えなければならないとは思っております。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 樋口議員の再々質問にお答え申し上げます。 新潟日報社の報道との相違点に関して県民に広く知っていただく方法についてでありますが、例えば、プレスリリースなどで私どもの状況を改めて数字で説明するなどの方法があると考えております。 いずれにいたしましても、報道から少し時間がたっておりますので、議員御指摘の点も踏まえまして早急に対応を検討してまいりたいと考えております。 ○議長(小島隆君) 樋口秀敏君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。  午後0時14分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時15分 開議 ○副議長(楡井辰雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、杉井旬君の発言を許します。杉井旬君。   〔杉井旬君登壇〕(拍手) ◆杉井旬君 リベラル新潟の杉井旬です。通告した5つの項目について質問します。 最初に、財政問題について質問します。 知事は、本県財政の悪化要因を県債残高の水準がもともと高かったことに加え、度重なる災害対応のため歳出構造が硬直化する中、資金手当債を発行してきたことや、公債費に対する交付税措置の減少などの影響により公債費の実負担が増えた、人口減少に伴い地方交付税が減少し、税収の伸び悩みなどにより歳入が大幅に減少した、早くから対策を講じるべきだったが、高い経済成長率などを前提に収支を見通していたことなどから、財政状況の悪化を見通していなかったと説明されています。 そして、このことをしっかりと反省し、教訓として持続可能な財政運営に取り組んでまいりたいとも述べられていますから、花角県政においては、今後も引き続き財政の健全化に向け手堅い予算編成を続け、再度財政危機に陥らないよう細心の注意を払われるものと思います。 しかし、将来は分かりません。知事や財政担当職員が替わった後も、手堅い編成が続くとは限りません。実際、本県は平山県政時代にも財政危機に陥っています。平成14年から3年間、知事などの特別職のほか、管理職や一般職も生活給である給料を削減しています。新潟県では今後二度とこのような事態を起こさないようにしなければならないと、当時の知事も担当職員も思っていたはずですが、18年後、再び一般職員の給料を削減する事態に陥ってしまいました。 前回の財政危機の要因も、長期の経済低迷による税収の減少と地方交付税制度の見直しなどによる歳入の伸び悩み、公債費や人件費などの義務的経費の増加や、介護保険制度など新たな行政需要の増大などでした。 平山県政の間には2度目の財政危機は訪れませんでしたが、知事が何人か替わった後、再び本県の財政は危機的状況に陥りました。 そこで、伺います。 花角県政の間に再度財政危機に陥るようなことは起こらないと思いますが、現在の取組は当面の危機を脱するための対策が中心であります。今後、知事が替わり、超積極財政派や投資先行型の人物が県政の指揮を執った場合、健全財政を守り切れるのか懸念されることから、将来にわたって健全財政を維持するための対策は不十分と考えます。 平山県政と花角県政で2度の財政危機を経験した本県として、二度あることは三度ある、としないための恒久的な対策を講じることが、2度目の財政危機に遭遇した私たちの役割ではないかと考えます。 そのような観点から、現在の行財政改革行動計画や公債費負担適正化計画だけで十分か、将来世代に安心してバトンを渡すことができるのか、知事の所見を伺います。 大阪府は、平成23年に財政運営基本条例を制定しています。収支の均衡や財源の確保などについての理念を定めたほか、府債発行の条件を厳格化し、基金からの借入れや損失補填などを禁止しています。また、財政収支の試算と財政評価指数の公表などを義務づけています。 兵庫県の場合は、もう少し理念条例に近い、県政改革の推進に関する条例を定めています。 変化の激しい時代に、条例で予算編成権をどこまで縛ることが可能なのか、また縛ることが適切なのかの議論は必要ですが、将来、財政規律を緩めてでも今は投資すべきときだ、今思い切って投資をしなければ新潟県は時流に乗り遅れ、衰退してしまう、県民に選ばれた私の指示に従えなどと説く積極財政派の知事が現れたときに、県民の代表で構成する議会が可決した条例は、一定の抑止力になるものと考えます。 そこで、伺います。 現在の財政健全化に向けた対策とは別に、将来、3度目となる財政危機に陥らないようにするための対策として、一定の抑止力となる条例制定や、拘束力を持った健全財政を守るための何らかの枠組みを設けるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、県央地域の医療体制について質問します。 今年7月3日夜のことです。三条市に住む男性、Aさん、26歳が自宅の廊下で水っぽいものを吐き、けいれんを起こして倒れました。家族が呼びかけても反応はありません。Aさんは、知的障害を伴う自閉症で、てんかん発作が起こることもあります。この日は暑かったこともあり、朝から10リットル前後の水を飲んでいたようです。 家族は、午後8時34分に119番通報しました。すぐに到着した救急車にAさんは収容されましたが、搬送先の病院が見つかりません。水中毒なのか、てんかん発作なのか分からない状態だったためか、三条市内の病院は受入れを断りました。脳神経系の先生はいても内科の先生がいないといった理由でした。 県央で受入先が見つからないため、長岡市や新潟市の病院にも連絡しましたが、いずれも、まずは県央の病院で診てもらってくださいと断られました。改めて県央の病院に受け入れてもらえないか連絡しましたが、今度も全てうちでは受け入れられませんという回答でした。 ようやく長岡市内の病院が受け入れてくれることになり、救急車は走り出しましたが、Aさんがその病院に到着したのは午後11時4分でした。通報から実に2時間半も後のことです。 この間、意識がなく、いびきのような呼吸を続けているAさんの隣にいた家族はどんな気持ちだっただろうかと考えるだけで切なくなります。不安と恐怖と悲哀と怒り、これを2時間半も嫌というほど味わわされた、いや、心を揺さぶり続けられたのです。もちろん患者であるAさん自身はさらに苦しく、切なかったと思います。 受入先の病院でAさんはCT検査を受けましたが、検査中に嘔吐し、その際に異物が喉に詰まり、呼吸困難となったため、深夜に再び救急車に乗せられ、新潟市の新潟大学附属病院に運ばれましたが、意識が戻らないまま10日後に亡くなってしまいました。 Aさんは、9歳でてんかん発作を起こしたときも、救急車には乗せられたものの、搬送先が見つからず、止まった救急車の中で待ち続けたことがありました。このときは、小児科と脳神経科の両方の医師が当直している病院がないためでした。今回は、脳神経科と内科の医師が当直している病院がなかったために起きた悲劇のようです。 Aさんのケースに限らず、県央では、2つ以上の科にまたがる治療が必要な救急患者を受け入れてくれる病院が少ないのではないでしょうか。 そこで、質問します。 県央地域では、整形外科と小児科、循環器科と脳神経科など、複数の科にまたがって治療が必要な救急患者の受入れ体制はどのようになっているのか、きちんと受け入れられているのか、実態について伺います。 県央地域の特に知的障害や発達障害などがある人の家族の間には、病院は障害がある救急患者を受け入れてくれないのではないか、けがや病気が2つ以上重なっている患者を病院は受け入れたがらないそうだが、障害を持つ場合は障害が1つと数えられ、他の病気にかかればそれで2つとなる、障害者は事実上、救急医療から締め出されているのではないかという不安が広がっています。 そのようなことがあってはならないと考えますが、知的障害や発達障害がある人の救急受入れはどのような状況になっているのか、現状を伺います。 救急搬送先がなかなか見つからない状況を改善するためにも、関係する方々が県央基幹病院の開院に向けて努力されていることは承知しています。医師をはじめとするスタッフ確保のために、様々な人脈を駆使して努力されていることには深く感謝しています。一方で、県央基幹病院の開院は令和5年度内です。それまでの間にもAさんのように20代で亡くなってしまう方がいます。 そこで、伺います。 県央基幹病院の開院はまだ先であり、それまでの間、救急搬送に時間を要するケースを一件でも減らすため、燕労災病院のプレER救急の一日も早い体制強化などの対策をお願いしたいというのが、県央地域の住民の強い願いですが、この点についての知事の所見を伺います。 県は、平成28年7月策定の県央基幹病院整備基本計画で精神科医療について、精神科外来機能を確保するとともに、他の精神科病院と連携しながら、精神疾患患者の身体合併症に対応する医療を提供しますとの方針を示していましたが、本年9月、10月に6会場で開いた県央基幹病院の住民説明会では、精神科外来の設置は精神科医を確保できるかどうか次第ということでした。 関係者は、県央地域に精神科が少なく、他の圏域まで通って受診していることに加え、精神疾患の患者が県央基幹病院で他の科の診察や治療を受けたくとも、精神科医がいないからという理由で受診を拒まれることを危惧しています。 済生会には鴻巣病院のような精神科専門病院もあるわけですが、医師確保の見通しを伺います。 県立加茂病院の指定管理者となる医療法人崇徳会は、11月24日の記者会見で加茂病院に精神科を開設する方針を示されました。県央基幹病院の精神科外来設置に何らかの影響はあるのかどうか伺うとともに、県央地域の患者にとってどのようなプラス効果が考えられるのかも伺います。 県立吉田病院は、入院病床110床程度のうち15床は小児慢性病床とし、子どもの心診療科を中心に小児外来も維持することになっていますが、指定管理者となる医療法人愛広会は、小児医療に対してどのように取り組む方針であるのかを伺います。 また、県央地域では発達障害を診療してくれる小児科が強く求められています。吉田病院は指定管理移行後、発達障害の検診などは行うのかも併せてお伺いいたします。 次に、消防の広域化について質問します。 緊急通報といえば、警察への110番と消防への119番通報が代表的です。新潟県警察が過去5年間で受理した110番通報は、年平均12万4,444件でした。一方、県内19の消防局や消防本部が過去5年間に受理した119番通報は、年平均13万2,722件でした。110番も119番もおおむね同程度の数の通報を受けていることになります。しかし、これらの通報を受け、担当者に出動を命じる通信指令業務は、警察と消防では仕組みが全く異なっています。 新潟県内の110番通報は、全て県警本部の通信指令課に入ります。ここでは、8人が1つの班を組み、3つの班が24時間交代で勤務しています。つまり3班合わせて24人で県内あらゆるところから入ってくる110番通報を受け、事件や事故、保護や救護の要請であれば、所轄の警察署や現場近くにいるパトカーに連絡し、各種情報などであれば担当部署に回しています。単純計算で1人が年間5,185件の通報に対応していることになります。 一方、消防は県内19の消防局、消防本部それぞれで119番通報を受けています。通信指令業務に従事する通信員は19か所合わせて168人で、1人当たりの受理件数は平均790件となります。 そこで、質問します。 県内における110番通報と119番通報の年間件数は、直近5か年の平均で警察が約12万4,000件、消防が約13万3,000件となっています。一方で、通報を受ける通信指令業務の従事者は、警察は県警本部の1か所で受けている通信指令課の24人に対して、消防は県内19の消防本部などで受けており、7倍の168人となっています。1人当たりの受理件数も消防の790件に対して、警察は約7倍の5,185件となっています。 業務の違いから単純な比較は難しいと思われますが、効率性には大きな違いがあるものと考えます。効率性の観点から、消防の通信指令業務の現状についてどのように認識しているのか伺います。 県内では、18の消防局、消防本部がはしご車を整備しています。 近年、はしご車の値段は高くなっており、35メートル級の最新型は購入費だけで2億円から2億5,000万円、維持管理費も年間1,000万円ほどかかるようになっています。 消防庁の消防力の整備指針によると、管轄区域に高さ15メートル以上の中高層建築物がおおむね10棟以上120棟未満の場合、2つの消防本部がはしご車を共有することも認められています。 例えば県央の場合、現在は三条市消防本部と燕・弥彦総合事務組合消防本部、加茂地域消防本部がそれぞれ1台ずつ、計3台のはしご車を整備していますが、共同で運用すれば三条市と加茂市の間に1台、三条市と燕市の間に1台の計2台を設置するだけで整備指針を満たすことになります。はしご車1台分の購入費2億円と年間1,000万円の維持管理費が浮くわけです。 私は、令和2年2月定例会でも、今年の2月定例会でも、市町村が行っている消防や水道事業の広域化に向けて、県の支援を強めてほしいと求めました。 知事からは、必要に応じた支援をしてまいりたい、水道や消防をはじめとして、市町村の広域連携の取組について協議の場の設置など、広域自治体としての調整の役割を果たしてまいりますとの御答弁をいただきました。大変心強く感じるところですが、今のところ具体的な協議はまだ始まっていないようです。 そこで、改めて伺います。 少子高齢化社会を迎え、市町村は合理化できるものはできるだけ早く合理化しなければ、行政サービスの水準を維持できなくなります。消防については、一挙に広域事務組合化による広域化が難しいようであれば、まずは県が通信指令室や、はしご車運用の共同化について協議する場を設定するなど、共同化の誘い水となるような支援を行う必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 次に、園芸振興について質問します。 枝豆が好きだという新潟県民は大勢います。新潟県は枝豆の作付面積は日本一なのに、出荷量は全国7位にとどまっているということは、テレビのバラエティー番組などでも何度も紹介され、有名になってきました。 農林水産省の調査によると、令和3年も枝豆の作付面積は新潟県が1,590ヘクタールで1位、以下、山形県が1,410ヘクタール、秋田県が1,360ヘクタール、北海道が1,290ヘクタール、群馬県が1,110ヘクタールなどとなっています。 一方、出荷量は北海道が9,470トンでトップ、以下、群馬県が6,420トン、千葉県、山形県、埼玉県、秋田県がそれぞれ4,000トン台だったのに対し、新潟県は2,970トンで7位、北海道の3分の1以下の出荷量でした。 日本一たくさん作っているのに出荷量が7位なのは、新潟の枝豆がおいし過ぎて、作っている人たちが売りに出さず、家族や親戚、知人たちで食べてしまうからだと言われています。 そこで、質問します。 本県の枝豆出荷量は全国7位であり、最近は園芸振興基本戦略による1億円産地形成に向けて、枝豆作りに取り組む地域も増え、くろさき茶豆や弥彦むすめなどのブランド化も進んでいます。 枝豆は栽培しやすく、時間当たりの所得が高いとされていますが、今後より出荷量を拡大し、もうかる農業を実現するためには、作業の機械化や効率的な集出荷体制の構築などをより一層進めていく必要があると考えますが、県としてどのように取組を進めていくのか、知事の所見を伺います。 枝豆は、もいだものをすぐにゆでて食べるのが一番おいしいと言われています。取ってすぐにゆでた枝豆の何とも言えない食欲を刺激する香り、かむと口の中に広がるうまみと甘み、これはたとえ枝豆を新幹線で運んだとしても、東京ではなかなか味わえません。取ってから何時間もたった後にゆでた枝豆は、香りも味も変わります。 首都圏の消費者に新潟の枝豆をできるだけおいしく提供する努力は今後も続けるとしても、今はむしろ、新潟で食べる枝豆が一番おいしい、新潟県民が夢中になって食べている、本当においしい枝豆を食べたかったら新潟に来てください、新潟に行かなければ食べられない味があるということをアピールし、誘客材料とすべきではないでしょうか。 今は、新潟の枝豆のPRはしていても、新潟でしか味わえないということについては、さほどPRしていないように感じます。取れたて、ゆでたてのくろさき茶豆を北陸自動車道黒埼パーキングエリアで食べることも、弥彦村のおもてなし広場で弥彦むすめを食べることもできません。 足の早い山菜や輸送時に傷がつきやすい越後姫なども新潟県内の産地で直接消費者に提供し、一番おいしい状態で食べてもらうことに関しては、さほど力が入っているようには思えません。 そこで、質問します。 本県の豊かな食である枝豆や山菜、越後姫などは、取れたてのものをすぐに食べることが一番おいしいことから、県外の消費者に、新潟で食べるのが一番おいしいと宣伝し、体感してもらう場が必要と考えます。 このため、より一層の消費拡大を図るために、鉄道駅や高速道路のサービスエリア、道の駅など多くの県外客が集まる場で、取れたての食を味わい、購入することができる仕掛けが必要と考えますが、知事の所見を伺います。 最後に、特別支援学校について質問します。 市町村立の小中学校では、普通学級も特別支援学級も含め、その学校の全ての児童生徒の登下校時の安全確保に努めています。 では、県立の特別支援学校は、その学校に通う児童生徒の送迎をどうしているかというと、最寄りのJRの駅と学校の間のスクールバスを出している程度です。鉄道沿線でなかったり、障害の程度などの理由で電車を利用していない子供たちは、それらのバスを利用したくてもできません。 その結果、市町村が独自に、もっと利用しやすいスクールバスを出したり、民間のバスを借りて保護者会に運営を委託したり、デマンド交通のタクシーを利用したりしています。 以前、県立なのに児童生徒の登下校を市町村に任せたままでいいものかと質問したところ、教育委員会から、学区制もある中で、特別支援学校を設置する際には、県教育委員会と市町村教育委員会が協議し、通学については市町村教委がバスを出しますという形になった、これだけ児童生徒が増えてきた中で、特別支援学校の設置者が県であるから、全て県でと言われると、我々としてもどういう対応をすればいいのか非常に悩ましい、例えば始業時間とか、ソフト面で改善できることがあれば我々としても考えていかなければならない、どういった改善方法があるのか、少し時間をいただいて研究したいとの答弁をいただきました。令和元年12月定例会のことです。 今年9月定例会では、県立特別支援学校の登下校時間や長期休暇期間を見直し、保護者負担を軽減すべきという質問に対して、教育長は、保護者からは仕事等の関係から早い登校時間を望む声がある一方で、障害の程度によっては遅い登校時間を望む声もある、各学校では毎年こうした声を基に登下校時間の調整に努めるとともに、福祉サービスの実情を踏まえ、個別に保護者の相談を受け対応していると答弁されました。 実際には、例えば、県立月ケ岡特別支援学校の始業時間は小学部、中学部、高等部ともに午前8時50分です。これはずっと以前から変わっていません。調整に努められたような形跡はありません。終業時間は、小学部が午後2時30分、中学部が午後3時、高等部が午後3時10分です。 通学にバスやデマンド交通を利用できない児童生徒は、寄宿舎に入所するか、保護者に送迎してもらうしかありません。午前8時50分に子供を送った保護者は、それから働こうとしても、始業が午前9時以降の職場でなければ働けません。その上、午後3時に学校まで迎えに行くとなると、正規の就業は難しくなります。短時間のパートか内職仕事をしている方が多いのですが、内職だけではそれほど稼げず、経済的に厳しいという人もたくさんいます。 放課後に関しては、各市町村や民間団体などが放課後デイサービスなどの拡充に努めており、利用も増えていますが、問題は午前8時50分の始業です。遅い登校時間を望む人は遅く行けばいいわけですが、早い登校を望む人は早く学校に行っても子供を校内に受け入れてもらえません。 学校と家庭の間の登下校に関しては、各市町村が頑張っています。始業や終業時間を含めた学校内のことに関しては、県がもう一段の配慮をし、保護者の要望に応えることができないものでしょうか。 そこで、質問します。 県立月ケ岡特別支援学校の始業時間は午前8時50分からとなっていますが、学校が子供たちを今より1時間早く受け入れることができれば、保護者の仕事の選択肢が増え、生活を助けることになると考えます。 保護者からは、午前7時50分から8時50分までの1時間だけ子供たちを見てくれるスタッフを配置し、始業前デイサービスのようなものができないかとの要望を伺っています。体制の整備が必要と考えますが、教育長の所見を伺って、質問を終わります。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 杉井議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、将来にわたる健全財政の維持についてでありますが、県といたしましては、歳出歳入改革の目標や具体的な取組方針を掲げた行財政改革行動計画に基づき、県民・議会の皆様の御協力の下、あらゆる分野の歳出見直しや、地方交付税制度等に関する国への働きかけなどの歳入確保を進めてまいりました。 これまでの取組により、大規模災害に備えるための財源対策的基金230億円を確保し、令和5年度時点での収支均衡の達成を見込める状況となるなど、行動計画で定めた目標に向けて堅調に進んでおります。外部有識者からも、進捗に一定の評価をいただくなど、行動計画の下で、着実な成果が出ていると考えています。 議員御指摘の健全な財政の確保のための対策として、今後とも、行動計画などの一定の方針の下で、中期の財政収支見通しを年2回県民にお示しをし、議会のチェックをいただきながら、財政運営に取り組んでまいりたいと考えています。 次に、将来にわたる健全財政のための新たな枠組みについてでありますが、今ほどお答えしたとおり、行財政改革行動計画の下で行財政改革を着実に進めていく現在の取組については、外部有識者からも進捗に一定の評価をいただくなど、目標に向けて堅調に進んでいるものと認識しています。 これに加えて、予算や決算などの手続において、引き続き議会や県民の皆様に県の財政状況を説明させていただくことで、条例制定など新たな枠組みによらずとも、行財政改革を推進することができると考えています。 一方で、他の自治体において、行財政改革の基本となる方針や手続などを条例に位置づけて取り組んでいる例もあることから、行動計画の最終年度である令和5年度において、これまでの行財政改革の総括と令和6年度以降の取組について検討する中で、新たな枠組みの必要性も含め、将来にわたってしっかりと財政の健全性を保てるように考えてまいりたいと思います。 次に、県央地域の医療体制についてお答えをします。 まず、燕労災病院のプレER救急体制の強化についてでありますが、県といたしましても、議員御指摘のとおり、一日も早い救急医療体制の強化を図っていくことが必要と考えています。 このため、燕労災病院に今年度から救急科、総合診療科に常勤医師を配置し、救急外来における看護配置を強化するなど、県央基幹病院の開院に向けて段階的な救急体制の拡充を進め、昨年度の約2倍の救急搬送を受け入れており、体制強化につながっているものと考えています。 さらに、来年4月にはER救急の専門の医師や救急専門研修を行う専攻医、臨床研修医が燕労災病院での勤務を予定しており、引き続き、県央基幹病院のER救急体制の構築に向けた準備を進めてまいります。 次に、県央基幹病院の精神科医師の確保についてでありますが、県央基幹病院では、他の医療機関の精神科と連携しながら、精神科の外来機能や一般病床で精神疾患患者の身体合併症に対応できる医療提供体制を整備してまいりたいと考えております。 精神科は医師不足が特に顕著な診療科であることから、現時点で医師の確保に至っておりませんが、医師確保に当たっては、働きやすい環境の整備など、県央基幹病院の魅力を高めていくことが重要であり、これらの対応も進めながら、運営主体である新潟県済生会と共に、引き続き精神科医師の確保に取り組んでまいります。 次に、県立加茂病院に精神科が開設される場合の県央基幹病院への影響等についてでありますが、先ほどお答えしたとおり、県央基幹病院では、他の医療機関の精神科と連携しながら、一般病床で精神疾患患者の身体合併症に対応できる医療提供体制を整備してまいりたいと考えており、加茂病院に精神科が設置された際には、同病院との連携にも取り組んでまいります。 加茂病院に新たに精神科が設置されることは、県央地域の患者にとってより身近な病院で精神科医療を受けることができるようになるものであり、県央地域の医療体制整備にプラスになるものと考えております。 次に、消防の広域化についてお答えをします。 通信指令室やはしご車運用の共同化についてでありますが、県では、平成31年3月に新潟県消防広域化等に関する推進計画を策定して、まずは、通信指令室の共同化について積極的に検討を行っている地域を支援することとし、意見交換会の開催などを行ってきたところですが、現時点では共同化に向けた具体的な協議には至っておりません。 県といたしましては、地域の実情を最大限尊重するという考え方の下、議員御指摘のはしご車運用の共同化も含め、今後改めて市町村の意見を聞きながら、引き続き消防庁とも連携をし、情報提供や助言等を行うとともに、必要な支援を行ってまいります。 次に、園芸振興についてお答えします。 まず、枝豆の出荷拡大に向けた取組についてでありますが、枝豆は機械化一貫体系が確立している品目の一つであり、園芸振興基本戦略の策定以降、産地の育成が進められておりますが、さらなる出荷拡大には、新規取組者の確保や既存生産者の規模拡大を進めるとともに、出荷ピークの分散や、安定した販路の確保が必要と考えています。 このため、県では、今後とも機械化や共同化、作業受委託などを推進し、産地の効率的な生産体制を構築するとともに、出荷量の平準化に向けた県全体での計画的な生産や、ICTを活用した精度の高い出荷予測など、枝豆の生産性向上と販売力強化の取組を推進することで、もうかる農業の実現につなげてまいりたいと考えております。 次に、取れたての食を味わい、購入することのできる仕掛けについてでありますが、県外から新潟を訪れる多くの方々に、本県の豊かな食を体験していただくことは、県産農産物の認知度を高め、消費拡大につながる有効な手法であると認識しております。 このため県では、農業団体と観光事業者等の関係事業者をコーディネートして、枝豆やルレクチエ等の販売促進キャンペーンの全県的な展開に合わせ、デジタルマップの活用などにより、農産物直売所や道の駅等の販売施設へ誘客するとともに、県外客が集まる駅の商業施設でのイベント開催等の取組を進めてまいりました。 今後とも、関係事業者と連携をして、本県を訪れる方々に県産農産物を直接体験してもらうことで魅力を伝え、消費拡大につながる仕掛けづくりを積極的に推進してまいります。   〔防災局長原直人君登壇〕 ◎防災局長(原直人君) お答えいたします。 消防の通信指令業務の現状についてでありますが、消防の通信指令業務については、議員御指摘のとおり、警察とは異なる部分があることから、通信員の人数だけでその効率性を比較することは難しいと考えておりますが、現在の通信員数は、消防庁の指針に基づき、各消防本部が必要な人員を配置しているものと考えております。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 2点についてお答え申し上げます。 県央地域での救急患者の受入れ状況についてでありますが、複数の診療科にまたがる救急患者については、燕労災病院等の総合的な病院においては、現状でも一定程度の受入れができていると考えておりますが、高度な処置が必要な疾患については、当直している医師の専門性によっては、県央地域内での受入れが難しい場合があると承知しております。 来年度中の開院を目指す県央基幹病院では、様々な重症度や疾病の救急患者を受け入れるER救急体制を整備することとしております。ER救急体制に必要とされる救急科、総合診療科の常勤医師を今年度から燕労災病院に配置し、段階的な救急体制の拡充に取り組むとともに、高度・専門医療については隣接医療圏との連携・協力体制を構築することで、複数の診療科にまたがる救急患者の受入れも含め、県央地域のさらなる救急受入れ体制整備を進めてまいります。 次に、知的障害や発達障害がある救急患者の受入れ状況についてでありますが、救急患者を受け入れる病院では、知的障害や発達障害などの障害があることを理由に、身体的疾患の救急患者の受入れを断ることはないと認識しております。 また、燕労災病院において、今年度からER救急体制に必要とされる救急科、総合診療科の常勤医師を配置し、救急体制の段階的な拡充に取り組んでおり、住民の皆様に安心していただけるよう、複数の診療科にまたがる患者も含め、様々な重症度や疾病の救急患者を受け入れる救急医療体制の整備に取り組んでまいります。   〔病院局長山﨑理君登壇〕 ◎病院局長(山﨑理君) 指定管理移行後の県立吉田病院における小児医療への対応についてでありますが、指定管理者である医療法人愛広会は、県央地域医療構想調整会議での合意を踏まえ、小児慢性病床や、子どもの心診療科を中心とした小児科外来を維持することとしており、関係者との協議を行うなど、対応に向けた準備を進めているところです。 また、発達障害の診療については、現在、子どもの心診療科で対応しており、指定管理移行後も吉田病院で診療を行うこととしております。 県といたしましても、こうした体制づくりが円滑に進められるよう支援してまいります。   〔教育長佐野哲郎君登壇〕 ◎教育長(佐野哲郎君) お答えいたします。 県立月ケ岡特別支援学校の始業前の体制整備についてでありますが、月ケ岡特別支援学校からは、朝の始業前の子供の受入れについて、一部の保護者から希望する声があると聞いておりますが、改めて保護者の方々に対してアンケートを実施するなど、状況を把握した上で検討を進めていきたいと考えております。 ○副議長(楡井辰雄君) 杉井旬君の質問は終わりました。 次に、笠原義宗君の発言を許します。笠原義宗君。   〔笠原義宗君登壇〕(拍手) ◆笠原義宗君 自由民主党の笠原義宗でございます。 初めに、防災対策について伺います。 2022年、大河津分水は通水100年を迎え、関屋分水も50年を迎えました。 江戸時代から200年の間、水害に悩む越後平野の人々にとって、水害から逃れるための切り札として大河津分水は熱望されていました。何度も繰り返された請願は、膨大な費用と高度な技術を要することから、ことごとく不許可とされていましたが、明治29年に歴史に残る大水害をもたらした、横田切れがきっかけとなってこの悲願が実現し、明治42年に政府の直轄工事として本格的に始められましたが、それまで新潟県議会でも川派と山派で議論が分かれ、流血騒動もあったとのことです。 それを再現したドキュメンタリー番組が12月24日午前9時半からTeNYで放送されます。一部、県政記念館で私ども自民党県議団の有志も出ておりますので、見ていただければと思っていますが、100年を迎える機会として、信濃川の豊かな恵みに感謝し、先人の偉業をたたえるとともに、大河津分水が県民により深く理解され、未来につながることを願います。 一方、関屋分水は信濃川の上流から運ばれてくる土砂によって新潟港の水深が浅くなり、船の往来が難しかったため建設が検討され、新潟市の治水対策として長さ約1.7キロメートルが建設されました。 大河津分水路、関屋分水路の建設は、越後平野を乾田化し、日本有数の穀倉地帯としたほか、新たな市街地を創出するなど、地域発展の礎となりました。大河津分水路、関屋分水路が果たしてきた役割についてどのように認識しているのか、知事の所見を伺います。 次に、大河津分水路建設に生涯をささげた田沢実入氏の功績について伺います。 田沢実入は、水害から逃れるための切り札である大河津分水路を熱望し、請願がことごとく不許可とされる中でも、諦めず実現に最も尽力した人と言われています。 私も今まで知りませんでしたが、新潟市南区、旧白根市古川の生まれで、明治16年に新潟県議会議員に初当選し、東京や京都を往来し、請願活動を行い、治水運動を展開する会社を創設するなど、精力的に必要性を訴え続けました。 私財を投じての活動で、衣食にも困るようになり、県議会議員を辞職し、新潟県土木課の職員となり、その後内務省に入った田沢実入は、長野県や広島県、高知県など土木行政を転々とし、東京市土木部長となった際に、新潟新聞に大河津分水の必要性を説いた論説を発表しました。 念願かない、明治42年から工事が始まり、内務省の技師として大河津分水工事に従事し、通水した翌年の1923年に内務省を71歳で辞職しました。 通水間もない1924年、大河津分水での桜の育成を目的に設立された、信濃川大河津分水保勝会の初代会長となり、大河津分水公園周辺の桜を育てたとのことです。 田沢実入の目に見えていたのは、水害に苦しむ越後平野の人々を救う分水路であったのではないかと考えます。大河津分水に生涯をささげた田沢実入の功績について知事の所見を伺います。 日本最長の信濃川は、江戸時代は商船や年貢米の運搬など物流としての役割が大きく、相当の利益を生んだと言われています。一方で、暴れ川とも言われ、多くの水害をもたらしたことで、当時は水との争いであったことが想定されます。 江戸当時の新潟市周辺は水害が頻発していましたが、新発田藩溝口公が治水事業に力を入れ、水害を減らしたとの文献もあります。 また、旧白根市牛崎にあった大庄屋、長井家の第15代長井周氏が、第6代新潟県知事の籠手田安定知事に治水事業を要望した際、籠手田知事は剣術家であったため、長井家にある堀部安兵衛の書簡と刀に興味を抱き、長井家を訪ねた際にお土産として持参した自筆の書が残っています。 恐らく当時の堤防は低く、水害で苦しむ人が多かったため、河川改修の要望を重ねてきたことが推察されます。 その後、改修工事のたびに堤防の高さが上がり、年々堤防の強化が進み、洪水被害は低下していきますが、これまでの信濃川の河川整備の歴史と今後の方向性を伺います。 河川防災ステーションは、水防活動を行う上で必要な緊急用資材を事前に備蓄しておくほか、資材の搬出入やヘリコプターの離発着などに必要な作業面積を確保し、洪水時には市町村が行う水防活動を支援し、災害時には緊急復旧などを迅速に行う基地となるとともに、平時には地域の人々のレクリエーションの場として、また河川を中心とした文化活動の拠点として大いに活用される施設であります。 国管理河川は国で、県管理河川は県が設置することになりますが、設置位置は水防倉庫など関連施設との役割分担や、過去に大きな被害を受け、水防活動や緊急復旧の実績のある区間であることなどを考慮して決めることとなっており、市町村との調整が図られた計画が、設置要望の必須要件となっています。 中ノ口川沿川にも河川防災ステーションを求める声が上がっていますが、国及び県における河川防災ステーションの設置状況と、設置による水防活動及び文化活動における効果について伺います。 我が県は、越後平野が広くなだらかで、河川の流速が遅く、水がたまりやすい地形であります。海抜が低い地域も多く、河川にポンプでくみ上げることによって、水から生活や農地を守っている地域が多くあります。 数多くの国・県・市の排水機場が設置され、県民の安全・安心な暮らしを支えていますが、その多くを農業排水が占めています。 10月に白根排水機場の親子教室が白根商工会主催で開催され、白根郷土地改良区が説明をしていました。排水機場の必要性や土地改良区が何をしているのか分からない人も多く、勉強になったという声も多く聞きました。 そこで、県内の農地等における排水機場の評価について伺うとともに、電気料金の値上げにより土地改良区の負担が増加していますが、農地等における排水機場が担う役割を踏まえ、県ではどのような支援を行っていくのか伺います。 防災リテラシーとは、災害防災に関しての情報を活用する能力のことで、その要素は災害を理解し、災害に備え、危険を回避する行動ができることです。被災経験のある人は災害への理解度が上がり、リスクを回避しようと強く考えるようになり、被災経験のある人は防災リテラシーが高く、経験のない人は防災リテラシーが低いということになります。 防災リテラシーを高める施策として防災キャンプが効果的であると言われていますが、子供が小さいときに家族でのキャンプという体験を通じ、家族で楽しみながら防災力を育て、いざという災害時に役立つ経験をさせる取組が重要であると考えます。 災害が発生し、ライフラインが断たれ、生活がままならなくなったときのことを考え、ポリタンクでの水で1日過ごしてみたり、ランタンのみの生活など、非日常を簡単に体験できたりするのがキャンプですので、楽しく家族単位で防災を学べる防災キャンプの取組を県で進めてはどうかと考えますが、知事の所見を伺います。 地震や台風、大雨などの自然災害はいつどこで起こるか分からず、近年は東日本大震災など、災害の甚大化が指摘されています。まさか自分がというふうに思う被災者が多いのではないかと思います。ほとんどの方にとって避難所生活は初めてのことで、ふだんの暮らしとは大きく異なるため、困ることや不安があるのは当たり前だと考えます。 地域の懇談会では、自治会の役員が避難所の運営をするため、初めての経験となるので、不安だとの声をよく聞きます。 多くの方が想像される避難所といえば、小学校の体育館や公民館やコミュニティーセンター、障害者施設などが挙げられますが、2次被害のリスクが少ない場合には、在宅避難や自動車での避難生活をする車中泊避難もあり、インフラがあるかないかなど、様々なケースや地域事情があるため、不安の払拭は難しいと考えますが、避難訓練のときに避難所の運営をしてみたり、様々な状況をマニュアル化したり、避難所の運営事例を多く示したりすることで、地域の方の不安を少しでも減らす取組が重要かと考えますが、知事の所見を伺います。 2011年に起きた東日本大震災を契機に、自然災害を完全に防ぐのではなく、強靱性を高めていくことに変化し、想定外は起こるものだと認識した上で、ハードとソフト両面で防災・減災に取り組む潮流になりました。 平成16年の中越大震災や平成16年、23年の豪雨災害など、度重なる災害を経験した本県は、防災・減災に関する豊富なノウハウや知見が蓄積しており、その資源を生かし、新たなビジネスの創出を加速させる防災産業クラスター形成事業を進めています。 産学官連携での新たな商品の開発などの取組は評価しますが、マーケティングも重要であると考えます。特に海外でも災害が発生していることを考えれば、海外に販売する取組が期待できるのではないかと考えますが、今後の本事業の取組の方向性と商品販売の見通しについて所見を伺います。 次に、医療・福祉について伺います。 厚生環境委員会の県外視察で、大阪府が進めているORIONというシステムの説明を受けました。 大阪府では、医師不足などで救急患者の搬送遅れや救急搬送拒否、いわゆるたらい回しの案件が多く発生し、社会問題化したことを受け、医療と消防の両方の情報を統合したORIONというシステムを構築し、運用しています。ORION導入後は、搬送困難事例が減少している状況とのことでした。 消防は基本的に基礎自治体ごとに分かれ、医療機関は行政区をまたがっておりますが、広域に搬送先を探すことをはじめ、蓄積したデータを管理することにより、消防隊要請から退院までの情報を一貫して記録できることや、大阪府全域を対象に情報収集できることなど利点が多くありました。 何よりも救急業務の負担が抑えられたことが現場の利点であると言われておりましたが、本県の救急搬送支援に関する取組の状況を伺います。 コロニーにいがた白岩の里は、昭和46年に設立され50年を迎えますが、この間、障害者を取り巻く情勢が変化し、利用者の状況やニーズも変化しています。 これまで県内における知的障害者福祉の中核施設としての役割を果たしてきましたが、今後は生まれ育った地元で暮らせるグループホームなどの整備を進め、大規模施設ではなく、身近な地域ネットワークの中で生活できるような仕組みの構築が必要とされています。 厚生環境委員会での県外視察でしたが、社会福祉法人北摂杉の子会、萩の杜に伺い、強度行動障害の方が多く利用している知的障害者更生施設で話を聞かせていただきました。職員の人材育成やハード整備の必要性など課題は様々ありますが、民間でも運営できるのだと感じました。全国にある大規模施設は、本県以外全て民間運営になっていることもあり、本県でも運営可能であると考えます。 また、大規模なコロニーがあるから、地域生活移行が進まないのではないかとの意見もあり、コロニーの規模を縮小させることも重要であると考えます。 そのような中、県は令和6年度をめどに指定管理に運営を移行する計画ですが、障害者を取り巻く情勢や利用者の状況、ニーズの変化等を踏まえ、施設規模など現状の施設のままでなく、民間が運営しやすい形への施設整備支援や人的支援を図りながら指定管理に移行していく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 コロニーにいがた白岩の里の定員は220人ですが、社会復帰部は平成27年度以降、利用者がいない状況が続いているほか、一部の部門では強度行動障害等の特異な障害で個人一人一人の生活状況を細かく配慮し、生活支援することが必要なため、2人部屋に1人しか入れない状況にあることから、在籍数が定員に達していない状況にあります。 そのため、定員を現状に合わせた形に変えるなど、指定管理者が現状に合った運営ができるように体制を見直す必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 障害者にとって、生まれ育った地域で身近な地域ネットワークの中で生活できるような仕組みが重要とされ、地域に幅広くグループホームなどの施設が増えていますが、軽度の障害者を対象にする施設が多い一方で、強度行動障害者などの個別的で専門的な支援が可能な施設が少なく、地域生活移行が進まないのが課題であると考えます。 コロニーにいがた白岩の里のあり方検討委員会の中でも、県としての役割が示されていますが、今後どのように地域生活移行に向けた支援体制を整備していくのか、知事の所見を伺います。 コロニーにいがた白岩の里の指定管理への移行は、社会や利用者のニーズの変化に対応したものであり、指定管理への移行は重要でありますが、運営コストを下げることが目的ではないはずであるため、コストが下がらなくても職員の専門性の高さや地域生活移行に向けた相談体制、人材育成の体制や拠点的な役割など、運営内容を重視し、指定管理者を選定すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、農業政策について伺います。 本県の令和3年度県産農林水産物の輸出実績は約39億円と最高となりましたが、ニシキゴイと米の輸出額が98%を占めており、他の品目の輸出額は少なく、令和3年度の青果物の輸出額は約600万円と少ない状況でした。 今後、国内消費の減少が想定される中、特に品質のいい本県産果実は、海外にとっても魅力ある品目であると考えられますが、国や品目によって植物検疫や農薬の制限などの輸出条件が異なるため、これらを生産者に分かりやすく示し、輸出拡大を図ることにより、本県の農業所得向上につながると考えますが、知事の所見を伺います。 ルレクチエが11月19日に解禁され、贈答用を中心に販売が始まりました。今年は霜被害も少なく、天候に恵まれ、昨年の約1.2倍の収穫があり、豊作の年になりました。量が多くあるため価格も抑えられており、多くの方に購入していただきたいと考えております。 今後のブランド品目の選定にも、ルレクチエの物語性を考えれば、選定していただきたいと考えますが、ルレクチエの認知度は県内では高いものの、全国的にはまだ低いと考えています。 そこで、首都圏での本県産ルレクチエの認知度の現状と近年の価格の動向について伺います。 本県は、園芸戦略により野菜・果樹などの生産を増やし、園芸1億円産地を増やしつつあります。また、イチゴ、枝豆、ナス、日本梨、西洋梨などについて、新潟県オリジナル品種の開発に取り組んでいただいていることはありがたく思っておりますが、県内の観光農園では、新潟で開発された果樹品目はどれですかと聞かれることが多いと聞きます。 そこで、ぜひ、現在人気の高いブドウについても新潟県オリジナル品種を作り、果樹農家や観光農園の後押しをしていただきたいと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、教育政策について伺います。 県内の中学校卒業者の今後の推計では、令和5年3月は約1万8,000名ですが、令和12年3月には約1万6,000名と2,000人減少することや、通信制高校も増えていることもあり、県立高校の縮小を余儀なくされています。 県立白根高校は、新潟市南区唯一の高校であり、地域の発展と次世代を担う人材育成のため、南区との連携協定を締結しました。それまでも南区では高校とのまちづくり連携事業により、高校に地域コーディネーターを配置し、高校が積極的に取り組む活動を支援するほか、高校生の柔軟な視点や感性を生かし、様々な地域課題に取り組んできました。 今後も地域に必要な高校として存続が求められますが、今後の地域と高校の関わりをどのように進めるのか伺います。 また、地域の人口の割合に応じて、小規模でも高校として存続することは県立高校の役割であると考えますが、知事の所見を伺います。 少子化等の影響で全国的に小学校の児童数が減少しており、単式学級での指導が難しい場合、複式学級の導入や学校の統廃合などの選択を迫られることになります。 複式学級は、2学年を1つの教室で、1人の教員が授業を行うため、学力低下につながるなど、地域や保護者からの不安の声が多くあります。 今後、少子化の進展によりさらに複式学級が増えると考えますが、県内の複式学級の現状と学力低下の懸念についての所見を伺います。 県では、教職員の働き方改革を進めており、令和4年度働き方改革推進プランの取組として、全県の公立学校における時間外勤務の上限を一月45時間、1年360時間とすることを目指しています。その実現に向けた学校や教育委員会の取組としてICTの活用などを掲げていますが、これらの取組を通じてどの程度業務の削減につながっているのか、現状を伺います。 県内のいじめの認知件数は令和3年度で約2万1,000件にも及び、全国と同様に前年度に比べ小学校・中学校・高校で増加しています。 これについて県では、部活動や学校行事などの様々な活動が徐々に再開されたことにより、児童生徒同士の接触の機会が増加した影響などと分析していますが、いじめの増加は教員の多忙化につながることから、働き方改革を踏まえ、人員体制を厚くすべきだと考えますが、所見を伺います。 次に、県政の諸課題について伺います。 県では、航空機・医療機器・次世代自動車・健康福祉を今後の成長や市場の拡大が見込まれる産業分野として、新規参入や事業拡大を目指す企業を支援していますが、これまでの取組による効果について伺います。 また、世界的にはITや脱炭素などに資金が集まり、成長すると言われています。第3次産業革命のコンピューターの導入による自動化や、第4次産業革命のIoTやAIで日本は後れを取りましたが、今後の成長が見込まれる分野として、ITに関わるロボットやゲーム・エンタメ産業、脱炭素につながる風力や水力等の再生可能エネルギー産業なども支援対象としていくべきと考えますが、所見を伺います。 県民所得を高めるためには、成長産業に関わる企業を増やしていくことは重要だと考えますが、企業の競争力を高め、付加価値を高めていくためには、ビジネスをグローバルに展開することが必要であると考えます。 近年では、日本の高性能な製品が輸出され、国では農林水産物の輸出も1兆円を超え、2兆円を目指しています。越境ECの活用による売上げも増えており、需給ギャップ改善には輸出の強化が必要であると考えます。 そこで、越境ECの活用などにより、新潟のものを海外に積極的に販売していくことが必要であり、そのためには輸出をしている企業や輸出に興味のある企業・物流業者・大学など、業種を超えて輸出に関する情報を共有できる場をつくり、県内の輸出額を上げていくことが本県経済を後押しすることにつながると考えますが、知事の所見を伺います。 日本は閉塞感が漂う状況下で、中小企業・スタートアップ企業への風当たりは依然として強く、需給ギャップもマイナスの状況です。国内市場の縮小が進む中、グローバルな視点で経済を捉える必要があります。 イタリアは、世界でも有名なグッチ、アルマーニ、フェラーリなどのブランド企業があり、小規模企業群がものづくりを支えているとも言われています。従業員15人以下の小規模企業が、まちの中で集まって産業拠点を構築し、100社規模が集まり、大きなまちでは商工会議所に商談を任せ、自社は製造に専念するというビジネスの仕組みもあります。 本県においても、世界に通用する製品やサービスをつくり、海外市場へ売り込むスタートアップ企業を数多く輩出していくことで、本県の県民所得向上につながると考えますが、知事の所見を伺います。 人口減少により、世帯数についても2023年以降は減少に転じる見込みであり、空き家が増加傾向にあります。今後、世帯数の減少や高齢化に伴う相続の増加等により、さらに空き家の増加が見込まれ、空き家の発生抑制や利活用、適切な管理、除却に向けた取組の強化が求められています。 日本経済新聞の調査によると、住宅過剰率が最も高いのは山梨県の27%、低いのが埼玉県の11%でした。2030年には3割が空き家になるという予測もあり、空き家増加の原因は新築住宅の影響であるとも言われています。 他国では、10年間の住宅需要、住宅建設見込みを推計し、住宅政策を決定しています。スウェーデン、イギリスなどのヨーロッパ諸国が10%以下を見込んでいますが、日本にはこうした目安がなく、毎年90万戸程度の新築住宅を建設していますが、適正な新築数を10%にするならば50万戸程度になります。 マンション建設や新築住宅よりも、空き家の流動化やリフォームによる住宅供給を促す施策が必要と考えますが、知事の所見を伺います。 横浜市で日本初の都市型ロープウエーの民間運営が始まりました。ロープウエーの名称はYOKOHAMA AIR CABINで、約630メートルを片道3分で結び、まちの活性化につながると期待されています。 都市型ロープウエーは、1キロから5キロ程度の距離をバスよりも高速に結び、安価で短期間で建設可能なことから、新たな都市内輸送機関として有望な選択肢として期待されています。 都市型ロープウエーは、ニューヨークやロンドンで都市交通として利用されています。 また、国内のベンチャー企業がまちづくりに貢献する次世代交通システムとして、自走式ロープウエーZipparを開発しています。既存のモノレールに比べ圧倒的に低コストかつ短期間で建設可能とのことで、まだ開発中ですが、次世代交通の技術革新を期待しています。 生産年齢人口の減少により、今後さらに公共交通機関の運転手不足が進むことが予想される中で、都市内の交通手段としてロープウエーの活用を検討してはどうかと考えますが、所見を伺います。 株式会社ポケモンは、2018年4月以降、8道県と協力し様々な取組を行ってきており、地域ごとに推しポケモンを選定し、各地の魅力とポケモンの魅力を国内外に同時に発信することで、国内外のポケモンファンに全国の様々な地域へ足を運び、魅力を感じてもらうことを目指しています。 また、同社はポケモンと手を携えたPR活動を新たに検討いただける都道府県の問合せを受け付けており、本県もぜひ取り組んでもらいたいと考えております。 取組に当たってのキャラクター使用料は無償であり、取組事例として、イベントなどでの推しポケモンによるグリーティング、名産品やお土産による商品化、ラッピングトレイン、観光パンフレットや観光PR動画制作などで、地域の観光振興に役立っています。 JR東日本は、鉄道開業150年スペシャルとして、駅に隠れた150匹のポケモンを探そうを開催しており、ちなみに新潟駅にはカビゴンが隠れています。カビゴンもいいですが、例えば本県には県の鑑賞魚であるニシキゴイがあるので、コイキングを推しポケモンとすることなども考えられます。 本県としても、これらの有効なコンテンツを活用しながら観光振興を積極的に推進していくべきと考えますが、知事の所見を伺いまして、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 笠原議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、大河津分水や関屋分水が果たしてきた役割についてでありますが、信濃川の下流域は横田切れをはじめ、過去には大きな水害が頻繁に発生する地域でありましたが、大河津分水や関屋分水の完成により、飛躍的に治水安全度が向上いたしました。 また、分水路は治水効果だけではなく、議員御指摘のとおり、越後平野を乾田化し、優良な農地への転換を図るとともに、新潟市の中心市街地の形成をはじめ、越後平野を貫く新幹線や高速道路といった交通網の整備など、本県の発展に大きな役割を果たしたものと認識しています。 次に、大河津分水の建設における田沢実入氏の功績についてでありますが、同氏は、度重なる洪水に苦しめられてきた人々の命と暮らしを守り、地域を発展させるため、大河津分水の重要性を広く世に知らしめるとともに、自らも工事に携わるなど、分水路の完成に尽力された方であると承知しています。 大河津分水の建設は、当時の最新技術と英知を結集した世紀の大工事であるとともに、多くの方々が殉職される難工事でもありましたが、田沢氏など先人たちの尽力により成し遂げられたものと考えております。 次に、家族単位での防災キャンプの取組の推進でありますけれども、防災キャンプについては、避難所生活を想定した就寝体験や非常食の試食など、気軽に楽しみながら防災について学べる体験型の防災訓練として注目されているところであり、県内各地でも実施されていると認識しています。 災害時の避難生活は、家族単位で行われることが想定されますので、議員御指摘のとおり、家族単位で防災を学べる防災キャンプの取組は有効であると考えることができます。優良な取組事例を市町村などと共有するなどして、機運の醸成に努めてまいりたいと思います。 次に、避難生活における地域住民の不安軽減を図る取組についてでありますが、大規模災害時において、避難所での生活を余儀なくされる多くの方々にとっては、その生活は初めての経験になることから、議員御指摘のとおり、平時から訓練で避難所の運営を体験したり、在宅や車中泊などの避難生活で必要となる事柄を理解してもらうことが重要であると考えています。 県では、市町村の避難所運営訓練へのアドバイザー派遣や、在宅避難などを想定した災害備蓄を呼びかける取組を行っているところであり、今後、車中泊避難の手引を作成し周知していくなど、地域住民の不安軽減を図る取組に努めてまいりたいと思います。 次に、医療・福祉についてお答えをします。 まず、コロニーにいがた白岩の里の指定管理者制度への移行に伴う支援についてでありますが、有識者によるコロニーにいがた白岩の里のあり方検討委員会報告書においては、民間サービスの充実等に伴い、コロニーの役割が大きく変化していることを踏まえ、施設規模は現状のままではなく縮小していく方向性が示されております。また、民間移管に当たっては、利用者の安心・安全確保等のため、県職員派遣等の支援が重要であると指摘されているところです。 議員御指摘のとおり、指定管理者が施設を運営しやすいように支援していくことは、県としても必要と考えていることから、現在行っている指定管理者の公募においては、申請者が運営しやすいように建物・設備の利用方法を提案してよいとしているところであり、指定管理者候補の選定後、施設の使い方について具体的な協議を行う方針としております。 また、人的支援としては、県福祉行政職の派遣を念頭に協議を行う予定としております。 いずれにいたしましても、指定管理者候補の選定後に具体的な支援内容について協議を行い、円滑に指定管理者制度へ移行できるように取り組んでまいりたいと考えております。 次に、コロニーの指定管理制度移行に伴う体制の見直しについてでありますが、議員御指摘のとおり、有識者による報告書においても、民間サービスの充実等に伴う施設規模の縮小や、強度行動障害者を適切に支援するための居室の個室化など、ニーズに応じた体制の見直しの必要性について提言されています。 県といたしましては、報告書の内容を踏まえ、比較的軽度の障害者を対象とする社会復帰部について、現在は利用者がいないことから廃止することとしております。 また、今後、利用者の地域生活移行を進めていく中で、定員はさらに減少していくことが想定されることから、指定管理者が、その時々の状況に応じた適切な定員の下で施設を運営していくことができるよう、随時、体制を見直してまいりたいと考えております。 次に、強度行動障害者等の地域生活移行に向けた支援体制の整備についてでありますが、強度行動障害者等の支援については、特に一人一人の障害特性に応じた、個別的・専門的支援が重要であり、適切な支援を提供できる人材を育成するとともに、地域のサービス提供体制のネットワークを構築していく必要があると考えています。 県ではこれまで、強度行動障害支援者養成研修を実施し、県内施設職員の支援スキルの向上を図ってきたところですが、今年度からは、地域における体制整備の支援として、強度行動障害に関する専門的知識を有するアドバイザーを派遣する事業に取り組んでいます。 現在、国においては、強度行動障害者の地域支援に関する検討会が実施されており、来年3月に報告書が取りまとめられる予定であることから、県といたしましては、国の動向も注視しながら、強度行動障害者等の地域生活移行に向けた体制整備への支援をさらに充実させてまいりたいと考えています。 次に、指定管理者の選定についてでありますが、議員御指摘のとおり、コロニーの指定管理者制度への移行は、地域共生社会の実現に向けて、大規模な入所施設に頼らなくても、障害者が身近な地域で生活できる体制の構築を目指すものであり、指定管理者の選定に当たっては、コストだけでなく運営内容を重視すべきであると考えております。 現在行っている指定管理者の公募においては、指定管理者に特に要請する事項として、利用者の地域生活移行に向けた意思決定支援等の取組と、強度行動障害者の支援に関する専門的な取組を求めており、具体的な支援内容等に着目して選定する方針としております。 県といたしましては、利用者と御家族の生活を第一に考え、利用者を適切に支援できる法人をしっかりと選定してまいりたいと考えています。 次に、農業政策についてお答えします。 まず、本県産果実の輸出拡大についてでありますが、人口減少等により国内市場が縮小していく中、品質のよさから、今後とも需要の拡大が見込まれる海外市場で本県産果実の販路を開拓することは、農業所得を確保していく上で重要であると認識しています。 しかしながら、どの品目も後発であるため、輸出実績は小さく、近年、意欲のある産地がトライアル輸出を進めているところです。 このため、新潟県産農林水産物輸出拡大実行プランに基づき、セミナーの開催などにより、輸出規制等の理解促進も含め、輸出に取り組む環境づくりを進めるとともに、産地間連携によるロットの確保や、流通事業者などと連携した輸出ルートの構築など、輸出拡大の取組を着実に推進してまいります。 次に、県オリジナル品種の開発についてでありますが、県では、本県が品種開発の知見と遺伝的資源を多く保有している品目の中で、品質や食味等で優位性を発揮でき、本県農業の牽引役となる品目を中心に品種開発を進め、これまでにイチゴや日本梨、チューリップなどのオリジナル品種を開発してまいりました。 今後、消費者ニーズの変化等に対応した競争力の高い園芸産地を育成するためには、園芸振興基本戦略に基づく産地の取組や、現在検討中のブランド化推進基本方針などを踏まえ、中長期的な視点に立って、品種開発を戦略的に行っていく必要があると考えております。 一方で、限られた人員や財源の中で、品種開発の要望に対応して、県が全て行うことは困難であることから、国や民間企業における品種開発の状況を確認するとともに、専門家や農業関係団体などの意見を聞きながら、議員御指摘のブドウも含め、県が長期的・戦略的に品種開発を行うべき品目について検討してまいりたいと考えております。 次に、教育政策についてお答えをいたします。 小規模高校の在り方についてでありますが、学校が地元の行政と連携・協働して取り組むことは、学校の特色化・魅力化に加え、地方創生を進める上でも重要と認識しています。 生徒数の減少に伴う県立高校の小規模化が進行する中、教育委員会には、ICTの活用を通じて教育環境の充実を図るとともに、地元関係者の意見を丁寧に伺いながら、それぞれの地域の状況に応じた学校の在り方について、検討を進めてもらいたいと考えております。 なお、今後の地域と高校の関わりについては、教育長からお答えをいたします。 次に、県政の諸課題についてお答えします。 まず、輸出に関する情報の共有についてでありますが、人口減少による国内市場の縮小等を克服し、県内企業が成長するためには、越境ECの活用を含め、海外市場の獲得に取り組む必要があると認識しています。 そのため、県では、ジェトロ新潟に設置しました海外ビジネスサポートデスクにおいて、NICOや経済団体などと支援事例等の情報を共有する連携会議を開催するとともに、セミナーなどを通じて県内企業に対する輸出関連の情報提供に努めているところであります。 こうした取組に加えて、議員御指摘のとおり、企業や物流業者などとの情報共有が進むことにより、輸出に意欲を有する県内企業の掘り起こしや、販路開拓の取組拡大が期待できることから、連携会議などを活用した情報共有の強化も含め、今後の取組を検討してまいりたいと思います。 次に、スタートアップの海外展開による成長支援についてでありますが、スタートアップは、優れたアイデアや独自の技術により競争力のある製品やサービスを有するなど、グローバルに展開できる可能性がある一方で、人員や財務、取引上のネットワークなど、経営基盤や事業展開のノウハウが十分でないため、その成長過程においては、幾つもの課題があるものと認識しています。 そのため、新潟発のロールモデルとなるスタートアップへの集中支援を行う、J-Startup NIIGATAの取組や、国内外にネットワークを有する首都圏の産業支援施設との連携など、官民連携での支援体制を強化してまいりました。 今後も、支援体制のさらなる充実に取り組み、海外展開を含めたスタートアップの成長を図り、県民所得の向上にもつなげてまいりたいと思います。 次に、空き家の流動化やリフォームによる住宅供給を促す施策についてでありますが、新築や空き家取得などの住宅需要は、取得者の希望によるところですが、本県の空き家は全国平均を上回る速さで増加していることから、県といたしましては、空き家の流動化を促進させることが必要と考えています。 このため、県の住生活マスタープランの目標の中に、住宅関連産業の発展・振興と空き家対策の2つを位置づけ、住宅取得数における既存住宅の割合を令和12年に30%へ向上させる目標を掲げ、施策を進めております。 具体的には、市町村が設置している空き家バンクや建築士による建物状況調査などの活用を県民へ普及啓発するとともに、空き家利活用支援事業により、空き家の流動化やリフォームによる住宅供給について、市町村と連携しながら取り組んでまいります。 次に、ポケモンを活用した観光振興についてでありますが、議員御指摘のとおり、8つの道県では、ポケモンのキャラクターを活用した観光PRなどの取組を行っていると承知しています。 県といたしましては、旅行者のニーズを捉えた、テーマ性を有する取組は重要と認識しており、県内でも小千谷市において、ポケモンのキャラクターが描かれたマンホール蓋を設置し、ファンの来訪を促す取組を行っていることから、県観光協会とも連携し、こうした取組を積極的に情報発信することにより、観光誘客につなげてまいりたいと考えております。   〔知事政策局長森永正幸君登壇〕 ◎知事政策局長(森永正幸君) 2点お答えいたします。 信濃川の河川整備の歴史と今後の方向性についてでありますが、大河津分水や関屋分水の整備をはじめ、堤防整備や河道掘削など、これまで実施してきた治水対策により治水安全度の向上が図られてまいりました。 今後の整備の方向性といたしましては、国において、河川整備計画に基づく大河津分水の改修や堤防整備、河道掘削等の治水対策を着実に進めると伺っております。 県といたしましては、気候変動に伴い激甚化、頻発化する豪雨災害に備えるため、国や流域市町村などの行政機関に加え、企業、住民といった、流域のあらゆる関係者と協働しながら流域治水の取組を一層推進し、防災・減災対策に取り組んでまいります。 次に、河川防災ステーションの設置状況とその効果についてでありますが、河川防災ステーションは、河川管理者である国や県が市町村と連携して整備を行うものであり、県内の設置状況といたしましては、国の管理区間では信濃川に2か所、阿賀野川に1か所、また、県の管理区間では新井郷川に1か所設置されております。それに加えて、現在、国では信濃川において2か所の河川防災ステーションの整備を進めているところです。 設置による効果といたしましては、緊急復旧用資材の備蓄や、現地対策室、水防団待機場所としての活用などにより、水防活動の円滑な実施に寄与しているところです。 また、平時においても、防災教育の場として活用するとともに、市民によるフリーマーケットの開催などにより、地域の活性化や市民の交流拠点としても活用されております。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) お答え申し上げます。 本県における救急搬送支援に関する取組の状況についてでありますが、議員御指摘のとおり、大阪府では救急患者の受入れ搬送先の確保を円滑に行い、搬送困難となる事案を防ぐため、救急搬送を支援するシステムを活用して空床情報などをリアルタイムで共有し、救急搬送を支援していると聞いております。 同様のシステムは全国的に導入されており、本県でも新潟県救急医療情報システムとして救急搬送支援を実施しているところです。 新型コロナウイルス感染症対応では、本県独自のオンラインツールにより、全県の病床稼働状況を県医療調整本部と医療機関で共有し、患者受入調整センターが全県一括で入院調整を行う仕組みを構築しているほか、新型コロナウイルス感染症以外の救急搬送においても、救急搬送及び受入れの実施に関する基準の策定や現場の綿密な連携などの取組も行ってきたところであり、引き続きスムーズな救急搬送の確保に努めてまいります。   〔産業労働部長金井健一君登壇〕 ◎産業労働部長(金井健一君) 2点お答えいたします。 防災産業クラスター形成事業の取組の方向性と商品販売の見通しについてでありますが、本事業では、度重なる災害を経験した本県のノウハウや知見を生かし、産学官の連携を通じて、新たなビジネスを創出するための環境整備に取り組んできたところです。 本事業を通じて開発された災害支援関連の商品や大学発の技術には、国外から関心を示されている事例もあり、また、地球規模での自然災害の頻発化などが深刻な問題となっていることから、県内防災産業への国内外からのニーズが今後拡大することも期待しております。 このため、県といたしましては、防災に関する商品や技術などの開発に加え、災害時における物資発注の効率化など本県発のビジネスプロジェクトの創出を引き続き促すとともに、国内外への情報発信とニーズの把握に努めながら、新たな輸出産業としても成長できるよう取り組んでまいりたいと考えております。 次に、成長産業分野等への参入支援についてでありますが、これまでの取組により、例えば、大手重工メーカーからの航空機のエンジン部品や切削工具などの受注や、自動車関連の金属加工部品の受注など、一定の効果を上げているものと認識しております。 デジタル化や脱炭素化に向けた動きが加速する中、議員御指摘のIT関連産業や再生可能エネルギーの関連産業等についても、今後の成長が見込まれることから、県といたしましては、社会経済活動の変化も踏まえつつ、それぞれの事業分野や企業のニーズに応じた支援に努め、本県産業の付加価値向上につなげてまいりたいと考えております。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) お答えします。 首都圏における本県産ルレクチエの認知度の現状と価格の動向についてでありますが、首都圏におけるルレクチエの認知度は3割程度であり、県や農業団体等が実施しているプロモーションなどにより、近年上昇傾向にあるものの、他県産ブランド品目と比較して、まだ大きな差があると認識しております。 また、価格動向につきましては、天候等の影響による出荷数量の増減や、新型コロナ感染症の拡大に伴う需要減少などにより、年によって変動はあるものの、単価は、認知度の高まりに伴い上昇基調にあると考えております。 県といたしましては、今後ともブランドへの信頼の基本である食味・品質重視の生産を進めながら、大手百貨店等での新潟フェアや、高級フルーツ店とタイアップしたPR等により、認知度向上と販売拡大に取り組んでまいります。   〔農地部長登り俊也君登壇〕 ◎農地部長(登り俊也君) お答えいたします。 農地等の排水機場の評価等についてでありますが、農地等における排水機場は、農業生産を支える本来の役割はもとより、住宅地等への浸水被害防止といった県民生活の安全・安心を確保する役割も果たしており、新潟市等の低平地では年間を通じて排水を行っている地域もあります。 電気料金の値上げは、排水機場等の農業水利施設を管理する土地改良区にとって影響が大きいことから、農地・住宅地等における排水の適切な実施や農業用水の安定供給の維持を図るため、本定例会でお諮りしている12月補正予算により、県・市町村・土地改良区が管理する施設において、土地改良区が負担する電気料金高騰分の一部に対し支援してまいりたいと考えております。   〔交通政策局長佐瀬浩市君登壇〕 ◎交通政策局長(佐瀬浩市君) お答えします。 都市型ロープウエーの活用についてでありますが、議員御指摘のロープウエーは、地上構造物のない運河区間630メートルを片道料金1,000円で結び、80億円の建設費を投じて、昨年4月に開業したものと承知しております。 これを踏まえますと、例えば、住宅やビルなどをはじめ、車両や歩行者などの上空を走行する場合には、部品などの落下物対策などの検討とともに、新潟市内におけるタクシー初乗り運賃の約1,000メートル約600円に比べて割高感が出ることから、県外観光客やインバウンドなど、利用者ゾーンの見極めも必要になると考えております。 いずれにいたしましても、交通機関に係る新しい技術については、今後も情報収集してまいりたいと考えております。   〔教育長佐野哲郎君登壇〕 ◎教育長(佐野哲郎君) 4点についてお答えいたします。 まず、今後の地域と高校の関わりについてでありますが、学校と地域の連携・協働を通じて、生徒が地域への理解と愛着を深めることは、将来の地域を担う人材育成の観点からも重要であると認識をしております。 現在、議員御指摘の新潟市南区のほか、糸魚川市、佐渡市、阿賀町からの御支援により、地域コーディネーターが配置され、地元の県立高校において、地域の課題解決に向けた取組が進められているところです。 今後も地域におけるコンソーシアム構築や、コミュニティースクールの活用などを通して、学校と地域との連携・協働をより一層、促進したいと考えております。 次に、県内の複式学級の現状等についてでありますが、本年度においては、県内の小学校442校中、複式学級が1学級以上ある小学校は75校となっております。 児童生徒数の減少に伴い、幾つかの市町村で学校統廃合が進められておりますが、複式学級を導入することになった場合においても、学力の低下を招かないよう、指導方法の工夫や児童一人一人の学習状況に応じた、きめ細やかな指導に努めていくことが重要であると考えております。 県教育委員会といたしましては、統合前年度に複式学級がある学校や、離島の海岸線地域や山間部等、統廃合が困難な小規模校に対して加配教員を配置するなど、児童生徒にとって望ましい教育環境の整備に努めてまいります。 次に、教職員の働き方改革についてでありますが、県立学校では、この4月から校務支援システムを導入しており、システムを利用して通知表を作成するなど、集計における負担が減少したとの報告を受けております。 また、市町村立学校については、タブレット端末の活用等により、保護者や児童生徒との連絡時間を短縮した取組が周辺校にも波及した事例などを承知しております。 こうした取組により、時間外勤務が月45時間を超える教職員の割合は、近年、減少傾向にあり、今年10月末時点で見ても、その割合は約36%と、前年同時期より1%程度減少していることから、働き方改革の取組には、一定の効果が見られていると考えております。 今後も、ICTの活用をはじめ外部人材の配置拡大や休日部活動の地域移行等、取組のさらなる推進を図ってまいります。 次に、いじめ対応のための人員体制についてでありますが、県教育委員会では、教職員のいじめの認知力を高めるための校内研修の実施と、増加しているいじめ事案に対し、いじめ対策推進教員などを中心とした組織的対応の徹底を公立学校に求めております。 一方で、加配教員や、いじめ対策推進教員の授業時間を軽減するための代替非常勤講師などの配置、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の外部人材の活用により、教職員の負担軽減を図っております。 教職員の多忙化解消や教育の質の向上に向けた人的配置の充実は重要であると考えており、教職員定数の改善や外部人材に関する予算措置の拡充等について、引き続き国に要望してまいります。 ○副議長(楡井辰雄君) 笠原義宗君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。  午後3時 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時15分 開議 ○議長(小島隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、桜庭節子君の発言を許します。桜庭節子君。   〔桜庭節子君登壇〕(拍手) ◆桜庭節子君 午後のひととき、よろしくお願いいたします。 北朝鮮が今年に入って我が国周辺に異常な数のミサイルを撃ち込み、ますます挑発的になっています。一つの中国というスローガンの下に台湾侵略を行おうとしている中国、ウクライナに侵攻するロシアなど、我が国の周辺は、自由主義・民主主義国家とは思想・信条を異にする国々が取り巻いていて、いつ戦闘状態に巻き込まれるかも分からないという不安が私たち国民の中に芽生えています。 しかし、それどころか、近年では中国マネーが日本全国で不動産を買いあさり、会社を買い、あらゆる形で中国に依存せざるを得ない経済構造をつくってしまっているので、今さら武力など使わなくても、既に日本は中国にほぼ抱きかかえられているも同じだと主張する人もいます。 さらには、現代では情報を盗むのに、もう人を介する必要もなく、ティックトックなどで一般の人々が世界中で自分から進んで入れた情報を中国に集め、スーパーコンピューターで解析してしまいますと、大方の情報は盗まれてしまうというのが事実のようであります。 日本が遅れているデジタル安全保障にいつ政府が取り組むのか、日本政府にまだ誇りと気概が残っていることを信じて待っておりますが、大変気がもめるところであります。 憲法の改正に関しては、国を守る安全保障ですので、与野党合同でしっかりとした議論の末に、一日も早くよい結論を導き、新たな法整備を整えていただきたいと思っております。 安全保障は国の仕事ではありますが、新潟県で暮らす私たち一人一人の生命と財産にも関わる重大事項でありますので、県民の立場から参加すべき対策について質問いたします。 国の安全保障を考える場合、台湾有事のように危険が可視できない事案もあります。孔子学院など、プロパガンダ工作に使われるおそれがあるとされる組織が、気づかないうちに国内に浸透するということが気になります。 孔子学院は海外では危険視され、アメリカでは同学院が閉鎖された例もありますが、日本国内でも工学院大学、兵庫医科大学が閉鎖したことにより、現在は13の大学に孔子学院が設置されています。それらの大学から貴重な情報が中国へと漏れ出ていないことを願いますが、孔子学院が本県所在の大学に設置も懸念されるところであります。 このような中国影響下にある組織が県内大学等に及ぼす可能性について、どのように認識しているのか、知事の所見を伺います。 先日も「忘れるな拉致県民集会」が新潟市で開催され、横田めぐみさんの御家族をはじめ、曽我ひとみさん、大澤孝司さんのお兄さんなどが涙ながらの訴えをされました。 北朝鮮による日本国民の拉致被害がいまだ解決していないことは、我々新潟県民の痛恨の極みと言えます。国の最大関心事として、何としても拉致被害者全員の奪還を実現していただきたいと強く思うものであります。 さて、拉致事件が国際問題化した現在は、あからさまな拉致というものがなくなったと思われますが、スパイ防止法が制定されていない我が国では、外国人やそれに協力する日本人による国家機密、産業技術の漏えいのリスクが大きいと考えます。 数年前でしたが、アメリカの民主党大統領候補としても名前が挙がっていたカリフォルニア州選出下院議員が、クリスティーン・ファングという中国の美人留学生によって機密情報を盗み出された事件はとても有名です。大学や企業に普通に通う信頼されるその人が、実はスパイとして技術を盗んでいったというような事件は、外国では枚挙にいとまがありません。 我が国では一体どうなのでしょうか。安全保障は国の専属事項であるとはいえ、スパイ活動は静かに地方でも浸透すると考えます。仮に県内の外国人労働者や留学生によって違法な活動や不審な行動があったと県民から通報された場合には、県警としてどのような対応を行うのか、県警本部長に伺います。 日本では、外国人も永住権や日本国籍の有無にかかわらず、またビザの種類による規制もなく、不動産の所有が認められています。一旦手にしたこの不動産、所有権の権限もなく、自由に売買することができ、贈与、相続させることも可能です。 アメリカ、カナダなどと並んでこのような緩い基準を持つ日本では、それこそ外国人が日本の土地をあさるのも当然です。 例えば英国では、外国人が土地を買っても、それは借地権を得るということになるのだそうです。なぜなら、英国の土地は国王陛下のものだからです。 日本があまりにも安易に国土を切り売りすることのできる現状は、日本国の安全保障にとって非常に問題なのではないか。早急に対応すべきことだと私は認識しています。 かつて中国総領事館による新潟市の万代小学校跡地の土地買収が問題となり、市民の反対運動によって新潟市が売却を断念したという事案がありました。その後、中国総領事館は新潟市中央区新光町の民有地を購入したとされています。 この問題に関連して、我が新潟県議会におきましても、平成24年に村松議長の名で内閣総理大臣宛てに意見書が出されております。 その後、この事案についてはどのようになっているのか、現状をお聞きいたします。 先日、神奈川県の情報サイトを閲覧していましたら、県職員に応募するに当たり国籍を問わないという採用基準を提示しているのを見つけて、少なからず驚きました。県内の多岐にわたる重要事業を管轄する県職員になる者の国籍を全く問題にしないというのは、安全保障の観点からしてどうなのでしょうか。 現在、おのおのの自治体の判断で外国人の採用が可能となっていますし、本県でも一部の職種を除き、採用に当たって日本国籍を要しないこととしています。これまでの新潟県での外国人職員採用の実績と今後の対応について伺います。 国は、経済安全保障の観点から、半導体をはじめとする戦略的な産業に関しては、その製造拠点を国内に戻して産業基盤を国内に確保しようとしています。新潟県としても、県内の事業者を支援していく立場から、こうした国の動きにどのように対応していくのか、知事の所見を伺います。 再生可能エネルギー推進と日本のエネルギー政策の課題について伺います。 カーボンニュートラルの実現に向けて再生可能エネルギーが注目され、各国の政府や報道機関もそれを推奨しています。しかし、現実的に考えると、自然相手の発電は気候条件など様々な制約が生じて、安定した発電ができないのが実態であります。 特に今、最も推進されている太陽光発電は、日照時間等によって発電量が大きく左右されることになりますが、本県における太陽光発電について、その利点と欠点をどのように考えるのか、知事の所見を伺います。 再生可能エネルギーは、自然環境を生かした環境に優しい発電という発想から生まれたものであると考えますが、近年、大規模な太陽光発電設備の設置に際して、森林を開発して建設するケースも多いと考えられます。しかし、森林開発に伴う土砂災害の発生や水害の増加などのリスクが懸念されるところであります。 ほかの自治体では、条例を制定して太陽光発電設備の建設に一定の規制をかけている例もあると聞きます。 本県においても、適切な森林環境の保護の観点から、森林における大規模な太陽光発電設備の建設に対してどのように対応していくか、知事の所見を伺います。 多結晶シリコンというソーラー発電での必需品があります。この物質は精製過程で大量に電力を使うため、安価な電力を獲得することが、商品化して価格競争に勝てる重要な点となります。そのため、現在世界中で使われているソーラーパネルは、大半が中国製であります。 なぜ中国では安価な電力を大量につくることができるのかというと、中国の石炭生産量は年間およそ2億トンと言われており、その膨大な量の石炭と旧式な石炭火力発電設備を用いて安価な電力がつくられているからであります。 日本の石炭火力発電所は、近代技術により二酸化炭素の排出量はほぼゼロでありますが、中国では今でも旧式の設備を使い続けているために、その劣悪な石炭火力発電所では、大量の二酸化炭素が排出されていると報告されています。 そもそも脱炭素を目指して太陽光発電が始まったはずですが、その太陽光発電のためのソーラーパネルが大量の電力を使い、大量の二酸化炭素を放出しながら生産されていることの矛盾、これを知事は環境問題の観点からどのように考えられますか、所見を伺います。 今冬は、各電力会社が節電を促すキャンペーンを行っています。東北大震災の発生以前は、国が必要とする電力の30%以上を発電していた原子力発電が、現在は7基のみが稼働しているのが現状です。 世界一厳しいと言われる新規制基準に合格して、動かせば発電できる原子力発電所が存在する中で、国策として岸田首相はさらに踏み込み、原発の新設もうたったわけですが、依然として原発再稼働は進んでいません。 私としては、安全性が確認された原子炉は即稼働して、安価な電力を全国に供給してほしいと考えます。国民の税金から次世代エネルギーの研究費を出すのではなく、電力会社がその責任を負うべきと考えるからでもあります。岸田首相における決断と実行を心から待ち望む次第であります。 本県において、今冬は電力不足に関する不安はないのでしょうか、知事の所見を伺います。 電力料金値上げが家計を直撃しています。現在の日本の電気料金は、中国や韓国に比べて2倍近い値段であり、アメリカに比べては約3倍と聞いています。政府は価格高騰分は責任を持って補填するということを明言し、補正予算が確保されていますが、この値上げがいつまで続くのか分からない中では、不安が残るというのが庶民の本音であります。 家計にとっても苦痛な電気料金の値上げですが、産業界には1円の値上げであってもその影響はさらに深刻で、事業の継続にとって死活問題ともなります。せっかくの円安で生産工場が国内に回帰する機会となるこのときに、電気料金の値上げによってそれが妨げられている、進まないと指摘する専門家もいます。 このような懸念される状況をどう考えるのか伺うとともに、併せて県内企業の投資促進に向けた取組について知事の所見を伺います。 次に、子育てと親の責任について伺います。 現在、児童相談所の保護施設や里親のもとなど、社会的養護下で暮らす子供たちが全国で約4万2,000人、そのうち約4,000人が毎年18歳を迎えると退所し、自立して生計を営むことが求められています。 多くの若者が住居費や生活費を自分で稼がなければならず、経済的な理由に加え、体力的・精神的な疲労から進学を諦める、あるいは就職しても長く続かないといったケースも多いということで、そうした若者たちの前に、18歳の壁が立ちはだかっています。 ケアリーバーとも呼ばれる彼らの実態が今一つの社会問題となっていますが、厚生労働省が2021年に公表したケアリーバーについての初の全国実態調査では、自立後5人に1人が赤字生活に陥っていました。 東京都の実態調査によると、過去10年間に児童養護施設などを退所した人のうち、自立後最初に就いた仕事を既に辞めている人は57.1%で、そのうち半数は就職から1年未満で辞めています。進学しても、生活費や学費のためにアルバイトを掛け持ちして学業に手が回らないなど、中退率も2割を超えると言われています。 ある専門家は、社会的養護の下で育った若者たちには、何かうまくいかないことがあったときに帰る場所や頼れる大人がいないことも多い、家賃が払えなくなったら即家を失ってしまうし、ふとした瞬間に幼い頃に受けた傷が記憶としてよみがえってしまうこともある、子供にとって心から信頼できる大人の存在が本当に重要だと指摘しています。自立するためには、彼らにとって頼れる親代わりをする人が必要なのだと改めて思わされます。 本日は、まずケアリーバーの自立支援に関して伺います。 2021年より成人年齢の引下げで、契約時に親権者の同意を得る必要がなくなり、不利な条件などが消失した一方で、民間企業などにおいては、いまだに契約時の身元保証として親権者の同意を求める場合が多いと聞きます。 保護施設から退所した若者たちが、退所後にどのような課題を持つことになるのか伺うとともに、またそうした課題を持つ若者たちを県としてどのように支援していくのか、知事の所見を伺います。 山梨県では、支援の必要なケアリーバーの居住先等へ出身施設の職員や里親が訪問するという支援を行っており、退所後も継続的に寄り添うことで相談しやすい体制をつくっていると聞きます。利用実績は延べ200人以上で、訪問費用は県が負担しているそうです。 本県においてもケアリーバーの施設退所後の生活状況について、実態調査を行っているかを伺うとともに、今後、山梨県のような支援を検討してはどうかと考えますが、知事の所見を伺います。 県内の児童養護施設などでは、退所した若者たちが身元保証を求められた場合に、卒業した施設の施設長などが親の代行として保証人となっているのかどうか、新潟県の現状について伺います。 全国児童養護施設企業求人サイトでは、理解を持つ企業からの求人がまとめられていますが、その数は絶対的に不足しています。 民間企業が児童相談所の保護施設とより多くの関わりを持っていく中で、親に頼れない子供たちへの理解が広まるという指摘事例がありました。 社会通念を変えるというハードルは非常に高く、困難が予測されますが、本県においても民間企業と保護施設の間の橋渡しを県の立場から行い、社会の理解を広めていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 親に頼れない子供たちの課題に関しては、成人後の子供たちに対する伴走型の支援が不可欠であり、まさに里親制度の普及が解決につながるという期待があります。 以前も一般質問でお聞きしましたが、里親制度に対する県民意識はまだまだ低い状況であります。県民意識の啓発についてどのように取り組んでいくのかを伺います。 このように児童相談所によって子供を養育する能力に乏しいと判断され、子供から引き離された親もいるわけですが、その彼らをそのままにして置いておくと、繰り返し同じような虐待が起こる可能性が高いという懸念があります。以前の質問にも取り上げましたが、彼ら自身の生い立ちや置かれている環境がそうさせていることもあり、どこかの時点で不幸な虐待の連鎖を止める必要があります。 次に、そうした親への支援に関して伺います。 虐待を繰り返す親たちには、精神疾患等の病気、経済的困窮などの課題を的確に把握することが求められ、その上でそれらへの適切な支援が求められます。今後は、こども家庭庁より明確な指針が出てくることを期待するところでありますが、現状においてどのような体制で支援を行っているのか伺います。 子育てにはお金がかかります。児童手当という制度ができて、当時子育て中だった私も随分ありがたい制度だなと感謝していたわけでありますが、よくよく考えると、児童手当ができた背後で年少扶養控除が廃止になったために、税負担がかえって増えている子育て世帯が存在しています。 今こそ子育て世代を応援しなくてはならないときに、全体としては子育て世代への支援が滞っていると考えられることから、子育て支援の充実を国に要望していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 増田雅暢元内閣府少子化対策担当参事官、東京通信大学教授は、こんにちは赤ちゃん事業のように家庭を訪問し、担当者をつけて成長に従って家庭を支援していけば、家庭が抱える問題も分かってくる、もう少し地方自治体がコミットして、大都市では無理でも、中規模、小規模の地方自治体であればネウボラのような取組は可能であろう、そうしたことが徹底されれば、家族支援、家族政策もより効果的に実施できると思われると述べています。 全国では課題を抱える家庭がこれほど増加している中、このような自治体を通した伴走型の家庭支援に関して知事の所見を伺います。 子供政策の司令塔となる、こども家庭庁の設置関連法が本年6月に成立し、来年4月1日に発足することとなりました。このこども家庭庁に対する知事の期待を伺います。 次に、新型コロナ感染症対応について伺います。 御存じかとも思いますが、国内では既に11月末で1,908名の死亡者の家族によるワクチン被害者の会が結成されており、国会でも超党派議員、医者、研究者などによる新型コロナワクチンの被害に対する勉強会も開かれています。 私もこの間、公開されていたものを視聴しましたが、勉強会では幾つかの病名が指摘され、病変部位にはスパイクたんぱく質の存在が確認されたという報告や、急性心不全が多く見られるという報告がありました。 問題となっていたのは、ワクチン接種直後に具合が悪くなり、ワクチンの影響しか考えられないと病院に駆け込んでも、それを診断する医者が副反応に対しては知識もないので、副反応として報告されることが少ないということです。 新しいワクチンが認可された後には、必ずこうした係争が付き物ですが、副反応だという認定が受けられないと、厚生労働省が当初約束した予防接種救済制度の中では、何の対応も受けられないという問題が起きてきます。 HPVワクチンの副反応被害者の会が体験したことにも酷似しておりますが、本ワクチンが少し違うのは、打った回数も大量なので、死者数も多いということです。この問題も長く続く訴訟へと進まないよう、厚生労働省の速やかな対応を私も期待しています。 質問いたします。 アストラゼネカ社製のワクチン接種後に血栓症が発生するとの報道があります。本件に関する所見と、県内ではワクチン接種による県民への健康の影響はどうであったのかを伺います。 コロナの影響によりマスクの着用が長期化していますが、子供たちへの健康の影響を心配する親が増えています。マスクの習慣的着用にはどのような弊害があると考えられるのか伺うとともに、マスクを外し、健康で健全な生活に戻すための過程についてどのように想定しているのかを伺います。 多くの医師が主張し、国会でも今議論となっているように、新型コロナウイルス感染症の指定区分について、現行の2類相当から5類に落として、国民の社会生活を以前の状況に戻すべきと考えます。 病院の機能不全は解消し、保健所職員も元の業務に戻り、ほとんど使われていない病床の確保に国費を充てる必要もありません。 コロナにかかれば、患者にとって医療費が発生するとしても、現状はほとんどの感染者が軽症で、病院に行く必要もないのではないでしょうか。必要なら重症患者だけは国費を充てるという例外規定を附帯すればよいと思います。 マスクも外して、すがすがしい空気を吸う生活に戻れると思うのですが、指定区分を2類相当から5類に落とすことについて県としてはどう考えるか、お伺いいたします。 次に、物価高騰対策と国の税制について伺います。 10月からは一部の高齢者の医療負担が2割となり、また今までは500人以上の企業からであったのが、100人以上の企業でもパート従業員へ社会保険料を支払うことが義務づけられました。従業員にとっては保険の存在は大変ありがたいことでありますが、反面、手取りの給料が少なくなるということでもあります。 あらゆる面において物価高騰が国民生活を厳しいものにしていますが、国の大型補正予算での経済対策においても、厳しい状況にある生活者への支援が盛り込まれています。特に生活困窮者への支援が重要であると考えますが、今般の経済対策で十分に措置されていると考えられるのでしょうか、知事の所見を伺います。 物価高騰対策が翌年度以降も続いていくとすると、原資を求める政府が、多方面で増税をするのではないかというおそれがあると考えられ、また現在そのような話が国会でも出ております。現在の日本の経済状況で例えば消費増税をしてしまったら、日本の経済全体が、また国民生活がどんなことになるのか危惧いたします。 日本経済全体のためにも、国民生活を直撃する増税が、特に増税は生活困窮者への影響が大きいことから、これらの者への増税がなされることがないように、県として国に要望していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 私もインボイス制度に対して質問いたします。 2023年10月にインボイス制度の実施が予定されております。既に多くの人々が声を上げていますが、小規模事業者の新たな税負担等の弊害が指摘されています。制度の形を変えて負担を軽減するという改革案も出ているそうですが、制度導入自体が経営を複雑化して事業主への負担となっていないでしょうか。 インボイス制度導入による本県企業への影響について所見を伺うとともに、制度の導入が事業者の過剰な負担とならないよう、本県としても国へ要望するべきと考えます。重ねた質問でありますが、知事の所見を伺います。 次に、県政の諸課題について伺います。 山間地域でも市街地でも空き家が増加しています。一般的には、空き家として残すほうが更地にするよりも固定資産税が安いという矛盾もあり、一刻も早い空き家の解消が求められると考えますが、それに向けて今後どのようにして取り組むのか、所見を伺います。 災害復旧における現場でのボランティア活動は、大変重要な役目を担っています。8月の村上市周辺の豪雨災害でも、ボランティアによる泥のかき出しや家財道具の運び出しなど、大変な支援をしていただきました。被災者にとっては一番つらく、精神的にも体力的にも弱っている被災直後に、多くの方々が力を貸してくれたことが大変ありがたかったと現地の方の声として伺っています。各地で災害が起こるたびに、こうして全国から集まってくるボランティアの方々に助けられているわけです。 さて、彼らが活動に従事する期間の生活に関しては、自費で対応するのが基本だとは承知していますが、例えば交通費の一部補助を行うことで、近年頻発する災害後の復旧支援に、県民もより加わりやすくなると考えますが、県の所見を伺います。 自然災害の中でも、近年は豪雨による川の氾濫や地滑りによる災害が頻発しています。上越市でも、こうした豪雨がもたらす浸水被害の危険性を回避するために、保倉川放水路、儀明川ダムの建設が計画されて、調査段階に入っています。進捗を早めるために保倉川放水路の早期着手を国へ強く要望するとともに、儀明川ダムの建設をこれまで以上に推進するべきと考えますが、知事の所見を伺います。 また、建設までの期間は小まめな河床掘削などを行い、地域の安心・安全を確保する必要があると考えますが、今後の取組について伺います。 以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 桜庭議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、県内大学における孔子学院の設置についてでありますけれども、現在、県内には、短期大学も含め孔子学院を設置している大学はなく、各大学において設置の予定もないと伺っております。 国では、孔子学院が設置されている大学に対して、大学の主体的な研究活動が妨げられることがないよう、組織運営や教育研究内容等の透明性を高めるべく情報公開を求めているものと認識をしております。 次に、半導体などの製造拠点の整備促進についてでありますが、国は、経済安全保障の観点から、重要な物資の国内安定供給を目指し、中でも、デジタル社会を支える重要な基盤である半導体について、海外製造事業者の誘致や、国内工場の新増設支援などの取組を進めております。 県といたしましても、こうした国の動きを踏まえ、県外企業の誘致や、県内企業の設備投資の促進に向け、企業訪問や市町村、金融機関などを通じた投資案件の掘り起こしに努めるとともに、補助金等も活用しながら支援するなど、引き続き、本県企業の競争力強化につなげてまいりたいと考えています。 次に、再生可能エネルギー推進と日本のエネルギー政策の課題についてお答えいたします。 まず、太陽光発電の利点と欠点についてでありますが、利点といたしましては、設置場所の制約が少ないことや、比較的短期間で設置が可能であること、大規模な開発だけでなく、分散型エネルギーとして需要家に近接したところで自家消費や地産地消が期待できることなどが考えられます。 一方で、欠点としましては、議員御指摘のとおり、日中しか発電できないことや発電量が天候に左右されることなどが考えられ、特に、雪国である本県にとっては、日射量不足や積雪対策のためのコスト増加などから、採算を不安視して導入が進まない課題があると考えています。 このため、県といたしましては、豪雪地域の企業や工場等の屋根に太陽光発電設備を設置するモニター事業を実施しているところであり、これにより得られたデータも活用し、本県でも十分に太陽光発電が効果的であることを積極的に周知するなど、引き続き、導入促進に取り組んでまいります。 次に、森林における大規模な太陽光発電設備の建設に対する対応についてでありますが、森林法では、太陽光発電設備の設置など、1ヘクタールを超えて民有林を開発する場合、災害の防止等の観点から知事の許可が必要とされています。 しかしながら、近年、全国的に、1ヘクタール以下の太陽光発電設備の建設場所において、土砂災害等が発生する事例が認められており、国は、土砂災害等の発生リスクを考慮し、来年4月から、許可が必要な面積を、これまでの1ヘクタールから0.5ヘクタールに引き下げ、規制を強化することとしています。 県といたしましては、引き続き、森林法の適切な運用により、土砂災害や水害の防止など森林の持つ公益的機能を確保するとともに、定期的な巡回等を行うなど、地域住民の安全・安心な生活が守られるよう、しっかりと対応してまいります。 次に、太陽光パネルの生産に伴うCO2の放出についてでありますが、中国における太陽光パネルの生産において、石炭火力発電所の電力が使用され、CO2を大量に排出しているとの報道等があることは承知しています。 太陽光パネルに限らず、現在多くの製品の製造・生産過程において、化石燃料主体の電力に由来する温室効果ガスが排出されているところですが、人類共通の課題である地球温暖化防止に向けて、パリ協定に掲げられた目標を踏まえ、各国がCO2削減の取組を進めているところであり、今後、できる限りCO2排出が少ないエネルギーを使用して製造される方向に向かっていくものと考えています。 県といたしましては、こうした動向も注視しながら、脱炭素社会の実現に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと思います。 次に、今冬の電力不足についてでありますが、国が発表した冬季の電力需給見通しによれば、電力の安定供給に最低限必要な予備率は確保できているものの、大規模な電源脱落や、想定外の気温の低下による電力需要の増加などに伴う供給力不足のリスクへの対策が不可欠であるとされております。 現在、国による全国の家庭や企業への省エネ・節電の呼びかけや、各電力会社の節電キャンペーンなどが行われているところであり、県といたしましても、市町村と連携し、ホームページなどを通じて、無理のない範囲での省エネ・節電を呼びかけております。 今後、電力需給が逼迫し、県民の皆様に一段の節電をお願いする必要が生じた際には、さらなる情報発信を行ってまいります。 次に、電気料金高騰下における企業の投資促進についてでありますが、国の調査等によりますと、県内企業の設備投資は、新型コロナウイルスの影響により先送りされていた投資が再開されるなど、前年度比で増加の見込みとなっています。 一方で、電気料金をはじめとしたエネルギー価格の高騰が企業収益を圧迫し、設備投資に影響を与えることも懸念されており、計画が着実に実行されるか、注視していく必要があるものと認識しています。 県といたしましては、こうした状況下において、サプライチェーンの見直しや生産拠点の国内回帰等の動きを的確に捉えるとともに、半導体や脱炭素などの成長分野への県内企業の投資を促進するため、補助事業費の増額を本定例会にお諮りしているところであり、引き続き、これらの補助金などを活用しながら県内投資を支援してまいりたいと考えております。 次に、子育てと親の責任についてお答えをいたします。 まず、児童養護施設等の退所後の課題と支援についてでありますが、施設退所後は、ほとんどの方が就職や進学などにより一人暮らしを始めていると承知しておりますが、就職やアパートの契約の際に身元保証が必要となるほか、仕事や将来などに不安を抱えている方も多いことから、自立に向けた丁寧なサポートが重要であると認識しています。 そのため、県では、施設退所後の自立支援制度として、身元保証人の確保支援を行うとともに、返還免除も可能となる家賃及び生活費の貸付事業を実施しているところであり、引き続き、施設退所後の自立に向けた支援の充実に努めてまいりたいと考えています。 次に、ケアリーバーへの支援等についてでありますが、県では、児童養護施設等の退所後の生活状況について、毎年、調査を実施しており、さらに昨年度からは、ケアリーバーの支援に関わる施設等関係者による情報交換会を開催するなど、施設退所後の実態把握に努めているところです。 また、支援が必要なケアリーバーに対しては、本県においても、施設職員や里親による居住先等への訪問支援をはじめ、電話やメールなどにより相談対応を行うとともに、これらの取組を後押しするため、施設退所者の身元保証を担う施設長や里親の訪問旅費を補助する事業を実施しています。 今後も、施設退所後の自立した生活を支えるため、支援が必要なケアリーバーに継続的に寄り添うとともに、相談しやすい体制づくりに努めてまいります。 次に、社会的養護を必要とする子供への理解促進についてでありますが、議員御指摘のとおり、民間企業と児童養護施設などが関わりを深めることにより、親に頼れない子供たちに対する社会全体の理解が広がることは重要であると認識しています。 このため本県では、企業などから施設との交流などについて相談があった場合には、県の立場から積極的に仲介を行うなど、理解促進に努めているところであり、現在、児童養護施設等において、地元企業との交流活動が継続的に行われているほか、企業からは、学用品や備品購入費用などへの寄附をいただくなど、社会的養護が必要な子供たちへの理解や支援の輪が広がっております。 さらに今年度は、アルビレックス新潟からの申出を受け、県が橋渡し役となり、施設訪問や試合観戦などの相互交流が行われるとともに、これらの活動に関する県民アンケートが実施されるなど、社会貢献プロジェクトとして、広く周知・啓発がなされているところです。 県といたしましては、引き続き、企業と施設との交流を通じ、社会的養護が必要な子供たちへの理解が深まるよう、一層の取組の推進に努めてまいります。 次に、子育て世代への支援についてでありますが、児童手当増額及び支給対象拡大の財源として年少扶養控除が廃止されたため、実質的な収入が減少した所得層もあるものと承知しています。 児童手当については、社会保障及び所得保障並びに児童福祉の観点から、全国民を対象とした単一の制度として、法に基づいて、国において、財源確保の方策と併せて制度設計されるべきものであって、現在、国の検討会において、子育てに関する経済的支援及び教育費負担軽減に向け、児童手当の効果的な支給やその財源の在り方などについて、議論が行われているところです。 子育てに係る経済的支援は、子供の健やかな育ちの観点から重要であると認識しており、県ではこれまでも、児童手当を含む、地方だけでは解決が難しい制度改革等への対応や子育てに係る予算規模の拡大等について、国に対し要望を行ってきたところです。引き続き、国の動きを注視していくとともに、全国知事会とも連携をし、国へ働きかけてまいります。 次に、伴走型の家庭支援についてでありますが、伴走型の家庭支援は、孤立感や不安感を抱く妊婦・子育て家庭に対して必要な支援等を行う重要なものであると考えています。 本県では、全ての市町村において、妊娠届出時に面談やアンケートによる状況把握を行っているほか、生後4か月までの間に全戸訪問を行い、様々な不安や悩みなどを把握し、必要な支援につなげる、こんにちは赤ちゃん事業を実施しているなど、妊娠期から出産・子育てまで一貫した伴走型支援を行っているところです。 国が新たに公表した、新たな伴走型相談支援の取組においては、今後、妊娠届出時に加え、妊娠後期及び出生届出時にも面談を行うとされていることから、今後示される制度の詳細を踏まえ、県として、市町村の取組を把握し、好事例を共有するなど、市町村において着実に取組が行われるよう、支援してまいりたいと考えています。 次に、こども家庭庁に対する期待についてでありますが、こども家庭庁の創設により、子供政策を推進する体制が強化され、少子化対策や子供の貧困対策、児童虐待防止など、子供に関する取組・政策が総合的に推進されるものと期待しているところであります。 国においては、子供政策の予算に関し、必要な施策を体系的に取りまとめ、来年度の骨太方針に倍増を目指す道筋を示すと表明しています。県といたしましても、引き続き、財源議論など国の動向を注視しつつ、子供政策に係る予算規模の拡充に向け、全国知事会などと連携をし、国へ強く働きかけるとともに、子供政策の一層の推進に努めてまいりたいと思います。 次に、物価高騰対策と国の税制についてお答えします。 まず、今般の経済対策における生活困窮者への支援についてでありますが、新型コロナウイルス感染症や光熱費等の物価高騰等の影響により、低所得世帯など生活困窮者には大きな負担が生じているものと認識しています。 こうした中、国では、厳しい財政状況の下、今般の経済対策において事業者への補助を通じた負担緩和策など、前例のない、思い切った対応をしていただいたものと受け止めています。 まずは、これらの対策を着実に進めていくことが重要であると考えており、引き続き、今後の物価動向や生活困窮者の生活状況などを注視しながら、生活にお困りの方への支援を適切に行うとともに、必要に応じて国に要望してまいりたいと思います。 次に、生活困窮者に対する増税の影響への対応についてでありますが、議員御指摘の消費税については、現行の税率10%への引上げの際に、低所得者に配慮する観点から軽減税率制度が設けられています。 現時点では、物価高騰対策の財源としての消費増税等について、国において検討はされていないものと思いますけれども、仮に増税が見込まれる場合には、生活困窮者等が影響を受けることのないよう、必要に応じて国に要望してまいりたいと考えております。 次に、インボイス制度導入の影響及び国への要望についてでありますが、インボイス制度の導入に対しては、免税事業者が取引に際して不利な取扱いを受けることが懸念されているほか、課税事業者に転換した場合であっても、事務やコストの負担が増加することに加え、消費税分を価格に転嫁できず利益が圧迫される可能性などが指摘されており、本県の中小企業者においても影響があるものと認識しています。 そのため、県といたしましては、制度の導入に向けた十分な周知や広報のほか、事業者の負担に対する助成制度の強化など、必要な支援を講じるよう、知事会などを通じて、国に要請しているところであります。 また、政府・与党において、制度導入に伴う影響の激変緩和措置が検討されているとも報道されており、引き続き、状況を注視してまいりたいと思います。 次に、県政の諸課題についてお答えをします。 保倉川放水路及び儀明川ダムの推進等についてでありますが、保倉川放水路につきましては、住民の生命や財産を洪水氾濫等による災害から守るために、重要な事業であると認識しております。事業着手するためには地元の合意形成が重要であることから、引き続き国及び上越市と積極的に協力・連携してまいります。 儀明川ダムにつきましては、高田地区中心市街地の治水安全度向上のために、しっかりと推進していく必要があり、引き続きダム本体の設計等を進め、早期の本体着工に向けて取り組んでまいります。 なお、議員御指摘のとおり、放水路やダムの整備には長い期間を要することから、河川の巡視や点検により状況を把握し、河道掘削などの事前防災対策に努めてまいりたいと思います。   〔知事政策局長森永正幸君登壇〕 ◎知事政策局長(森永正幸君) 2点お答えいたします。 中国総領事館が購入した民有地の現状についてでありますが、本件事案については、不動産取得に係る民間契約であり、平成23年の売買契約締結後、中国側から国に同民有地に対する不動産関連諸税の免税の申請をしていると聞いております。これに対し、国から中国側に、本件手続を進めるためには、土地の使用目的や必要性についての説明や地元の理解を得ることが必要である旨、伝達しているところと承知しております。 次に、空き家の解消に向けた取組についてでありますが、空き家が増える要因としては、一般的に空き家を残すほうが固定資産税が安いことに加え、空き家の適正管理や利活用に関する理解不足など、ほかにも様々な理由が考えられます。 このため、県といたしましては、住生活マスタープランに空き家対策を目標の一つとして位置づけ、空き家対策を進めております。 具体的には、空き家の適正管理を促進するために、リーフレットの配布や動画配信などを通じて、県民への意識啓発を行っております。 また、空き家の利活用が進むよう、空き家バンクや建物状況調査などの活用について普及啓発を行うとともに、空き家利活用支援事業や空き家再生まちづくり支援事業により、空き家の取得・改修への支援を行ってまいります。   〔総務部長小岩徹郎君登壇〕 ◎総務部長(小岩徹郎君) 2点お答え申し上げます。 外国人職員の採用に係る実績と今後の対応についてでありますが、本県では、平成9年度に採用に当たっての国籍の取扱いについて見直しを行い、公権力の行使等ではなく、学術的または技術的な事務を処理することを主な職務とする学芸専門員、工業や農業分野の研究職のほか、職業訓練指導員などの30職種については日本国籍を要しないこととし、知事部局では、見直し以後これまで6名の外国人職員を採用しております。 日本国籍を要しない職種の職員の採用に当たっては、今後も日本国籍の有無にかかわらず適任者を採用してまいりたいと考えております。 次に、災害ボランティア活動に対する支援についてでありますが、災害からの早期復旧に向けて、より多くの県民からボランティアに参加していただくことは重要であると認識しております。 議員御指摘のとおり、災害ボランティアは、県民の自発的な意思に基づき自費により活動していただいておりますが、寄附金等を活用して交通費を一部補助するなど、参加者の負担軽減を図る例があることは承知しており、本県においても、今年8月の大雨災害に際して、高速道路料金の無料措置に係る手続やボランティアバスの運行を行ったところです。 県といたしましては、今後も、より多くの県民に参加していただくため、情報発信なども含め、効果的な方法について丁寧に検討を行ってまいります。   〔福祉保健部長松本晴樹君登壇〕 ◎福祉保健部長(松本晴樹君) 6点お答え申し上げます。 児童養護施設等の退所者の身元保証についてでありますが、本県におきましては、施設退所者が、就職やアパート契約をする際に、頼れる親や親族がいない場合は、施設長等が保証人となり対応しております。 なお、施設長等が身元保証を行う場合、損害賠償責任を負うことになるため、県では、施設長等の負担軽減のため、賠償金支払いに備えた保険加入費用を補助する事業を実施しており、昨年度の県内の実績は、就職や進学の際の身元保証が7件、アパート契約時の連帯保証が6件となっております。 次に、里親制度の普及啓発についてでありますが、里親は、何らかの事情で親元で暮らせない子供にとって、家庭的な環境での養育の受皿となるものであり、一層の普及を図っていく必要があると考えております。 このため、県では、啓発用リーフレットの作成・配布をはじめ、ウェブページによる広報や、オンライン説明会の開催などにより制度の周知を図り、里親登録の増加に努めているところであり、本県における令和2年度末の里親委託率は、都道府県の中で2番目に高い水準となっております。 県といたしましては、親に頼ることのできない子供たちを社会全体で支えるため、引き続き、里親制度の積極的な周知啓発により、県民理解の一層の促進に努めてまいります。 次に、子供の養育に課題を持つ保護者への支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、児童相談所での相談対応に当たっては、それぞれの家庭における課題を的確に把握することが重要であると認識しております。 保護者の問題は、精神疾患等の病気や、発達障害、経済的困窮、夫婦間のDVなど多様化していることから、児童相談所においては、児童福祉司等が的確にアセスメントを行い、必要な助言や調整等のケースワークを実施できるよう、研修等により資質向上を図っているところであります。 また、全ての市町村において、児童相談所をはじめ保健所や医療機関などの関係機関で構成される要保護児童対策地域協議会が設置されており、各機関が役割分担を行いながら、保護者に係る課題解決も含め、必要な支援を行っております。 県といたしましては、様々な課題を持つ保護者への支援が適切に行われるよう、引き続き、課題を的確に把握するとともに、支援体制の充実・強化に努めてまいります。 次に、アストラゼネカ社製ワクチンについてでありますが、約10万から25万回の接種に対して1回程度と、極めてまれではありますが、接種後に血栓症が生じることが報告されており、若年者に多いとされております。一方で、これに対する適切な診断・治療法が海外から報告されており、国内でも日本血栓止血学会及び日本脳卒中学会が、診断と治療の手引きを策定しているところです。国においては、これらを踏まえた上で、原則として40歳以上を対象にして使用することを決定しており、十分に安全性は確保されているものと承知しております。 アストラゼネカ社製ワクチンを使用した接種は本年9月末に終了しましたが、県内では約80回が接種されており、これらについては、血栓症を含め、副反応を疑う事例の報告はありませんでした。また、県民からの不安の声なども寄せられておらず、接種への影響はなかったものと考えております。 次に、マスクの習慣的着用の弊害等についてでありますが、報道によると、マスクの着用が長期化する中で、口元の表情が見えないことによる子供の発達への影響を心配する声などがあることは承知をしております。 一方、マスクを着用することにより、明らかな感染予防効果が報告されており、特に流行時においては、屋内や、身体的距離が確保できない状況で会話を行う場合など、場面に応じたマスクの着用は大変重要であると考えております。 本年5月に、国がマスク着用の考え方及び未就学児の取扱いを示したところですが、議員御指摘の、マスクを外し、健康で健全な生活に戻すための過程については、感染状況を踏まえ、国が科学的評価に基づき検討していくものと考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症の法的な位置づけの在り方の見直しについてでありますが、見直しに当たっては、コロナ専用病床の扱いなどの医療提供体制や医療費の公費負担の在り方、全数把握の代わりの定点把握の導入など、様々な課題があると認識しております。 報道では、国において議論が開始されたとありますが、議員御指摘の、国民の社会生活を以前の状態に戻すためには、こうした課題を整理した上で、医療機関や国民に混乱が生じることがないよう、しっかりと議論いただきたいと考えております。   〔警察本部長山田知裕君登壇〕 ◎警察本部長(山田知裕君) 外国人労働者等による違法な情報収集活動等の通報への対応についてでありますが、本県に所在する企業等においても、先端技術を数多く有しており、こうした技術の流出防止に向けた取組は、極めて重要な課題であると認識しております。 県警察といたしましては、外国人労働者や留学生に限らず、違法な活動等を把握した場合は、これを看過することなく、法と証拠に基づき、違法な行為の徹底した取締りを推進するとともに、外国による情報収集活動が、我が国の国益を損ねることがないよう、平素から関連情報の収集と分析に努めているところでございます。 ○議長(小島隆君) 桜庭節子君の質問は終わりました。 次に、与口善之君の発言を許します。与口善之君。   〔与口善之君登壇〕(拍手) ◆与口善之君 自由民主党の与口善之です。通告に従いまして質問させていただきます。 まず初めに、相続土地国庫帰属制度及び地籍調査について伺います。 相続土地国庫帰属制度が令和5年4月27日から施行され、相続や遺贈により土地の所有権を取得した相続人が、土地を手放して国庫に帰属させることが可能となります。 管理コストの国への転嫁や、土地の管理をおろそかにするといったモラルハザードが発生するおそれを考慮して一定の要件が設定されているため、適用条件や承認申請までの時間、納付する費用など、制度には改善の余地はあると思われますが、相続を契機として土地を望まずに取得した所有者の負担感から生ずる管理の不全化を招いている状況の改善が図られる可能性があります。 この制度の施行により、所有者不明土地の発生抑制や土地の有効活用等の効果が期待されますが、本県の公共インフラの整備に対してどのような影響があるか、知事の所見を伺います。 親世帯が居住していた土地、建物を相続等で取得した場合、市街地においては現状でも空き家バンク等の制度を活用し、売買によって処分することは可能でしょうが、人口減少の今、売却困難な物件も多いことが容易に想像できます。 一方、相続土地国庫帰属制度は相続放棄とは異なり、土地だけに限定して処分できることから、要件を満たせば維持管理に負担がかかる不要な土地を手放すことができるものです。 空き家を除却して更地にすると、固定資産税の住宅用地の特例の対象外となり、軽減措置が受けられなくなりますが、空き家を放置しても特定空家に指定され、さらに勧告を受けない限り軽減措置が受けられることが、空き家の除却が進んでこなかった原因の一つと考えられます。 そこで、国の相続土地国庫帰属制度が活用できれば、所有者は空き家除却後の土地の固定資産税や維持管理の負担から解放され、空き家の除却が進むなど、空き家対策に一定の効果が期待できるのではないかと考えますが、知事の所見を伺います。 相続土地国庫帰属制度では、境界が明らかでない土地などは承認申請できないとされていることから、制度の利用に当たっては、境界を明らかにする必要があります。 土地の境界を明らかにする上で地籍調査の実施が有効ですが、新潟県の場合、令和3年度末における地籍調査の進捗率を見ると、完了市町村は胎内市、聖籠町、津南町であり、未着手市町村は加茂市、三条市、休止中は新潟市、長岡市、上越市、五泉市、粟島浦村となっており、全体として全国52%に対し、新潟県は35.2%と非常に低い進捗率にとどまっています。 地籍調査に要する経費のうち50%は国が負担し、残りは都道府県と市町村で25%ずつの負担となり、都道府県と市町村の負担分の8割については特別交付税で措置されるので、実質負担は5%となります。 厳しい財政状況の中、予算の確保が困難という話も聞きますが、本県の地籍調査事業の進捗していない状況をどのように認識・評価し、今後の課題をどう考えているのか伺います。 地籍調査の地帯別進捗率を見ると、人口集中地区であるDID地区の13.0%とともに、林地が24.8%と地籍調査が進捗していません。地震、土砂崩れ、水害などの災害により土地の形状が変わってしまった場合に、元の境界を正確に復元することに時間を要し、迅速な復旧作業に支障が生じていることがありますが、現在、地籍調査の測量制度は公共座標により確定されますので、高い精度で境界を復元することが可能となっています。 また、国は令和2年度から効率的手法導入推進基本調査を制度化しており、リモートセンシング技術の活用により、現地に行くことなく広範囲に及ぶ領域の調査が可能となり、急峻な山間部で行う現地測量や現地立会いの省力化や、立会い中の事故防止等につながるものと期待されています。 また、地権者の高齢化などにより現況の把握さえ困難になっている山村部において、境界の情報が失われる前に必要な境界点について調査を行い、境界情報を保全する必要からも早急な取組が必要と考えられます。 この基本調査に係る部分は国の全額負担となっており、この基本調査のデータを利用して地籍調査を実施することで、時間と費用の節減にもつながると考えることから、県として市町村と連携して推進すべきと考えますが、所見を伺います。 また、山林の地籍調査については、災害のおそれから早急な境界情報の整備が必要な地域や、意欲と能力のある林業経営者が経営を行う地域などを優先的に実施するなど、治山、林業施策と連携して地籍調査を効果的に進めるべきと考えますが、所見を伺います。 次に、人材の確保・育成について伺います。 政府は、29兆円に上る経済対策を決定しました。その中で、首相の看板政策である新しい資本主義の柱である人への投資を強化し、5年間で1兆円を投じて、正規雇用への転換や成長分野への転職、社会人の学び直し、いわゆるリスキリングを支援するとしています。 ただし、余剰人員を解雇する手段としてリスキリング支援策を活用するということのないよう、注意しなければならないということは言うまでもありません。 10月3日の首相の所信表明演説では、個人のリスキリングの支援を行い、年功序列的な職能給型、いわゆるメンバーシップ型からジョブ型の職務給型への移行も打ち出しています。 このような国の人材育成に係る政策の方針について、現状においてどのように評価し、また期待しているかについて所見を伺います。 今回、国は5年間で総額1兆円を人への投資に投じるとしていますが、国の施策は国全体のことを考え、我が国の国際的な競争力の維持や強化を目的にしているものであると考えます。 本県においても、地場産業の競争力を向上させ、企業誘致を促進していく上で人材育成は重要な課題であり、国内において選ばれる地域となるためには、国の施策の動向を踏まえながら、県としても産業界や教育機関と連携して、他地域以上に人材育成に力を入れていく必要があると考えますが、所見を伺います。 日本の企業組織が非効率になっていると言われており、その原因としては様々あると考えますが、IT化の遅れが大きく影響していると指摘されています。諸外国においては1990年代以降、IT投資を数倍に増やしてきていますが、日本は1990年代以降、IT投資をほとんど増やしていないと言われています。 また、日本経済の最大の問題点は、企業の生産性が低いことだと言われていることから、企業の生産性向上に向け、リスキリングによって労働者全体のスキルを向上させ、企業のIT化、DXを促進する必要があります。 こうしたリスキリングは業務として就業時間中に行うべきですが、就業時間中の時間確保がままならない中小企業の実態を踏まえると、従業員は帰宅後や週末に時間を捻出しなければならないのではないかと考えます。 中小企業の多い地方において安心してリスキリングに取り組めるよう、代替要員の確保など環境整備をすることも重要と考えますが、知事の所見を伺います。 IT人材は、IT企業だけでなく、地場産業を構成する製造業や建設業などでも活躍することで、県内産業の発展につながると考えます。しかしながら、関係者の話では、情報系専門学校を卒業した若者の進路として、新潟県内企業への就職が望まれる中、給与等の待遇面からか首都圏へ流出している状況も見られ、都市部以外ではIT人材の確保が困難との声も聞かれます。 本県として県内産業の発展に向けた県内企業のIT人材の確保に向けた方針を伺います。 国では、行政課題が複雑・高度化する中で、高い水準の行政サービスを提供するために、メンバーシップ型の新規学卒者の一括採用・終身雇用だけでなく、任期付採用などジョブ型的な制度を活用して民間の知見を導入するケースが増えていると聞きます。 人事院もまた、高度な専門性や能力を有する人材の活躍をより一層支援するための給与制度改正を行い、今後も社会環境の変化に伴う様々な課題に対応するため、給与制度について必要な見直しを行うとしています。 ジョブ型雇用への注目が高まる中、県においても専門性や能力に見合った処遇が円滑に行えるような給与制度への見直しが必要ではないかと考えますが、所見を伺います。 次に、男女共同参画の課題について伺います。 コロナ下では、特に女性の就業面に大きな影響を与え、非正規雇用労働者への厳しい影響は、今なお継続しています。他方、情報通信業はコロナ下でも雇用が増加し、そのほかの業種でもデジタル人材の需要が高まっており、国も女性デジタル人材育成プランに基づき、就労に結びつくデジタルスキルの習得支援及びデジタル分野への就労支援を3年間集中的に推進するとしています。 このようにデジタル人材の重要性が高まっているものの、厚生労働省の調査によれば、IT技術者に占める女性の割合は19%にとどまっており、また求職者支援訓練のITコースの利用率についても女性の割合が少ないと言われています。 県の産業政策上も、女性のデジタル人材育成・確保に取り組む意義は大きいと考えますが、県のIT分野の職業訓練の受講者の状況と評価について伺います。 女性の研究者・技術者の育成についても、国の政策課題として位置づけられていますが、次代を担う女子学生が理工系分野を選択する比率は低いのが現状です。 11月23日付の全国紙で、東京工業大学が2025年度入学者を選抜する入試までに、学校推薦型と総合選抜型で計143人という異例の規模で女子枠を創設するという記事が掲載されていました。東京工業大学の益一哉学長は、日本は欧米に比べて理工系分野、産業分野における男女のバランスがあまりにも悪いと述べており、文部科学省も全国の大学に女子枠導入を促しています。 本県においても、女子生徒の理工系分野への進路選択が促進される必要があると考えますが、県立高校における女子生徒の理工系分野への関心を高めるための取組と評価について伺います。 また、女子生徒の理工系分野への関心を高めるためには、高校入学前からの取組も重要と考えますが、併せて所見を伺います。 国土交通省においても、次期国土形成計画の中間取りまとめにおいて、人口減少・少子高齢化等の国土の課題に対応するための重点的取組分野の一つとして地域生活圏の実現を掲げ、暮らしに不可欠な諸機能の維持・向上に必要なものは人材であり、地域生活圏の実現に向けては、女性活躍の観点を重視した取組が重要としています。 また、地方衰退の根本的問題である若年女性の流出の要因は、第1に希望の職種を求めても地元にその職がないこと、第2に女性の、特に地方における給与水準が低いことを指摘しています。 その上で、次期国土形成計画においては、女性活躍を女性にとって魅力のある地域、すなわち地方でも女性の就職の選択肢が多いことと捉え、若年女性の流出、地方の人口減少、少子化に歯止めをかけ、持続可能な国土を目指すとしています。 知事は、先日、新潟県商工会議所連合会に対し、賃金引上げに対する協力を求めましたが、男女間の賃金格差の是正についても経済界の協力が不可欠です。本県の男女間の賃金格差の要因と、その解消に向けた取組について伺います。 女性版骨太の方針2022では、女性の経済的自立を図る上で、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み、アンコンシャス・バイアスの解消に向け、令和3年度から行っている調査等の取組を着実に実施し、また地方公共団体や経済団体等を対象にしたワークショップ等の啓発を強化し、情報を発信する側の無意識の思い込みの解消と、性別役割分担にとらわれない働き方を推進するため、広報担当や人事・業務管理に携わる管理職、さらには経営層の意識改革と多様性確保の意義に関する理解の促進を図ることとしています。 また、国の省庁の取組についても紹介されており、文部科学省では、各都道府県教育委員会に対し、初任者研修等において、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みを払拭するための研修の実施を促し、学校現場における教員自身の無意識の思い込みへの気づきを促し、教育センターや校内研修等において、校長等の管理職や進路指導担当教員をはじめとする全ての教員が、無意識の思い込みを解消するための研修を受講することを促すとしています。 また、各学校において職場体験活動等のキャリア教育を行う際には、職業に対する性別役割分担意識の植付けにつながらない指導を行うように促すなどとしていますが、本県の取組や指導の現状と今後の課題について伺います。 次に、原子力発電所をめぐる諸課題について伺います。 新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会の任務は、前知事時代に制定された運営要綱で定められており、知事の求めに応じ、3つの検証委員会が行う原発事故の原因の検証、原発事故による健康と生活への影響の検証及び安全な避難方法の検証の総括と、その他総括に関し知事の求める事項を行うこととされていますが、委員長は県が求めていないことについても取り扱いたいとして意見の一致を見ていません。 そして、昨年の9月定例会以降、委員長と共通認識を持つことができないため、委員会を開催できないとする答弁が繰り返しなされています。 今年の6月議会で委員長との調整の状況について質問した際も同じ答弁でしたが、その後の状況について伺います。 知事は、検証総括委員会について、3つの検証委員会それぞれにおいて各分野の専門家に客観的、科学的に検証いただいた結果について、矛盾等がないかを各委員に確認していただき、3つの検証の取りまとめをしていただくことが任務ですと答弁で述べています。 一方で、それが任務であるなら、検証結果報告書の矛盾のチェックなら職員で十分という発言が議会でなされています。 検証結果報告書の矛盾のチェックを行って、矛盾点等があった場合は、専門家にしっかり議論していただくことは当然のことだと考えます。 しかし、委員長との調整状況によっては、チェックも議論もできない状況が続くわけですが、であるならば、検証の総括について委員長と共通認識を持つことに固執しないで、県職員が報告書の矛盾等のチェック作業を行い、報告書を取りまとめた委員長、座長に内容を確認していただくといった方法で行うということも考えられますが、知事の所見を伺います。 先月、原発事故に関する3つの検証の説明及び意見交換会が昨年度に引き続き開催されました。参加者から質問・意見が多く出されましたが、報告書自体に関するものよりも、大半は柏崎刈羽原発再稼働への否定的な意見や豪雪時の避難の問題点などの意見が圧倒的に多かったと聞きます。また、12月3日地元紙によると、残念ながら参加が低調であったとも報じられています。 この説明会は、県民に対し、検証報告書について直接分かりやすく説明することを目的として開催したとのことです。全ての検証が終わる前であっても目的に沿った形で開催されるのであれば、県民に丁寧に説明すること自体を否定するものではありませんが、開催趣旨と実際が乖離している状況を踏まえると、全ての検証が終わる前に開催することに疑問を生じざるを得ません。 今後も説明会を行うのであれば、3つの検証の結果が出た後に開催することでもよいのではないかと考えますが、知事の所見を伺います。 避難検証委員会の検証報告書を踏まえた取組について、9月定例会の我が党の横尾議員の代表質問において、まずは報告書で示された内容を整理し、県が取り組むべき事項について責任を持って対応を検討するとともに、事故情報の伝達や屋内退避の有効性の周知など、東京電力や国などが所管する事項について、しっかりと対応するよう求めてまいりたいと考えておりますと答弁されましたが、現在の取組状況について伺います。 県は、原子力災害時の住民避難を円滑に行うためのスマートインターチェンジ等の整備に必要な財政措置について国に対して要望していますが、先月行われた県町村会の県への要望においても、避難時の交通集中を避ける必要性を考え、PAZ圏内から直接高速道路に乗り入れるため、北陸自動車道と国道8号が交差する場所にスマートインターチェンジを設置するよう要望がありました。 原子力災害時の円滑な避難にはスマートインターチェンジの整備が重要であり、その実現には、要望内容を具体化し、県、関係市町村が一丸となって国に要望することが重要と考えますが、知事の所見を伺います。 10月24日から実施された今年度の原子力防災訓練では、県の広域避難計画策定後としては初となる、住民による自家用車避難訓練や、高速道路のサービスエリアにおいて、住民参加によるスクリーニング検査の訓練などを実施したとのことですが、今回の原子力防災訓練における成果と今後の方針について知事の所見を伺います。 最後に、県政の諸課題について伺います。 農業経営基盤強化促進法の改正法が令和4年5月に成立し、従来の人・農地プランが法定化され、令和7年3月末までに各地区において地域農業の将来の在り方、農地の効率的・総合的な利用に関する目標などを盛り込んだ地域計画を策定することが定められました。 将来の地域における農業の姿を自ら考え、形にしていくことは大切ですが、策定を進めるためには集落関係者の意向を調整する必要があり、昼夜を問わず何回も話合いが行われると想定されます。 さらに、5年後、10年後の農地に対して、1筆ごとに将来の耕作者を決めた目標地図を作成しなければならないことから、耕作者をはじめ市町村、農業委員会、農協などの関係機関の負担は大きなものになると予想されます。 一昨年に実質化を行った経緯もあり、短期間のうちに再度新たな計画を作成することになれば、現在、同プランの実行に取り組んでいる現場の状況を踏まえ、効率的かつ省力化した作業が必要とも考えます。地域計画の策定に当たり、県として十分な支援が必要と考えますが、所見を伺います。 三菱UFJ銀行が3次元地図データ製作など、空間データ事業に参入する方針を表明しました。トヨタ自動車などが出資するダイナミックマップ基盤株式会社と合弁会社を設立し、ドローンを活用して災害状況を把握したい保険会社や無人配送を検討する物流会社のニーズを想定したサービスを展開するとともに、豪雪で埋もれた道路を3次元地図で可視化し、安全性や効率性を高めた除雪支援システムを全国の自治体や道路管理会社に提供するといいます。 本県においても、除雪オペレーターの高齢化・退職によりノウハウの継承が困難になることが見込まれることから、こうしたシステムを活用し、除雪体制を維持していくことも必要と考えられますが、本県での導入可能性について伺います。 第10回新潟県観光地満足度調査結果が9月に公表されました。県内温泉地等に対する県全体の総合満足度は95.6%となり、過去最高だった第8回調査の93.7%をさらに上回りました。 また、項目別満足度では宿泊施設94.6%、食事91.6%及び温泉街や周辺の景観・雰囲気88.2%の評価が高い結果となっています。 コロナウイルス感染症の影響もあって県外客が減少していることもあるので、評価は難しいところもあり、また各観光地には数値のフィードバックを行うようですが、調査はさらなる改善に役立てるべきものです。 調査結果を有効活用するためには、比較対象をどうするかなど、技術的に難しい部分もあると思いますが、交通アクセスやPRの効果などの評価項目を設定した上で、県内の観光地単独の評価ではなく、県内外の他の観光地との比較から選ばれる要因、選ばれない要因を探ることで改善につなげることが重要ではないかと考えるところから、所見を伺いまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事花角英世君登壇〕 ◎知事(花角英世君) 与口議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、相続土地国庫帰属制度の施行に伴う公共インフラ整備への影響についてでありますが、登記簿で所有者が直ちに判明しないなどの所有者不明土地は、現在の土地所有者の特定などに多くの時間とコストを要し、公共事業等の支障となっているものと認識しています。 このため、本制度が広く利用され、所有者不明土地の発生が抑制されることで、公共事業等における円滑な用地取得に一定の効果が期待できるものと考えています。 なお、本制度が利用されるためには、国民の理解を得ることが必要であることから、国において積極的な周知に取り組んでいるところであり、県としても引き続き協力してまいりたいと思います。 次に、相続土地国庫帰属制度の活用による空き家対策への効果についてでありますが、議員御指摘のとおり、空き家を除却して更地にすると固定資産税の軽減措置が受けられなくなることから、除却を行わない方もいますが、一方で、売却や利用見込みのない空き家について、整理を考えている方や管理に負担を感じている方もいると思われます。 県といたしましては、空き家の除却等が効果的に進められるように、当該制度をはじめとする諸制度について、市町村と連携をして周知してまいりたいと思います。 次に、人材確保・育成についてお答えします。 まず、国の人材育成に係る政策についてでありますが、先般閣議決定された物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策におきましては、人への投資の支援パッケージを拡充し、リスキリングへの支援強化に加えて、日本に合った形での職務給への移行など、労働移動の円滑化に向けた指針を、来年6月までに取りまとめることとされています。 人への投資において、非正規雇用労働者の正規雇用への転換や、成長分野への円滑な労働移動、中長期的な人材育成が図られることにより、企業の競争力強化や県民所得の向上など、賃上げと成長の好循環につながる効果が期待されることから、県といたしましても、国の動向等を踏まえつつ、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。 次に、産業界や教育機関と連携した人材育成の取組についてでありますが、我が国全体で人への投資が重点的な課題となる中で、議員御指摘のとおり、県内産業の競争力向上や、企業誘致の推進に向けて、人材の育成はますます重要となるものと認識しています。 県では、これまでも、高等学校におけるキャリア教育や、県内大学におけるリカレント教育、さらには、県立テクノスクールでの職業訓練や、商工団体などを通じた人材育成事業の実施など、産業界や教育機関と連携した取組を進めてきたところです。 引き続き、国の動向も注視しながら、公民連携により本県産業を支える人材の育成に努めてまいります。 次に、中小企業におけるリスキリングの環境整備についてでありますが、中小企業の従業員に対するリスキリングは、デジタル化の進展など経済社会環境の変化に対応し、企業の競争力を高めるためにも、大変重要であると認識しております。 その一方で、中小企業は、経営資源に制約があり、柔軟な人員配置が困難であることから、議員御指摘のとおり、効果的な人材育成に取り組むことができる環境を整備する必要があり、今般の国の経済対策においても、その一環として、助成金の拡充などの方針が示されているものと考えております。 県といたしましても、在職者訓練やNICOを通じたスキルアップのためのセミナーなどにより引き続き支援するとともに、今後取りまとめられる指針をはじめとする国の動向や、県内企業のニーズを踏まえながら、本県産業の発展を支える人材の育成に向けて、必要な取組を検討してまいりたいと思います。 次に、県における専門性や能力に見合った給与制度の見直しについてでありますが、本県においても、特定の分野に関する高度な専門性や実務経験を有する者を任期付職員として採用しているほか、今年度からキャリア採用を開始し、特に専門性等が求められる分野において、民間企業等で培った専門的な知識、経験や、行政とは異なる視点を持って即戦力として対応できる人材の採用を積極的に行っているところです。 それらの職員については、専門性や能力に見合った処遇が必要と考えており、民間企業での実績や経験年数も踏まえて給与を決定しているほか、任期付職員には、特に顕著な業績を上げた場合、業績手当の支給も可能としているところです。 給与制度に関するさらなる対応については、人事委員会において、国や他の都道府県の動向等に留意しながら検討を進めていく必要があるとしていることから、その状況を踏まえ対応してまいりたいと考えております。 次に、男女共同参画の課題についてお答えします。 本県における男女の賃金格差の要因とその解消に向けた取組についてでありますが、男女の賃金格差については、管理的職業従事者に占める女性の割合が低いことや、女性の就業者に占める非正規雇用の割合が高いこと、勤続年数が男性に比べて短いことなどが主な要因と考えています。 議員御指摘のとおり、男女間の賃金格差の是正については、経済界の協力が不可欠であることから、県といたしましては、ワーク・ライフ・バランスや多様で柔軟な働き方の実現に向けた取組を進めるほか、女性活躍推進法に基づく、えるぼし認定の取得促進や女性リーダーの育成など企業の取組への支援を進めるとともに、女性のITスキルアップの支援などにも取り組んでまいります。 次に、原子力発電所をめぐる諸問題についてお答えします。 まず、検証総括委員会委員長との調整の状況についてでありますが、今年の6月議会以降も引き続き、担当部局が委員長と調整しています。 なお、検証総括委員会は個別の検証の取りまとめに合わせて開催したいと考えており、今年9月に避難委員会の報告書が提出されたことから、開催に向けて調整をいたしましたけれども、いまだ共通認識を持つことができておりません。 次に、検証総括委員会の任務である3つの検証の取りまとめ作業についてでありますが、私としましては、委員会の任務を引き受けていただいた委員長に、委員会の任務・役割を御理解いただいた上で、委員長としての職責を果たしていただきたいと考えています。 次に、3つの検証の説明会についてでありますが、県が行っている3つの検証について、県民の皆様と情報共有することは重要であると考えており、各委員会を原則公開で行うとともに、資料や議事録はホームページに掲載し、議論の状況は、随時、新聞広告、広報紙等により情報提供しています。今回の説明会はその一環で、これまでに取りまとめられた個別の検証報告書について、分かりやすく説明して御理解いただくことを目的として、昨年度に引き続き開催いたしました。 今回も参加者から多くの御発言がありましたが、議員も御指摘になりましたが、検証報告書の内容に関する御質問は少なく、その多くは柏崎刈羽原発は再稼働すべきではないとする意見や、検証総括委員会の開催の要望、豪雪時における避難の問題点の指摘等だったと報告を受けています。 一方、説明会におけるアンケート結果では、検証に関する理解が深まったとの意見が多数あったことから、一定の成果はあったと考えておりますけれども、今後の3つの検証に関する県民の皆様との情報共有の行い方については、議員の御指摘も踏まえて検討してまいりたいと思います。 次に、避難委員会の検証報告書を踏まえた取組状況についてでありますが、報告書の内容について県で整理したものを、既に国やPAZ・UPZ市町村、東京電力などの関係機関にお示ししており、現在、それぞれの機関で確認いただいているところです。 また、報告書で示された課題のうち、県が取り組むべき事項については、スクリーニングポイント候補地の追加指定や、安定ヨウ素剤のUPZ内住民への事前配布などの取組を既に進めているところです。 なお、東京電力や国等が所管する事項については、関係機関の確認が終わった後、改めて、しっかりと対応していただけるよう求めてまいりたいと考えております。 次に、スマートインターチェンジの整備に向けた国への要望についてでありますが、原子力災害時の円滑な避難には、議員御指摘のとおり、スマートインターチェンジの整備など、北陸自動車道を一層活用することが有効と考えており、現在、地元自治体である柏崎市及び刈羽村と共に国に対し要望できるように、具体的な内容などの調整を進めているところです。 県といたしましては、県、柏崎市及び刈羽村の3者による要望が早期に実現できるように、引き続き、調整を進めてまいりたいと思います。 次に、原子力防災訓練における成果と今後の方針についてでありますが、今年度の訓練の成果といたしましては、県ハイヤー・タクシー協会や東京電力との協力協定に基づく連携手順の確認などの訓練内容に加えて、原子力災害時の主な避難手段である自家用車による住民避難や、高速道路のサービスエリアにおける住民参加のスクリーニング検査などの新たな取組も行い、原子力災害時の対応力の向上を図るという目的は、おおむね達成できたものと考えております。 また、今後の方針としましては、引き続き、関係機関と連携をし、様々な想定や避難手段による訓練を実施することによって、原子力災害時における対応力のさらなる向上を図ってまいります。   〔知事政策局長森永正幸君登壇〕 ◎知事政策局長(森永正幸君) お答えいたします。 除雪作業を支援するシステムの活用についてでありますが、議員御指摘のとおり、高齢化等の影響によりオペレーター数が減少傾向にある状況において、ICTなど新たな技術の活用は除雪作業の効率化・省人化に有効であると認識しております。 県では令和3年度から、現地測量データを活用して路面上の支障物等を画面表示と音で警告する、除雪機械操作支援システムの試行導入により、経験の浅いオペレーターの除雪作業における操作支援や安全性の向上に取り組んでいるところです。 今後も、持続可能な除雪体制の構築に向け、新技術の開発状況等の動向を注視してまいります。   〔産業労働部長金井健一君登壇〕 ◎産業労働部長(金井健一君) 2点お答えいたします。 県内企業のIT人材の確保に向けた方針についてでありますが、生産性の向上や働き方改革、人手不足の解消などの手段としてデジタル技術の活用が今まで以上に重要とされている中で、議員御指摘のとおり、業種を問わずIT人材の確保は重要な課題であると認識しております。 そのため、県といたしましては、従業員のITスキル向上の支援に取り組むとともに、自力でのデジタル人材の確保が難しい中小企業に対しては、NICOを通じたIT専門家の派遣や県外IT人材とのマッチングによる人材確保などにも取り組んでいるところです。 さらに、9月定例会において、県内企業がデジタル人材を確保するために必要な経費への支援について予算措置をしたところであり、引き続き企業のニーズを踏まえながら、IT人材の確保に向けた取組を積極的に進めてまいります。 次に、IT分野の職業訓練における女性受講者の状況についてでありますが、県が実施する離職者を対象としたIT分野の職業訓練では、女性の受講率は、令和2年度が55.9%、令和3年度は57.5%と、受講者の半数以上を女性が占めており、増加傾向にあります。 デジタル分野での就業は、生活スタイルに合った働き方を選びやすく、女性の活躍を促進する上で有効であることから、今後も、女性IT人材の育成に努めてまいります。   〔観光文化スポーツ部長妹尾浩志君登壇〕 ◎観光文化スポーツ部長(妹尾浩志君) お答えいたします。 新潟県観光地満足度調査結果の有効活用についてでありますが、今回の満足度調査では、議員御指摘のとおり、総合満足度がこれまでで最高の95.6%となり、そのうち大変満足と回答いただいた割合も初めて40%を超えたところであり、調査結果をさらなる改善につなげていくことは重要と考えております。 そのため、調査項目の追加も含め、適切な設定に努めるとともに、県外との比較の観点から、国が行う統計調査や、民間企業が実施する調査のデータなども活用しながら、施策の改善に反映してまいりたいと考えております。   〔農林水産部長小幡浩之君登壇〕 ◎農林水産部長(小幡浩之君) お答えします。 地域計画の策定についてでありますが、国は、これまで、後継者の有無など地域農業の現状を見える化し、話合いで農地利用の方針を定める人・農地プランの実質化を推進してきたところですが、農業者の減少等の加速化が見込まれる中、農地の集約化と担い手の確保・育成を図るため、人・農地プランを地域計画として市町村が定めるものと法定化し、取組を進めることとしております。 この地域計画は、現行の人・農地プランを基礎として、将来の農地の効率的利用を図る具体的な目標等を検討するなど、これまでの話合いやプランの内容が生かされるため、手戻りなく策定できるものと考えており、県といたしましては、地域の話合いの場への参画や先行地区における合意形成手法の紹介など、地域計画の円滑な策定をしっかりサポートしてまいります。   〔農地部長登り俊也君登壇〕 ◎農地部長(登り俊也君) 3点についてお答えいたします。 地籍調査の進捗に対する認識等についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県の地籍調査の進捗は全国に比べて遅れております。 地籍調査につきましては、その実施により境界や土地所有者など土地に関する情報が明確化され、土地取引や災害復旧を含めた公共事業の実施の円滑化が図られるため、重要な取組であり、推進する必要があるものと考えております。 一方で、調査主体の市町村の中には、長期にわたる人的、財政的負担などから、未着手・休止としている市町村もあり、調査の着手・再開が今後の課題となっているところです。 県では、これらの市町村へ引き続き個別訪問を行い、地籍調査の着手・再開に理解が得られるよう働きかけているところです。 次に、効率的手法導入推進基本調査を活用した地籍調査の推進についてでありますが、基本調査は、地籍調査における測量を、リモートセンシング技術を活用し、市町村の要望に基づき国が行う調査であります。 議員御指摘のとおり、県や市町村に事業費負担を求めないこととされており、市町村が地籍調査として行う土地所有者による境界の確認等において、基本調査で得られたデータを活用することにより、調査期間や費用の節減が図られます。 このため、県では市町村に基本調査を活用した地籍調査について周知してきたところであり、引き続き推進を働きかけてまいります。 次に、山林の地籍調査についてでありますが、地籍調査により、境界や土地所有者など土地に関する情報が明確化されることで、山地災害の防止を図る治山事業や、市町村や林業経営者が森林所有者に代わり行う森林施業において、地権者・森林所有者の同意取得等を円滑に進めることができます。 また、国では、防災対策、森林施業・保全に加え、社会資本整備、まちづくり、所有者不明土地対策を重点施策とし、これらと連携した地籍調査に予算を重点配分することとしております。 県といたしましても、地籍調査の効果や国の方針も踏まえ、治山・林業施策と連携し、効果的な地籍調査を行うよう市町村へ指導・助言してまいります。   〔教育長佐野哲郎君登壇〕 ◎教育長(佐野哲郎君) 2点お答えいたします。 女子生徒の理工系分野への関心を高めるための取組と評価についてでありますが、高等学校では、大学が行う理工系分野の講演やPR活動を生徒に周知するとともに、大学と連携した理数トップセミナーへの参加を促しており、そのセミナーで女子生徒が上位入賞するなど、理工系分野に積極的に取り組む女子生徒は一定数いるものと認識をしております。 また、理数科設置校では、中学生を対象に理数の学びの魅力を発信する実験講座を実施しており、理数科に入学する女子生徒の割合は増加をし、令和4年度で約4割となっております。 義務教育段階でも、科学の甲子園ジュニア県大会においては、年々女子生徒の参加が増えており、関心が高まってきていると認識しております。 今後も、女子生徒を含め、理工系分野への関心を高める取組を発達段階に応じて実施し、一人一人の進路希望の実現を図ってまいります。 次に、固定的な性別役割分担意識の解消についてでありますが、県教育委員会では、管理職や初任者などを対象とする研修会において、性別による固定的な役割分担意識にとらわれず、児童生徒への支援や助言を行うよう指導をしております。 また、小中高等学校では、学校行事等の役割の決定や進路指導を通じて、児童生徒が、性別にかかわらず個々の能力や適性に応じ、主体的に判断できる力や態度を育んでおり、そのためには、教員自身が、自らの偏見や思い込みへの気づきを教育活動に生かすことが重要であると考えています。 今後は、研修を一層充実させ、教員の男女共同参画に関する意識の醸成に努めてまいります。 ○議長(小島隆君) 与口善之君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(小島隆君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(小島隆君) お諮りいたします。 次会は、12月12日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小島隆君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、明12月10日及び12月11日は休日のため、本会議を休会といたします。   ――――――――☆―――――――― ○議長(小島隆君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 △午後5時6分散会...